相談室(ブログ)

どうしたら自分の思ったことを喋れるようになりますか?

2019.05.28

質問「会社で声が小さいこと毎日怒られます。怒られると余計に怖くなって声が小さくなってしまいます。
自分でも治そうと思ってるのですがボソボソ喋ってしまいます。これを言ったら相手が気を悪くしないかばかり考えて喋ることに抵抗があります。会話も相槌しか打てません。どうしたらはっきりと自分の思ったことを喋れるようになりますか?」

回答
はじめまして、臨床心理シランの室です。

自己表現力(気持ちを伝える力)は、自然に身につくものではありません。家庭や学校の中で、両親や兄弟、友達、先生との会話や発表・発言の場で身についたものといってよいでしょう。

水泳や鉄棒の逆上がりが練習の結果、できるようになるのと同じで、自己表現力も練習することによって身についていくものです。よい表現の仕方には、考え方や物事のとらえ方(認知)、自己肯定感や自信の有無なども影響してきます。自らを理解し、表現の特徴を知り、訓練を重ねていけば、必ずよい表現力を身に付けることができるようになります。

表現力には三種に分けることができます。
一つ目は、攻撃的な表現と言われるものです。自分のことだけを考えて他者を省みないやり方。私はOKであるが、あなたはOKでないという考え方が背景にあります。

二つ目は 非主張的な表現です。自分よりも他者を優先し、自分のことを後回しにするやり方。私はOKでないがあなたはOKという考え方がベースにあります。

三つ目は、 自分も他人も尊重する表現で、アサーティブな表現と言われ、理想的な表現力です。自分のことも考えるが、他者も配慮するというやり方です。私もあなたもOKという考え方に基づく自他肯定の考え方に基づいています。

日本人に多いのは、非主張的な表現と言われています。それが「奥ゆかしさ」などの美徳になった時代もあります。しかし、欧米の考え方が入り、自分の権利を主張する傾向が見られるようになり、「攻撃的な表現」をする人も増えてきました。特に立場の弱い人に対する攻撃的表現…パワハラ、モラハラをはじめ、クレマーなどに見られます。

非主張的な人の特徴として、弁解がましい、黙る、服従的、承認を期待する、相手まかせ、他人本位、依存的、自己否定的、消極的、卑屈、引っ込み思案、自信のなさ、自己高手諦観の低さなどの傾向がみられます。

自己肯定感が低く、自信がないと、他者評価に左右されがちになります。また相手に対して、「よく見られたい」「悪く思われてはいけない」という気持ちが強くなると過度の緊張を招くことになります。結果、ぎこちない態度になったり、声が小さくなったりします。

自分の気持ちを相手に伝えることよりも、「よく見られたい」「悪く思われたくない」という他者の評価に重点がかかるため、自己を防衛し緊張感が高まります。

まずは、「緊張は誰でも当然するものだ」と事実をあきらかにみて、受け入れることです。
次に、相手に話す内容、自分の気持ちを伝えるということに集中する。そのためには、事前の準備が必要です。気持ちを伝える訓練や練習をすることです。

物事に取り組む万般にわたることですが、事前にどれだけの準備をするかで、成否が決まると言われています。事前に綿密な準備をしていれば、余裕ができるしリラックスして物事に向き合えます。

準備をしていても、その場になったら緊張は避けられません。そのときは、大きく息を吸って、少し止め、ゆっくり長く吐くなどを繰り返します。また、「筋弛緩法」(ネットで調べれば出てきます)などを行い、気持ち落ち着けるのも、使えるリラックス法です。

時間や経済的に余裕があるのであれば、認知行動療法・アサーショントレーニングのカウンセリングを受けることをお勧めします。それができないのであれば、関係書籍を読むことで身につくこともあると思いますので、
アサーションの第一人者である平木典子さんの本を紹介します。

「アサーショントレーニング…さわやかな自己表現のために」(金子書房・平木典子著)