(質問)
現在39歳です。20歳からタバコを始めました。現在一日30本近く吸っています。30代になって、健康面、経済面、また会社環境などを考えて禁煙しようと何度も試みてきました。禁煙セラピーの病院に行き、薬ももらったことがあります。しかし、なかなかうまくいきません。ニコチン依存は治らないのでしょうか。依存症は認知行動療法が有効だと聞いたことがあります。そちらのカウンセリングルームで、認知行動療法をしているとホームページで知りました。禁煙について対応していたらカウンセリングを受けたいと思うのですが…。
(回答)
認知行動療法的アプローチでタバコ依存のカウンセリングをしています。まず、心理教育として、たばこの害や経済的側面などを知ることも大事です。
タバコがやめられなくなること…ニコチン依存について、少し所見を述べます。
・あるとき、たばこを吸うことを覚えます。はじめは、体が受け付けないくらい、不快なものであったものが、いつの間にか、心身がニコチンを求めるようになり、習慣化されてしまいます。
・そのうち、タバコがうまいと感じることを体感。それは、ニコチン受容体の働きであり、脳内に心地よさを感じる物質ドーパミンを出すからであり、それがおいしさを感じさせます。
・ニコチン依存症とは、血中のニコチン濃度が、ある一定以下になると不快感を覚え、喫煙を繰り返してしまう疾患です。たばこを吸うと肺からニコチンが取り込まれ、すぐに脳内のニコチン性アセチルコリン受容体に結合します。それにより、快楽にかかわる脳内神経伝達物質であるドーパミンが大量に放出され、強い快感がえられ依存が始まります。
・この依存には「身体依存」と「心理依存」があります。依存症に共通するのが、「心理依存」の「学習化・習慣化」を変えることの難しさです。この心理依存から解放されなければタバコはやめられません。つまり、心に刻み込まれた「快感」というイメージからの自由になることです。ここに「認知行動療法」的アプローチの出番になります。
・ストレスと依存症の関係を知ることも大事です。強いストレス環境下で快楽を求めて依存症になります。ドーパミンは、快楽物質に潜むからです。それは快感、達成感、驚き、新しいことを行った後の報酬などを伴うから癖になってしまいます。これも認知行動療法の学習理論的アプローチで習慣を変えていきます。
具体的な禁煙法については来所時のカウンセリングで、あなたの性格や置かれた背景や境遇を考慮しながら認知行動療法的アプローチを進めていきたいと思います。