相談室(ブログ)

寝るのが恐怖です。寝付けないことが苦しく夜が怖くなります。(20代男性)

2024.02.02

 あなたは一種の睡眠恐怖症になっているようです。
 恐怖症の背景に、自分を安全に保ちたい、気分よく保ちたいなど快適指向の強さと、その状態へのこだわり、また不快を避ける気持ちの強さがあります。不快気分をなくし快適に生きたいと誰しも願いますが、現実はままならないことが多く、不快や不安状況は避けられず、受けいれて生きるしかありません。

 辛さを受け入れて生きれば、多くのことは時間が解決してくれます。睡眠がとれず、体の調子は悪く、不快な気分、不調感を持ちながら、決めた時間に起きて、決めた行動を約束通り実行することを繰り返すことができれば、あなたの問題は解決します。
なぜ、それができないのでしょうか。そこに恐怖症の難かしさがあります。

 恐怖症になりやすい人は、ある時の恐怖の体験、強い嫌悪体験がきっかけになり、以後それを避け回避しようとするため、そのことが逆に強まり、囚われ抜け出せなくなります。
 恐怖体験は、脳に深く刻まれやすく、記憶され、無意識層に蓄積され、忘れられなくなり、意識を超えて無意識の世界からの反応が起きるのでやっかいです。

「眠れなかったら、遅刻する」それが予期恐怖になり、まだ起きてもないことを頭の中であれこれ考え、不安になり、自らのストレスとなり、神経を緊張させます。こうした神経過敏状態が自律神経の不調を誘い、入眠困難を招きます。心と体は一体の関係にあります。

 私の昔の大学入試の前夜の体験です。
「寝ないと、明日の試験に力が出せない」と思い、夜9時前に床に就いて寝ることに備えましたが、試験のことを考えると頭が冴えわたり、ほとんど一睡もせずに試験に臨んだことが何度かありました。浪人生活も長く、受験前は完全に深夜型で、朝は起きられない生活習慣になっていました。また生活習慣そのものが、不健全で、神経過敏状態にありましたが、当時はそんなことに気づかず、無理を重ね心の不調を招く結果になりました。
 
 過度に意識する…そのとらわれがすべての原因になっています。改善はとらわれからの解放が目標になります。 「眠れなかったらたら、遅刻したら、どうしよう」と想像するだけで、不安が強まり、神経過敏に陥いります。それは、あなたの予期不安が招いたものなのです。
 
人間はだれしも主観的に生きる傾向があります。主観や気分ではなく、事実に生きるようにします。事実に忠実に生きるために、事実を観察することから始めます。何時に寝たらどうなるのかを記録し、事実を観察します、寝る時間と睡眠時間の関係、眠れない日の原因など客観的に自分を観察します。日記に記録すると事実と気分を客観視し自分の生活習慣に気づきます。

 改善するために最も大事な点は、生活習慣全体を見推すことです。よい生活習慣は、人生をよくしてくれます。良い睡眠リズムを作るために、夜は10時には寝るようにします。眠れなくとも決められた時間、7時には必ず起きるように習慣づけます。

寝る1時間前からはスマホ、パソコンから離れます。食事も8時には終えるようにします。軽い運動を心がけます。食事も偏食、食べ過ぎに気を付け、和食を意識します。シャワーではなく、入浴をこころがけます。

 寝る前に、次のリラクセーションとしての呼吸法で自律神経を調整します。私たちは呼吸で生きています。深い呼吸を心がけます。鼻から息を4秒ぐらいで吸い、口からゆっくり8秒ぐらいで吐きます。息を吸うとき緊張し、交感神経が働きます。息を吐くときリラックスし、副交感神経が働きます。この呼吸法を2、3分行います。緊張した時、随時行うとよいでしょう。

 反省は大事ですが、罪悪、自責はしないようにします。罪悪感は、神経過敏につながるからです。

 次が改善できるかどうかのカギになる事柄です。
 不快気分や恐怖はすぐにはなくなりません。たとえ睡眠がとれていなくとも、不快気分と一緒に起床し、約束した行動をします。つまり不快気分のまま身体不調感のまま、辛くとも忍耐し自分で決めた行動を貫きます。不快気分から逃げず、不快は不快のまま、辛くとも苦しくとも決められたことをやり抜きます。

 その体験の積み重ねで、新しい習慣ができていきます。その一つ一つの体験が自信になり、やがて生活に支障はなくなり、本当の快適な人生になっていきます。そしてあなたは人間としても一回り成長し、完治してゆきます。
 
 勇気を持って実行すれば必ずよくなります。この方法で多くの人が改善し希望の人生を歩んでいます。あなたも必ずできます。大丈夫です、頑張ってださい。
 もしうまくいかないときは、恐怖症専門の当室に相談に来られるとよいでしょう。