相談室(ブログ)

人の視線が気になり素の自分が出せない

2021.02.06

質問
私は他人との会話の中で、相手の反応に対して
嫌な感じで取られたかなと思いこんだり、自分を表現しようとすると、なんて思われるかなと
気にしたり、常に他人の目線ばかり気にしています。そのため、自分の気持ちを伝えることができないことが多く、
人の中で、いつも不自由を感じているようです。もっと自由に素の自分を出せるようになりたいのですが、どうすればよいのでしょうか。

回答

あなたの悩みは、だれしも一度はぶつかり、悩むものだと思います。人間が社会の中で、対人の中で生きる限り、「他者」を意識せずにいられないからです。そして、他者との比較、その中で、ある時は、優越感を持ち、またある時は、劣等感を持ちます。さらに、劣等を受け入れられず、他者に嫉妬したりして、自己嫌悪に陥ったりします。
どんな人間にも優劣を意識する心理が内在しているからです。その心理(欲求)をどう昇華し高めていくかが、人生の幸不幸に影響すると思っています。

私事で恐縮ですが、私は小さいころから負けず嫌いで、人に勝つことに必死になっていました。同級生に対しては腕力でも勝りたいと、自分を鍛えたこともあります。また学校の勉強では、人に勝りたいと一生懸命勉強し、一番を目指しました。人の上をいきたいという気持ちの強さがあったので、大学入試も突破できたと思います。その気持ちは大人になっても変わらず続いていました。しかし社会人になって、人に勝りたいという気持ちだけでは、うまくいかないことに度々出くわし、悩み、不安に苛いなまれるようになりました。

いつの頃から、人に勝るより、「自分に負けない」「過去の自分に勝つ」というように「自分対自分の比較」に変っていくことで、不安がなくなり、安心、本当の自信がついてきたような気がします。何よりも嫉妬や劣等感に苛まれることが少なくなり、心が平和に安定するようになっていました。

「人に勝りたい」「一番になりたい」という気持ちは、人間を努力させ、高みに引き上げてくれる原動力になりますが、勝ることにだけに囚われると相手に勝とうと、姑息な手段を使ったり、人を蹴落としたり、卑怯な手を使ったり、嘘をついたり、騙したり、嫉妬したり、劣等感に苦しんだりという負の面に、自己嫌悪するようになります、そして不幸な人生になってしまいます。

何のために、人より勝ろうとするのか、一番になるのか、第一人者になるのかという根底の考えが大事になってきます。一番になることで、人々に喜びを与え貢献し、役に立つという思いがあるかないかです。

人より勝った人間になるのは、その勝ったもので、他者に貢献できるからです。他者貢献という思いがあれば、不安になることはありません。限りなく自分を向上させることができます。

「一番になる」、「人より優れる」、そのためには、他者に勝つことより、「自分に負けない」、「自分に勝つことです」。必然、努力の過程を重視する生き方に変ります。結果として他者より優れることになるでしょう。

他者と比べるという評価から、自分対自分という自己評価を大事にされるとよいでしょう。

「見るもよし、見ざるもよし、されど我は咲くなり」
私の好きな武者小路実篤の言葉です。私は、この心に近づこうと努力し続けています。
自分は自分以上でも、自分以下でもない。ありのままの自分を受け入れ、そして高みを目指し、今日も向上していこうと心がけています。