相談室(ブログ)

シランの室ベストアンサー集…恐怖症、トラウマ、大人の発達障害、自分がわからない…

2019.02.17

臨床心理シランの室では、カウンセリングCOM、心理カウンセラーCOM、カウンセリング専門館、心理カウンセリングサーチの無料掲示板に回答しています。今回、その中で「ベストアンサー」となった五つの回答を紹介します。

〇「密集恐怖症を治したい」(カウンセリング専門館) 女性 2019,2,14 

はじめまして 臨床心理シランの室です
密集恐怖症は正しい治療法に則っとって治療していけば改善されます。今日まで、多くの人が改善しています。

ゴキブリを怖がる人は多くいます。蛇はほとんどの人が気持ち悪く思い、怖がります。犬に咬まれ、それ以来、犬恐怖症になる人もいます。注射恐怖、病気恐怖、不潔恐怖…、世の中には本当にたくさんの恐怖症があります。

恐怖体験は、一度で脳に深く刻まれ、記憶され、忘れられなくなります。その恐怖体験が、のちの生活に影響を与えるものになるか、それとも徐々に消化され、やがて気にならない存在になるかは、その人の性格や気質やそのときの精神状態によると言われています。

過去のあるときの密集したものに対しての恐怖体験がきっかけになり、それ以降、密集したものを過度に意識してしまい、結果、恐怖に襲われてしまう。それがあなたの身体状況にまで影響を与えているということですね

恐怖という不快感情は身体に影響をもたらします。胸が苦しくなったり、動悸がしたり、吐き気やめまい、食欲にも影響を与えます。緊張や興奮が交感神経に影響するからです。

人間はイメージや自己暗示(自分に投げかける言葉)によって、喘息を引き起こしたり、ジンマシンになったり、発熱したり、胃が痛くなったり、様々な身体症状をもたらすと言われています。心と体は一体の関係なのです。

あなたの頭皮のかゆみも心のイメージがもたらす結果のようですね。
恐怖症に効果がある心理療法は、認知行動療法か森田療法が実績も高くお勧めです。本を読んで自ら実践されるのもよいと思います。自力で無理であれば、上記のカウンセリングを受けられるが早道でしょう。(私的なことで恐縮ですが、私は25歳の時、心臓恐怖症になり、本を読んで自力で克服しました。HP自伝に記載)

自分自身の性格や認知や行動の傾向を知り、修正していく必要があります。それを可能するのが認知行動療法であり森田療法です。
過去に見た画像が脳裏によく浮かぶ。気にする…過度に意識する…それにとらわれ、執着する。その囚われがすべての原因になっています。囚われという字のごとく、あなたという人が、密集した画像に囲われた状態、囚われの身になっているようです。

その囚われからの解放が治療目標になります。
つまり、頭の中の画像を言葉で取り払おうとしたり、思い浮かばないようにしようとしたりすればするほど、犬に追いかけられるように恐怖に追いかけられるようになっています。つまり、今の苦しみはあなたが増幅させているといってよいでしょう。

不安や恐怖という感情を言葉でやり繰りせず、「あるがまま」に受け入れ、緊張したまま、恐怖したまま、画像のイメージを受け入れれば、逆に恐怖や不安はおさまっていきます。不安や恐怖を言葉で追い払おうとすればするほど、「とらわれ」から抜け出せなくなり深みにはまり、密集恐怖は増幅されます。

あなたは、よりよく生きたいという気持ちが強いため、不快を避ける心が強くなっています。今はそれが恐怖症状を強めあなたを苦しめていますが、克服した場合はプラスとなり、あなたは人間として一回り成長をとげるでしょう。

〇「将来どうしてよいか悩んでいます」(カウンセリングcom) 30代前半、女性 2019,2,6

はじめまして 臨床心理シランの室です
「青春の夢に忠実であれ」とはドイツの有名な詩人シラーの言葉です。

あなたは決して中途半端ではありません。むしろ、自分の気持ちに忠実に生きようとしたりしているため、迷いも多く中途挫折を経験しているに過ぎないと私は思います。

フラフラしているのではなく、本当に自分にふさわしい道、ある意味アイデンティテイの確立を求めて生きている結果のように見えてなりません。

留学という異国の体験で考えた養護教諭の道…理由も立派だと思います。その道を目指し、あなたの夢をかなえるべきだと私は思いました。

私的なことで恐縮ですが、私は高校中退し働きながら定時制高校卒業。アルバイトをしながら、3年間大学受験浪人。志望学部も、理工学部、医学部、最後は総合科学部に妥協するように入学しました。大学に入っても、フワフワ彷徨い、学校に行かず深夜のバイトづけ、小説家を目指した時期もありましたが、一念発起し、教師の道を目指しました。大学を29歳で卒業した後、中学教師になりました。振り返ってみると最も自分にあった道だと思えるようになったものです。(HPに記載)

教員になった人の中にも、いったん社会に出て、教師になろうと通信教育で教職免許をとり、
教壇に立っている人を同僚として何人も見てきました。中には40歳近くで教師になった人もいますし、何回も採用試験に失敗した人もいますが、あきらめずに執念をもって臨んだ人は最後は教師になっています。学卒でそのまま教師になった人よりも、社会に一回出た人のほうが、考えや心に幅があり、子どもの気持ちがわかる人が多く、教師としても立派な方が多かったような気がします。その意味では、看護師を2年間経験し、社会を知ったあなたはそれだけで人生経験の幅が広がっています。きっといい養護教諭になれると思います。

私は臨床心理士資格を、教師をしながら佛教大学大学院の通信で学び取得しましたが、同期はみな40歳代以上の仕事を持った人たちでした。その中に40歳の現役の客室乗務員(既婚者)の方がいました。彼女は臨床心理士資格を生かして心病む人たちに貢献するという強い目標をもち、臨床心理士となり、現在スクールカウンセラーで頑張っています。

看護師をしながら養護教諭を目指すのもよいと思うし、他職に携わりながら養護教諭を目指すのもよいと思います。養護教育になるということを目標に掲げ、その達成に向かって今は努力を重ねることです。そして必ず目標達成すると強く念じることです。

よい人に巡り合えば結婚することになるでしょうが、養護教諭の道は貫くべきだと思います。

先輩や友人に相談することも大事でしょう。相談する…他者に自分の一部を開示することによって、自分では気づかない自分の一面に気づいたり、多くの新しい情報を得たりするなど、視野が開けると思うからです。

決断することは、ある意味、賭けでもあります。人生に確実性が保証されているものは少ないといってよいでしょう。確実性をもたらすものは、決断後のあなたの行動であり、努力であり、経験の積み重ねです。

全てがわかって決断できるものではありません。多くの人は、不安を抱えたまま決断しています。一つの選択は、他の多くの可能性を捨てることでもあります。捨てるからこそ、選択したもの大事にしていくのです。努力してものにしていこうとするのです。

人は悩み、それを解決していく中で成長を遂げていくものです。あなたの今の苦悩は、あなたを成長させる糧になるでしょう。

養護教諭となって青少年を心の病から守り、未来に生きる人たちの灯台になられんことを私は願っています。あなたならきっとよい養護教諭になれると信じています。

〇「やりたいことがわからなくなりました」(心理カウンセラーCOM)10代後半、女性 2018.10.23

はじめまして 臨床心理シランの室です
大事な進路選択です。一人で悩まず先輩や、その道の専門家に相談することを勧めます。相談する…他者に自分の一部を開示することによって、自分では気づかない自分の一面がわかったり、多くの新しい情報を得たりするなど、視野が開けると思います。

相談先としては、専門学校の進路担当、HWの新卒コーナー、準公的な機関の若者の就労をサポートする機関など、無料で相談できるところは、たくさんあります。ネットで調べれば見つかると思います。しかるべきところに相談し、ある程度自分の方向が決まった時点で、ご両親に話をすればよいのではないでしょうか。

職業の選択を決断する時には、何のためという目標や目的、進路先の仕事の内容や会社情報など、自分にとっての適性や価値の有無、そして何よりも大事なのは、その仕事をやってみたいという意欲がどのくらいあるかが大事になると思います。

自分がその仕事に向いているのかどうかという適性は、厳密には経験してみて初めて分かるものです。はじめからわかる人は、ほとんどいないといってよいでしょう。ただ周囲の人が「○○に向いているよ」とか「○○になったらいいよ」などと進めてくれる場合はありますが、実際は経験してみないとわかりません。

あなたの現時点の状況は、動物関係の専門学校在学→それに関連する職種を探す→どこかしっくりいかない。しかし、現実は、自分に向いているかどうか、仕事ができるかどうか、自分の本当にやりたい仕事なのかどうかと、現実と理想が不一致になっている状態のようです。青年期は現実と理想のギャップの大きい時です。

選択することは、ある意味、賭けでもあります。人生に確実性が保証されているものは少ないといってよいでしょう。確実性をもたらすものは、決断後のあなたの行動であり、努力であり、経験の積み重ねです。

全てがわかって決断できるものではありません。多くの人は、不安を抱えたまま決断しています。一つの選択は、他の多くの可能性を捨てることでもあります。捨てるからこそ、選択したもの大事にしていくのです。努力してものにしていこうとするのです。

私的なことで恐縮ですが、私は自分の進路に迷い6年間大学に在学しました。曖昧な学部のせいもあり就職で悩みました。親友に相談したりしましたが、多くのことがわからないまま、教師の道を選択しました。適性や能力以上に、その道に賭けたのです。それから努力し学び続けました。(HPに記載)

人は悩み、それを解決していく中で成長を遂げていくものです。あなたの今の苦悩は、あなたを成長させる糧になるでしょう。

〇「アスペルガーADHDかもしれない」(カウンセリング専門館) 40代男性  2018.8.2

はじめまして 臨床心理シランの室です
ユングという有名な心理学者は、人間の発達段階で「思春期」「中年期」を危機ととらえていました。あなたも、「中年の危機」に差し掛かっているのかもしれませんね。

現在、精神科医が使っている精神医学の診断基準は、DSM-5が使用され、編纂を重ねるたびに病気が増えるという不可解な現象が起きています。

発達障害の分類も変わり、自閉症ゾーンは「自閉症スペクトラム」という名のもとに大きく括られるようになりました。

鬱は、この30年間で5倍近く増加し、うつ病患者は100万人を超えています。
同じように発達障害も流行現象のような傾向にあります。会社、組織、学校、家庭など人が集まるところ、少し変わった行動をする人がいれは、「あの人、発達障害じゃない?」などと不謹慎にも簡単に口に出したりしています。鬱にしても、発達障害にしても、ここ10年で加速度的に増加しています。

今、大人の発達障害ということがよく話題になります。もともと発達障害は幼少期、おそくとも学童期にははっきりした症状があるため、現在は多くは定期健診で診断されます。

障害故にかなりの生き辛さがあり、一般の子どもたちと一緒の生活をすることに支障をきたし、特別支援教室なので生活したりしています。障害特性ゆえに、本人が、普通学級での生活に耐えられないからです。

さて、長くなりましたが、あなたの悩みに関して意見を述べます。
もしあなたが発達障害であれば、幼少期や学童期、小中高学生時代に生き辛さを感じ、失敗を多く重ねたり、対人関係がうまくいかなかったりで、40代まで仕事は続かなかったでしょう。このひとつからしても、あなたは発達障害とはいえないと私は思います。

あなたが分析しているように「発達障害、そうか自分の欠点はそのためだったのかという肯定」のようなものです。そのようにカテゴリー化したところで、何かプラスになるものがあるのでしょうか。

診断は両刃の剣のようなものです。診断名がつけば安心できる部分がありますが、その疾患にとらわれ長く苦しむというマイナスの部分があります。

著名な専門家に言わせれば、発達障害は「発達のアンバランスの問題だ」と言っています。一般の人より優れた部分もあるし、また劣っている部分もあるということで、発達のデコボコ状態だと言っています。

普通の人より、発達のバランスの程度が激しいというだけのことです。ですから、不安な状態で、発達障害の人のブログをみれば、誰でも発達障害の症状があてはまるような気になるはずです。暗い山の中を一人で歩いていると、不安と恐怖心から揺れるススキが幽霊に見えるようなものです。

健常者(普通の人)でも、ADHD傾向を見ることができますし、アスペルガー傾向を見ることもできます。不注意や衝動的、多動というのは誰でも大なり小なりあるものです。日常生活に支障を来していなのであれば、全く問題はありません。あなたの場合は社会生活(仕事)がまともにできているのですから、問題はないと思います。

よく例に出される代表的な有名人…アインシュタイン、ピカソ、黒柳徹子(ADHD)などの方々も、発達障害ではなかったのかと言われています。彼らは秀でた特徴を最大限に生かし、自らの適性を活かした人たちです。

診断名より大事なものは、あなた自身が自分の性格や能力の特徴をよく知ることです。自分をよく知って、欠点より、良い面、長所を生かす生き方を努力していけば問題なく生きていけると思いますが、どうでしょうか…。

〇「5.6前のいじめから苦しんでいます」(心理カウンセリングCOM) 2018.5.14 10代後半女性

はじめまして 臨床心理シランの室です
小中学校といじめに遭い、だれよりも苦しんだあなたは、だれよりも人の心のわかる人です。だれよりも辛い思いをしたあなたは、だれよりも人の優しさに敏感な人です。そういう人がこれからの社会に世界に必要なのです。朝の来ない夜はありません。今の辛さがずっと続くはずはありません。生きて生きて生き抜いて、優しさの少ない今の大人社会の中で、いじめられている人の味方になってください。そのためにも一日も早く立ちあがってください。

世界の偉人もみな酷いいじめ(迫害)に遭いましたが、それを乗り越えたから偉大な人間になっています。
キリストしかり、御釈迦さんしかり、ガンジーしかり、キング牧師しかりです。数え上げたら枚挙に暇がありません。

癒しの根本は自己治癒にあります。
例えば、身体の外傷は本人(自己)の治癒力によって治っていきますが、それは本人が何かをすることによって治っていくものではありません。それを誤解すると、早くかさぶたを取ろうとすると、また出血するようなことになります。自己治癒の自己とは自分の知らない自己であり、自分の知らないうちに作用しているところに特徴があります。これは操作することと対極にあります。
 
あなたも高校時代には、「クラスの中でも明るくなり、友達もたくさんでき、心から大切にしたい友達もできた」と言っているように、そのときは別に何かを操作したわけではなく、嫌なことも全て忘れていたわけです。

少し難しい内容になるかもしれませんが、長期間のいじめによる複雑的心的外傷体験(トラウマ)は、ある意味「瞬間冷凍された体験」のようなものです。冷凍されているが故に、心はその体験を過去のものとすることができず、いつまでも新鮮なままで抱えることになります。いわば「現在に生き続ける過去」として、さまざまな心理的な機能に影響を与え続けています。心的外傷を癒すということは、その凍りついた体験を解凍し、本来の認知的枠組みの中に消化吸収していくことだと考えられます。

幸せで快適な出来事は心的外傷の癒し(ケア)に重要な役割を果たします。例えば高校生活の友達関係のような体験…楽しく、未来が展望できるような、積極的生き方ができるようなできごとを日常生活の中で作ることが大事です。

そうした生活をたくさん経験し積み重ねていくことで、あなたも自然自己治癒されていくでしょう。
あなたは人の心がわかる優しさの持ち主なので、きっといい人にまた出会えると思います。何よりもいい人、いい友達の心に触れることが一番の癒しになると思います。

最後に黒人女性の詩を紹介します。

どうぞお書きなさい私のことを 歴史の中に 
あなたの意地悪なねじくれた嘘で固めて
どうぞ私を踏みつけなさい 泥の中で 
でもそれでも  塵のように 私は立ち上がる

私が絶望しているのを見たかった?
頭(こうべ)を垂れて 視線を落としているのを?
肩をおとしているのを
涙の粒が落ちるように 心の叫びに弱り果てて
……    ……

どうぞ私を撃ちなさい あなたの言葉で
私を切りなさい あなたのまなざしで
私を殺しなさい あなたの憎しみで
それでも空気のように 私は立ち上がる
……  ……

恐怖と恐れの夜を置き去りにして
私は立ち上がる
素晴らしく澄んだ夜明けの中へと
私は立ち上がる
私の先祖がくれた贈り物を持って
私はその夢そして奴隷の希望
私は立ち上がる
私は立ち上がる
私は立ち上がる
(現代アメリカ黒人女性詩集、水崎野里子訳)