(質問)
中学三年生の男子です。二学期から学校にいっていません。学校に行かない日は、夜中遅くまでゲームをやっています。なぜか学校に行く気がしません。別にいじめられているとかではありません。友だちもいます。最近、勉強していい高校に入って、大学に行って、いい会社に入り、経済的に豊かになることに意味を見出せません。そんなことして何になるのだろうと疑問を感じています。僕の考えは間違っているのでしょうか。学校には行かなくてはいけないものなのでしょうか?
(回答)
今、何を身につけ、何を学ばないといけないのかが何よりも大事だと思います。
明治時代以前は、ほとんどの子どもが学校に行っていません。一握りの武士の子どもが明倫館などの藩校のようなもので学んでいました。それは武家として藩の政治を行うために必要な学識(儒教…孔子の教えなど)を身につけるためのものであったと思います。90%以上は農業(漁業、林業など)に従事していたようです。子どもたちは、字の読み書きのできない状態でした。農業することに、読み書き計算は必要なかったのです。一部の武士に支配され、年貢を納め、被支配階級の人たちには学問は必要なかったのです。何も知らない無知な農民の方が、支配者から見れば、扱いやすかったと言えるでしょう。
いつの時代も無知は権力者に利用され支配されてしまいますので、人間は無知であってはならないと思います。
明治に入り、世界に負けないような強い国にするために国家は、「富国強兵」に適した教育を始めました。あくまでも国のため、社会のための教育であり、人間個人のための教育ではなかったようです。つまり、学校は、社会をよりよくするため、強くするため、豊かにするために創られたようです。
現在の小中9年間の義務教育も、社会で生きていくための基礎知識や技能を身につけるために義務化されました。中学校も義務教育ですから、保護者は子どもを学校に行かせる義務を負っています。しかし、現実は不登校は増加の一途(2021年度、小中の不登校者数、19,6万人、全体の2%)をたどっており、社会問題になって久しい時間が経過しています。
人間は教育によってはじめて人間になっていくものです。狼に育てられた少女の話は知っていると思いますが、言葉もほとんど喋れず、行動も狼の習性が身に付いていて、死ぬまで人間らしい行動はできなかったと報告されています。人間は人間に教育されて始めて人間になっていけるのです。
学校の形態は社会のありようによって変わっていくものです。今のレジタル教育(オンラインなど)は、20年前には考えられなかったことです。
大事なことは、教育を通して、何を学び身につけていくかということです。教育を通して自分の持つ可能性を開花させていくことが一番大事なのです。ですから教育は一生続くものといってよいでしょう。中学生の頃に身につけることはたくさんあると思います。特に、やがて社会に出て生きていくということを考えれば、人間関係や他者との関わり方を学び、身につけることはとても大事なことだと思います。学校に行かなくとも、どこかの集団や組織でそれが身につけられるのであればよいと思いますが…。
今は、多角的に学び、多くのことを身につける時期だと思います。今何をしているかが大事だと思います。学びによって自分を素晴らしい人間へと向上させ、社会に出て、人の喜びに貢献し、自らも充実感を感じる生き方ができれば最高です。いい学校を卒業する目的が、経済的な豊かさ(金銭、物質)や社会的な地位獲得のためだけなら、あなたがいうように空しいものでしょう。あなたが疑問に感じるのも無理のないことだと思います。
人生何のために生きるのか、悩み、先人に学び、良書を読んだり、思索したりして自分の生き方を深められてください。人生、今から5年間ぐらいが一番大事な時です。青春は黄金の時と言われているからです。