引きこもりのカウンセリングの実際…当室スタッフが面接した主な事例(最近5年以内)、年齢は初回来所時です。
年齢は19歳から58歳までをあげています。6割が中高年の引きこもりの相談になっています。60代の方の面接も2件受けたことがあります。ほとんどが男性で、長男です。
引きこもり期間が長くなればなるほど、また年齢が高くなるほど、社会復帰が困難になっています。
本人自らが相談に来所されることは稀です。まず保護者(母親)が、なるべく早くだれかに相談されることをお勧めします。
引きこもり者の大半に共通しているのが、孤立感、人間不信、人間関係上の問題、過去の出来事の傷つき体験によるトラウマ(職場や学校のいじめ、パワハラなど)があります。
〇主な相談事例(プライバシー保護のため、組み合わせを変えたりしています)
1, 58歳男性 引きこもり歴2年 母親と二人暮らし。母親が電話で相談。訪問面接。4か月後就労開始。
2, 57歳男性 引きこもり歴2年 母親入院、本人が相談に来る。半年後、職業訓練、資格取得後就労開始。
3, 55歳男性 引きこもり歴2年 単身。兄が相談に来る。訪問面接10数度後、本人自ら福祉事務所に相談に行く。
4, 52歳男性 引きこもり歴18年 父親死去後、母親は長期入院。弟が相談に来る。訪問後本人来所。1年後短期間就労開始。
5, 47歳男性 引きこもり歴20年 両親と3人暮らし。母親の妹が相談に来る。訪問で両親面接20回。2年後、本人に面接。
6, 45歳男性 引きこもり歴7年 母親と二人暮らし。母親が相談に来る。手紙支援数度。本人と面接できないまま。
7, 42歳男性 引きこもり歴3年 母親、姉と三人暮らし。母親が相談に来る。本人来所。半年後、職業訓練受講後、就職活動開始。
8, 45歳女性 引きこもり歴 20年 叔母と二人暮らし。叔母が電話で相談。訪問面接。2か月後就労開始。
9, 38歳女性 引きこもり歴 15年 母親と二人暮らし。母親が相談に来る。母親と一緒に来所。10回の面接後、就労移行施設通所。
10, 32歳男性 引きこもり歴 8年 母親と二人暮らし。母親が相談に来る。本人来所。10回の面接後、就労支援施設を経て就労開始。
11, 29歳男性 引きこもり歴 7年 両親と三人暮らし。本人が来所。20回の面接後、就労移行施設を経て就労開始。
12, 34歳男性 引きこもり歴 2年 両親と三人暮らし。母親が相談に来る。本人来所10回の面接後、就労活動開始。
13, 40歳女性 引きこもり歴20年 両親と三人暮らし、母親が入院。父親が相談に来る。家庭訪問面接後、就労移行施設通所。
14, 19歳男性 引きこもり歴2年 両親兄弟同居。母親が相談来所後、本人来所。12回の面接後、就労開始。
面接の方法に一定のやり方があるわけではありません。社会復帰のプロセスは、個人の性格、家庭環境、養育環境、置かれた境遇、学歴、仕事歴が皆異なっていますので、それぞれ異なってきます。カウンセリングは、個人に一番ふさわしい道を共に模索しながらつくっていく作業でもあります。当ルームのスタッフだけでは社会復帰はうまくいかないケースがほとんどです。ハローワーク、就労移行施設、若者サポートステイション、役所の福祉課や社会福祉協議会などと連携しながら進めています。
一番大事なことは、支援者とひきこもり本人との関係性の構築…信頼関係ができるかどうかが鍵を握っています。
次回のブログにひきこもり‥当室がかかわったカウンセリングの具体的な事例をあげながら、引きこも者の心理背景を考察していきたいと思います。