相談室(ブログ)

不安障害・心気症が再発し生活に支障をきたしています

2019.11.30

質問
不安障害「心気症」が再発してしまいました。ちょっとした体の痛みだったりが気にしてしまったり日常生活にまた支障が出てきてしまいました。どうすれば気にせずに大丈夫だと考えられるでしょうか?よろしくお願いします。ほんとに辛いです

回答
臨床心理シランの室です。
毎日のことですから辛いですね。

人間は先のことがわからないときに不安になります。だれしも生きている以上、不安(気にする事)から免れることはできません。生きることの不安、病気への不安、経済不安、将来の不安など…最後は死の不安です。

多くの人は、不安を感じないように生きています。しかし不安はなくなるわけではありません。生きていることと死ぬことは表裏一体です。生きることの中に、安全に生きたいという本能的欲求が存在しています。

この本能的安全欲求が、人類を発展深化させました。一例ですが、恐怖や不安から人間は、火を起こし、明かりをあみだし、道具や武器を作り、風雨をしのぎ、衣食住の安全を確保してきました。不安と恐怖があったからこそ進化発展を遂げてきたのです。

日常はさほど不安を意識せずに生きていますが、大事な行動や重大な決断や選択のとき、将来の結果が見通せないために不安が強まります。ただ人によって、不安を感じる強弱は個人差があります。不安の対象が何かに強く固着し特定されると精神疾患の様相を呈します。心臓の動きに固着すれば、心臓神経症に、他人からどう見られているかという自分にばかり意識が固着すれば対人恐怖症に、体のある器官の動きに固着すれば、心気症傾向になります。

それらの不安の根底には、「よりよく生きたい」「いつもよい自分でありたい」「人に良く思われたい」「いつも健康でありたい」などの現実を度外視した理想の高さや完全欲の強さがあります。その快適さや快感への欲求の強さは、不快感に敏感になってしまいます。また生きる意欲の強さは必然、死の恐怖感を強めます。生と死は表と裏の関係だからです。

不安を軽減するために、人は備えをしたり努力をしたりします。そのように対応をすることで、不安の原因を取り除くことができるからです。不安軽減法の第一は、事前の準備を周到にすることと正確な知識の獲得です。情報収集も大事になります。よく知っている人に相談することも大事です。

事前の準備や正確な情報収集(認知・知識)が完全になればなるほど不安は減少しますが、なくなるわけではありません。あくまでも減少するだけです。不安がなくなれば、よりよく生きようという気持ちもなくなるからです。不安は人間を成長させる貴重な感情なのです。

あなたは養育環境の影響から、人よりも不安を持ちやすい人のようです。

まず「不安」発生のメカニズムを知ることです。不確かな未来への、自分の想像が際限なく不安を生み出しているメカニズムを…。あなたの不安の多くは、あなたの想像の産物であり、頭の中で勝手に作り上げた世界であり現実ではありません。

あなたは、まず現実と感情のたてわけをしっかり区別し、感情本位(不安)から、事実本位(ありのままの事実)に生きることです。
将来のことを予想するときは事実に基づくようにします。また「もし~だったら」という考えは、事実ではなく、空想や想像に過ぎないと見極めることです。あくまで事実第一に考え、行動することです。

次に、自分の思考、行動、感情、生理というつながりを知り、不安軽減の効果的な方法を身につけることです。自己観察記録をつけ、自分の感情と行動と事実の分析をし、自己コントロールを習得することも大事です。
強い不安は、時間とともに薄れるという性質があります。不安に襲われた時、頭の中であれこれ考えると不安は強くなりますので、頭の中の考えは浮かぶにまかせ、目の前のやるべきこと、仕事などの事実に専念していけば、不安は薄れます。時間とともに弱まるのも不安感情の特徴です。

心の安全基地・拠り所…心理的サポーターの存在が大事になります。興味・関心のあることは、心のよりどころになるでしょう。
自己信頼-自己肯定―自分を受け入れる…信頼できる人の存在が大事になります。

どんな自分も受け入れられる自分になること…人間には自然治癒力があり、限りない心の広い世界、大海のように、何でも受け入れることができる母なる世界が内在していると言われています。それこそ、安心立命の境地であり、母親に代わる安全基地になります。
最終的には、自己信頼の獲得が課題ですが、すぐに達成できるものではありません。

不安を強める心理として、罪悪感、自責があります。必要以上に罪悪感にとらわれないようにしましょう。自分をありのままに認めるようにしましょう。
また自律神経の乱れから不安を強く感じたりすることもあります。
規則正しい生活…早寝早起き。規則正しい食生活や甘いもの控え、和食等の自然食傾向にするとよいでしょう。

軽い運動やストレッチやウォーキング。朝日を浴びる。入浴。複式呼吸、背筋を伸ばした姿勢で歩く。弛緩法・自律訓練法を身に付けるなど生活習慣の見直しも効果があると思います。

ふあ