相談室(ブログ)

消えたい(20代女性)

2020.07.21

(質問)

仕事も、プライベートも、不自由ない生活です。
家族とは疎遠ですが、職場の人間関係は常に良く、人には恵まれていると思います。
仕事や、人と会うときは、身だしなみや外見にも気を使い、ネガティブなことは言わないようにしています。
そのため、周囲から「いつも幸せそうで、うらやましい」と言われたりもします。
私自身も、寝る所があり、少なくても収入があり、五体満足で、本当に恵まれていると思います。

実際は、毎日をなんとか生きる事で、疲れ切ってしまい、休日は朝から晩まで、横になっていることが多いです。
そして、ふとした時に「明日、このまま目が覚めなければ良いな」「自分の存在が、消えていたらな」と、思います。
理由が分かりません。

ただ、そのような思いを抱えて、日々を過ごしているうちに、だんだんと感情が無くなっていきました。
笑っていても楽しくないし、悲しくても涙が出なくなりました。楽しいとか、悲しいという感情も、あまり感じなくなりました。この掲示板で、このような抽象的なことを、お伝えしても、読んでいる方々が困ってしまうだろうな、と申し訳なく思います。

誰かがこの文章を読んでくれていた、というだけで良いので、こちらに投稿させていただきます。
とりとめのない文章を読んでいただき、ありがとうございます。

回答
臨床心理シランの室です。

太陽は今日も地球上のすべての生き物を育むために昇ります。雨の日も風の日も雪の日も…。自然の山や川や植物は本来、太陽と同じく他の生き物を育むように生きています。他の生命を育む…慈悲と言われるものです。人間も本来、慈悲をもった存在です。例えば、母親は無償で子の命を守り、育むものを誰人も持っていると言われています。
当たり前と思っている日常の出来事は、実はとても有難いことに溢れています。

今のあなたの苦しみには意味があります。それは新たな自分の生まれ出る疼きのようなもです。新生への種子であり、薬のようなものです。苦(にが)く辛いですが…。
あなたの心の中から、慈悲の心が疼き、あなたを救済しようとしているようです。
あなたには自己治癒力があります。あなたが願い努力すれば、その通りの自分になるでしょう。

あなたは今日まで本当の自分を生きてこなかった…つまり「自分がない」「自分が空っぽ」みたいになっていたようです。なぜそうなったのか、親の養育の影響もあるかもしれません。

あなたは、親や周囲の大人に対して、とてもよい人として振舞ってきたと思います。周囲の大人に対して従順で、素直で…。人の目にはあなたは、とても良い人に映ってきたようですね。結果的には、悩みもなく幸せに生きているような像を作ってきたのかもしれませんね。

しかし、もう疲れました。そんな生き方は限界になりました。あなたの本当の自分が、心の底から叫んでいるようです。本当の自分が窒息しそうで悲鳴をあげているようです。犠牲になってきたのが、もう一つの自分…つまりあなたの本当の自分のようです。

感情を抑え、人に対してわがままを抑え、したいことや言いたいことも抑え、周囲の人に合わせてきたようです。
これからは、自分の気持ち、自分の意志、自分のしたいことを、自分を抑えず振舞うことです。ありのままの自分を…。

青年期の一つの課題…「同一性の確立(アイデンティティ)…一貫して変わらない自分の存在」確立の時期ですが、その同一性が拡散状態になっているかもしれませんね。一般的に、青年はだれでも大なり小なり「同一性の確立」に悩み苦しむのであり、あなただけの特別な課題ではありません。ただ幼少期からの発達課題の積み残しが「同一性の確立」を他の人よりいっそう困難にしているのは事実でしょう。

同一性の拡散…自分がわからない、選択できない、判断できない、何がしたいのか、何が好きなのか…孤独、何もかもが空しいなど…。

しかし、あなたの努力で新しい自分を築いていこうという今の原因が、あなたの素晴らしい未来の人生という結果をもたらします。人間には可塑性が(柔らかい粘土はどんな形にも作り直せる)あります。ましてやあなたは、まだ20代の青年です。新しい自分を作っていけばいいと思います。

これからは環境に左右されるあなたではなく、自分の人生は自分で作っていく…自分の努力で、自分らしく生きる中で、あなたしかない持ち味・個性が発揮され、周囲の人があなたを認め、自己肯定感、自尊感情も高まっていくでしょう。自己実現の欲求が満たされれば、心が満たされ「空っぽな心」は充たされていくはずです。

充実した生き方は豊かな環境から与えられるものでも、親の愛情から得られるものでもなく、自分の目標に向かって生きる自らのき方の中で作っていくものです。

犠牲になってきた、もう一つのあなたを癒してあげてください。感情を温め、自由にさせてください。五感を使って心を癒すのもよいと思います。

目…心を癒すものを見る。朝焼け、夕焼け、海、空、花、自然、山、川、絵など…
耳…癒される音楽、鳥の鳴き声、せせらぎ、好きなラジオ、好きな人の声など
舌…好きな食べ物、コーヒーや紅茶、ハーブティー、など
鼻…いい匂い、アロマ、花の匂いなど
身体(触)…散歩、運動、複式呼吸、温泉、入浴など
意識…読書、友達との楽しい会話、日記を書くなど…。