質問
今年転職しました。25歳男です。私はキャリアに迷走しています。大学は農学系を出たのですが、興味関心はIT業界にあり新卒ではプログラマーになりました。しかし、ほぼ未経験で入社した為仕事にうまくついていけず、早期退職しました。
その後自分自身のキャリアについて考え、学んできた分野で、かつ無理のない企業が良いのではと思い農業系の公務員に転職しました。ですが、早くも転職を考え始めています。
理由としては、
・IT業界への思いが捨てられない ・組織的に安定志向で自分のライフスタイルに合わない
・自分の付けたいスキルが身につかない ・続けていく為だけの仕事にやりがいが持てない
などといった感じです。ですが、一度挫折したIT業界に戻ることにも当然不安があります。
現在は現職を続けつつ、プログラムの勉強に取り組み、成果物を作るなどして自信と転職の準備をしていこうと考えています。期間は一年程度を考えています。
その間に成果や自信をつけられれば前向きに転職に踏み切れるのではと思っています。
ですが、辛いです。合わないと思いながら働くのがまず辛く、辞めるつもりで働いているので教えてくれる上司の方などにどうしても申し訳なく感じてしまいます。私も出来ることならこんな事はしたくありませんでした。
私のしようとしている事はやはり間違っているのでしょうか。
このままでは気持ちが先に潰れてしまいそうです。
前向きに歩んでいくにはどうしたらいいのでしょうか?
回答
私はかつて7年間キャリアカウンセラーの仕事をしていました。その経験から感想を申し上げます。あくまで私の私見ですから、気を悪くしないで読んでくださいね。
あなたの悩みは、他の人から見れば贅沢な悩みに映るでしょう。
就職したくとも職に就けない人はたくさんいます。まして、今の日本の現状は、新型コロナウイルスの影響で、職を失う人や、収入が減少する人など、苦しみを味わっている人がたくさんいます。民間企業は、社会や世界の変化に大きな影響を受け、浮沈が激しく不安定です。
生活の安定を願う人にとって公務員は、どんな業種であろうと安定しています。国が亡びない限り失業も給与の心配もありません。ですから、多くの人が願う職種であり、人気の高い職種の一つになっています。
しかし、悩みは、本来主観的なものですから、他との比較はできないものです。あなたの悩みは、あなたにとって絶対的なものであり、毎日心に重くのしかかり、辛い気持ちにさせているようですね…。
あなたの悩みは、生きることと職業、働くことの意味に関わる根本的な問題提議になっていると思います。
人は何のために働くのか…社会から多くの恩恵を受けて日々の生活を営んでいる私たち人間は社会的な存在であり、一方的に恩恵を受けるだけでなく、労働を通して社会に貢献するという役割を担っています。そうしなければ、社会は成り立たないからです。
もう一つは、労働の対価という報酬で生活を営むという側面があります。端的に言えば生きるために働く、食べるために働くという経済的な側面です。この点を重視するなら、安定した公務員の仕事は文句のない職種になると思います。
最後は、仕事を通して自己実現していくという側面です。自分の能力が発揮でき、結果として社会や他者の役に立てる仕事をするということです。
自分のやりたい仕事に就く…子どもたちに将来したい仕事を聞くと…スポーツ選手、看護師、保育園の先生、パン屋さん、漫画家、医者、弁護士、デザイナーなどなど、と答えます。
しかし、中学校、高校、大学と進むにつれ、自分の能力、適性、学力、知識力、家庭の経済力や境遇など、いろいろな側面から、夢はいつしか現実的なものに取って代わられ、多くの子どもが、親の経済力、学力(偏差値)などで見切りをつけなくてはならなくなってしまっているのが現実です。
やりたい仕事に就くことができた人は、本当に幸せだと思います。しかし、自分がやりたいと思っている仕事と適性や使命は一致するとは限りません。自分が何に向いているのか、自分の適性は何なのか、やってみないと分からない点がたくさんあります。
選択は、ある意味賭けでもあります。一つを選ぶことは、他の多くの可能性を捨てることになります。職業選択も結婚も進学先選びも、ある意味、賭けのようなもので、実際に経験しないとわからない部分があります。まして、仕事は会社という組織も含めて考えなくてはならないので、必然人間関係という問題も含んでいるので、どんな人が職場にいるのかも大きな比重を占めます。今、人間関係で潰れ、転職をする人は増加しています。
選択は自由であり、何を選ぼうと自由です。しかし、自由には責任が伴います。
あなたのした転職の選択は、間違っているとは思いません。大事なのは、この選択をいかに価値のあるものかにするかです。あなたは、今の仕事を一年間と決め、その間、次に進みたいITの勉強もしたいという方向、それはそれでよいと思います。
そう決めたのなら、この一年、農業系の公務員の仕事に対して、『向いている、向いていない』という気持ちを横に置いて、その仕事に対して、全力で誠実に真剣に取り組むことが、責任を果たすことではないでしょうか。そして、一年たった時に、結論を出せばよいと思います。
私もかつて大学時代、職業選択に悩んだものです。やりたい仕事として作家を目指し、大学にも通わず、小説の勉強をし、6年間大学に在籍していました。しかし、経済的支援のない中、年齢的にも追い込まれ、切羽詰まって中学教師の道を選びました。教師になって誠実にその職を果たしていく中で、学級通信作成などを通して、自分のやりたかった創作活動もいつしか、活かせるようになっていました。
目の前の仕事を誠実にやり抜く…そのキャリアは、きっとあなたの心の財産になるでしょう…。