相談室(ブログ)

人とかかわるのが怖い(対人恐怖)どうすればいいのでしょうか? …メール相談・10代後半女性

2019.04.30

回答
はじめまして、臨床心理シランの室です。
人と関わることが怖くて辛い、しかし学校にはいかなくてはいけないという二つの心のぶつかり合い(葛藤)に押しつぶされそうな毎日。本当に辛いと思います。

10代後半の人生を生きている人は、大なり小なり人間関係や人との関わりや自分の在り方に悩んでいるものです。人間の心がわからず、自分もわからないから当然の悩みです。人は悩み、それを解決していく度に確かな成長を遂げていくものです。あなたの今の苦悩は、あなたを大きく成長させる貴重な糧になるでしょう。

あなたの心が勝手に作り上げたイメージが対人恐怖を呼び起こしていますので、それを修正すれば恐怖はなくなります。自分でもできると思いますが、スクールカウンセラー(大学生なら、学生相談)に相談されれば、気持ちも早く楽になると思います。

以下に述べることは、少し難しい話になるかもしれません。
不安や恐怖という感情には本来、イメージも言葉もありません。純粋な感情体験だからです。その心境が「言語道断(ごんごどうだん)」(言葉を離れた純粋な心の働き、言葉で説明できない心の状態)という意味です。

純粋な感情(怖いという感情)に、言葉を当てはめてしまうところから苦しみが生まれます。人が怖いという頭に浮かぶイメージを言葉で解決しようとやりくりするところに苦しみが生まれます。

人と関わる場合に、「どう思われているのか」「悪く思われないだろうか」…つまり「よく思われたい」と人の評価を意識し気にしすぎると、本来の会話に集中できなくなります。結果、会話はぎこちなくなり、自然さを失ってしまいます。他人の評価、他者に対する意識過剰が苦しみをもたらしています。つまり、今の苦しみはあなたの独り相撲とも言えます。

不安や恐怖という感情を言葉でやり繰りせず、「あるがまま」に受け入れ、緊張したまま、恐怖したまま、ただただ目前の会話や人との関わりだけに集中すればいつの間にか、恐怖は気にならなくなります。頭の中に浮かんでくる言葉でやりくりし、不安や恐怖を言葉で追い払おうとすればするほど、「とらわれ」から抜け出せなくなり深みにはまります。

まるで杭に繋(つな)がれたロバが、動けば動くほどヒモが絡まり動けなくなる状態に似ています。
恐怖や不安という感情は頭の中の言葉ではどうすることもできないのです。あるがままに受け入れるしかないのです。

人と関わる場合、「話をしなければとか」「うまく話しをしなければ」と他者の評価を意識するのではなく、そばにいて黙って話を聞く人になれば気も楽に人と関われると思いますよ。無理に話す必要はありませんよ。聞き上手になれば人から多くを学ぶこともできます。あなたは、よりよく生きたいという欲や気持ちが強く、理想が高い人のような気がします。

思春期・青年期は現実と理想のギャップの大きい時でもあり、そのギャップを埋めようと焦ったり、うまくいかず自信を失ったり、自己嫌悪になったりする時でもあります。現実と理想のギャップが一層あなたを焦らせ苦しめているようですね。この時期の友達は一生の宝にもなるほど大事なものです。親友と呼べる存在が一人できれば十分だと思いますよ。

あなたの現状は、これまでの人生の中で学習(心理学でいう学習)し、身につけた心的な習慣ですから、学習をやり直し認知の仕方、物事のとらえ方や行動の修正を図る必要があるでしょう。加えて思春期・青年期特有の自意識過剰、自己と他者を比較する心情、精神的不安定さ、自分探しなどの課題のため、自我が混乱し不安定状態になっている可能性もあります。

自分を知ることが大事ですね。他人という自分を映す鏡の存在があれば、自分を知ることができると思います。是非カウンセラーに相談されてみてください。
また事実と感情の記録…日記をつけることも自分を見つめる貴重な手段になるでしょう。あなたは、若いので心の可塑性に富み可能性も秘めているので、いくらでも修正できますし成長できると思います。自ら学び自分で解決できるかもしれません。