相談室(ブログ)

10人に1人が不安障害…自分の心身のからくりを知ることで不安は軽減されます

2023.05.10

 今やこどもから大人まで多くの人が不安を病んでいると言われています。10人に1人は不安障害といってよいかもしれません。なぜ、現代人は不安を増大させているのでしょうか。
 
 それは、意識という概念が分かっていないことから起きています。近代哲学の祖といわれるデカルトは「我思う故にわれあり」と人間存在の認識を意識している自己にあるとしました。しかし、その意識の実態は科学で検証されず、曖昧なままなのです。
 
 意識する自己を把握するには、内省の哲学が必要になります。しかし、現代人の目は外に向き、心を見ようしていません。内面の心の働きを省察せず、外の心地よい刺激を追いかけ続けています。おいしい食べ物、気に入った服や靴やカバンやアクセサリー、心地よい暮らし、好きな異性、車、家など。楽しめるスマホ、テレビ、ゲーム、推しやお気に入り。一日の苦しみを忘れさせるお酒など。目を内に向ける暇などないようです。心地よさの追求と不安の増大は比例しているようです。

 人間は、意識と意識できていないが存在している働きがあり、多くは無意識的存在に支えられているのです。意識と無意識の相互関係を知ることが不安の解明につながります。
 
 意識していることが私たちの全体ではなく、一部に過ぎないことが分かれば、不安は軽減していきます。それは哲学的実践で可能になります。