相談室(ブログ)

怒りは、自分も他人も不幸にします。

2023.01.14

 地獄は、想像もできないほどの苦しみの極致の世界をいいます。人間の能動性、自由は一切奪われ、ひたすら苦しみを味わう境地が地獄です。自分の生命の中にある地獄の世界から脱出することもできない境地、それが地獄です。自分の生命そのものが地獄の苦しみを受けているので、何をしても、どこにいても、地獄を味わうのです。他人には絶対に分からない苦しみの境地です。そんな境地は、だれしも避けたいし、なりたくないものです。
 しかし、瞋り(いかり)が、私たちを地獄につれていくのです。
 
 では、なぜ瞋りが地獄を誘うのでしょうか。
「怒り」正確には「瞋」(しん、いかりとも読む。目が怒りで一杯になる様子という意味)それは 苦しみをもたらすものに対して憎み、それをたたく、破壊する。害する。憎恚(ぞうい)することです。
 瞋りは、あらゆる生命あるものを破壊していきます。戦争は瞋りから起こります。現在のロシアの戦争が、指導者の瞋りから端を発し、多くの瞋りを誘発し、今や、戦場は地獄絵図と化しています。
 何も戦争だけではなく、争いの多くは瞋りから起きています。争いは地獄という苦しみをもたらします。

 瞋りは自分に不利益をもたらすもの、思い通りにならないものに対して、憎み、攻撃し、恨み、害していく性質をもっています。瞋りが相手に向かえば、争いとなり、相手を傷つけ、相手を地獄の世界に巻き込みます。瞋りが自分に向かえば、自分を傷つけ、傷め、攻撃し、最後は自分を害する自殺まで追い込んでしまいます。
 心の病、鬱などの根底に瞋りが渦巻いているのを私も経験から何度も目にしてきました。
 
 「瞋り」はどうして起きるのか。また怒りにはレベルがあること。そして瞋りが善につながこともあること。さらに瞋りからの解放はどうすればよいのか。
 
 怒りの原因の一つに、対象への強い執着があります。それも自分にとって利益をもたらすものに対して瞋りは生起します。例えば、お金、地位、好きな人などを手に入れたい、自由にものにしたい、支配したいなどの欲望です。それを阻止されたり、思いどおりにならなかったりした時、人は瞋ります。執着の強さによって、瞋りの強さも変わってきます。ですから、自らの執着の対象や強さを知しらなければいけません。同時に、思い通りにならなかったとき、どのようにして自分の瞋りを押さえるのかを身につけなければなりません。