相談室(ブログ)

どんなカウンセラー、どんな心理療法を選べばよいのか迷っています。

2022.09.12

(質問)
30代男性です。不安、イライラ、焦り、意欲がでない、人に会いたくない、トラウマなどに悩んでいます。
一番きついのは、自分をコントロールできなくなり他人に危害を加えたりしたらどうしようと毎日悩んで疲れます。
二か所の心療内科にも行きましたが、診断名が、二か所で異なっていて、薬も増えました。カウンセリングを受けたいと思っています。ネットで検索するのですが、カウンセリングの種類がたくさんあり、自分にあった治療法がわからなく疲れて毎日が終わります。また、カウンセラーを選ぶ基準も、いろいろなカウンセラー資格があり、何がよいのかわかりません。カウンセリングで、こじらせて悪化したらと思うと、引いてしまいます。なにかよい基準があれば教えてください。

(回答)
薬物治療は一時的に症状を抑える効果はありますが、本質的な改善は見込めないと言われています。自らの自然治癒力が発動するかどうかが根本的治癒のカギになります。自然治癒力の発動を阻害している心理・社会・生物的要因を取り除くことが大事になります。それを可能にするのが心理療法になるのですが、あなたが言われるように、何を選べばよいかわからないのが現状のようです。

大事なことは見立て力のあるカウンセラーを選ぶことです。正確な見立てがあって初めて、改善へのプランができるからです。これは内科・外科・心療内科・カウンセリングすべてにおいて当てはまることです。外科医が「骨折」と「捻挫」の見立てを誤れば、治療法も変わり、結果、治るのも治らなくなります。まず、「見立て」があって、初めて適切な治療法が選択できるのは当然でしょう。

心理的な問題の場合は、見立てるには、人間を総合的に診なければできません。外科や内科では、レントゲンやCT、血液検査などをして分析をし、症状を正確に見立て診断しようとします。名医とは正確な「見立て」つまり、病気の本質を見抜くことができる人のことを言います。

まして分析が困難な人間の心を診るわけですから、いくつかの心理検査は最低限、必要になってくるでしょう。問診だけで、その人の人生経験全体を背負っている心の病を見立てるのは無謀とも言えます。

いいカウンセラーを選ぶ条件をいくつか述べてみます。

1 カウンセラーの資格 2 経歴、経験  3 専門性  4 カウンセラーの人格、教養、理念の高さ 5 金額  

1 心理カウンセラーとして、どんな資格をもっているのかを、まず確認することです。開業カウンセラーの資格は玉石混交です。無資格から数か月で取れる資格まで、色々です。唯一の国家資格である公認心理師と民間資格ではありますが、社会的に信頼度が高い臨床心理士資格が、まず信頼性の高い安全な資格だと思います。

この二つの資格は、大学院で所定の心理学や実習を終え卒業して試験に合格して資格をとっています。病院、教育分野、福祉分野では、臨床心理士公認心理師以外の採用は皆無です。このことが、資格の重要さを語っています。この二つの資格は、倫理規定など厳しい倫理性や社会的な責任が課せられた重たい資格でありますから、いい加減カウンセリングはできないようになっています。罰則もあるからです。

2  心理職として、どんな経歴、経験、実績があるかを知る
次は、どんな経歴や経験があるのか、どこに勤め、どんな仕事をしてきたのかなどが一つの基準になります。精神科病院や福祉、司法分野、教育分野や大学などで少なくとも5年以上の勤務経験があり、修行を積んできたかどうかです。どんな資格をもっていても、現場のキャリア不足では、クライエントの病態の「見立て」はできないでしょうから。

3  カウンセラーの専門性・得意な心理療法を知る
心の病は多岐にわたっています。歴史があり、研究実績があり、治療実績(エビデンス)の高い著名なものを選択するほうが間違いは少ないと思います。問題解決力があるかどうかです。期間は半年以内、回数も15回以内の、短期療法(ブリーフセラピー)がよいでしょう。認知行動療法的なものや、解決志向セラピーのようなものがいいかもしれませんね。

4  カウンセラーの人格・人間性…誠実、教養の高さ、理念の高さなど
カウンセリングが人と人の関係の営みである以上、カウンセラーとクライエントの関係は症状の改善に大きな影響を与えます。
ネット上で、プロフィールや考え方、人間観などの欄を参考にするのもよいと思います。カウンセラーが書物から引用したものを載せているだけではなく、自分の実践から獲得したもの…考えや理念などを述べているかどうかが一つの選択基準になると思います。広い知識を持つ教養の深さ、私利私欲がなく、奉仕の心に富んでいる。生き方としての理念の高さや哲学性などがどの程度あるか。見栄えをよくしたり、飾ったり、商業主義(金儲け)主義には注意したほうがよいと思います。今は情報社会で、視覚優位社会で、目先の欲に幻惑される世の中です。騙しがネットやマスコミ上に溢れているため、本物を見抜くことが難しくなっています。

5 金額
理想は安くて質のよいカウンセリングです。心療内科は、保険適用ですから通常3割負担(障害枠を使えば1割負担)、ですからたぶん3割負担で一回1000円から3000円で安いと思われますが、実際は国民全員が税金という形で負担しています。それを考えると心療内科の医師は、5分間治療と言われていますので、10分時間を使ったとしても、10分で、3000円から9000円近くが実質収入です。一時間に換算したらかなりの金額になりそうですね。医者がほとんど話も聞いてくれず、心の状態に合わせて、薬の加減をするだけだとのぼやきをよく聞きます。
カウンセリングは一回の時間が60分くらいが多いと思います。金額は病院の保険点数がありませんので、各個人が独自に決めています。

昔の名医は、安くてよい治療を施していたと言われています。今でも、そんな治療者を私は知っています。金額も安く、宣伝は一切していません。もちろんホームページもありません。しかし、質の高い治療を施しています。私も肩と腰を治していただきました。整形外科では「治りません」と診断された症状でしたが、その方の施術で完治しました。患者の苦しみを抜くために、常に学び続けている人で、私利私欲を感じない方です。「医は算術なり」との風刺的な言葉がありますが、真逆を実践されている方で、私はその方をとても尊敬していますし、鏡にしています。

以上のことを賢く見極めれば、いいカウンセラー、心理療法に出会えると思います。