相談室(ブログ)

転職の失敗、今後のキャリアについて(20代女性)

2020.07.19

質問
はじめまして。現在29歳、妊娠中のものです。

私は学生時代、簿記が好きで積極的に学んでいたこともあり、大学を卒業後は地方銀行から内定をいただくことが出来ました。就職氷河期だった時期に必死で努力して内定を得られた先がこの銀行でした。
まさか自分が銀行員になれるなど思っておらず、嬉しかったことを今でも覚えています。

研修や資格制度も充実していましたし、担当のお客様や職場の方とも非常に仲が良く、多忙さでしんどいこともたくさんありましたが毎日勉強になっていて充実していました。人見知りだった私が接客のやりがいを初めて知りました。

せっかく接客の楽しさを知って自信もついたことですし純粋にお客様を大切に出来てサポート出来る仕事に挑戦してみよう!と5年目で転職することに。「転職するなら20代の今しかない!」「退職は辛いけど転職先ではもっとお客様のためになれる場所が待ってるんだ!」と、変な焦りと自分はもっと上にいくんだという気持ちで、今思えばすごく考えが甘かったと思います。

退職してから仕事を探しましたが、行きたいと思える会社が無く、全然上手くいかなかったのです。
理想の仕事など存在しないと辞めてから気付きました。

1年経たない間に病気が見つかり、仕方ないですが手術や治療のために退職し、1年ほど無職に。
銀行を辞めたことをずっと後悔していて、いい加減前に進みたいですし、またイキイキと働きたいです。

一度無謀に挑戦して挫折しているので、不安もあります。はりきりすぎても現実は厳しいからなぁ…と。
ただ、せっかく学生時代から努力してきたのに、中途半端なところで終わりたくないです。
客観的に見て、どのように感じますでしょうか。銀行を辞めて後悔した執着に縛られているだけですかね…
アドバイスいただけたら幸いです。

回答
臨床心理シランの室です。

後悔はあるでしょうね…。しかし、時間がやがて解決してくれると思います。あなたは既に失敗から冷静に学び、次につなげているような気がします。

あなたは、上昇志向が強く、向上心旺盛な人だと思います。それはとてもよいことなのです。ただ、時を知り、社会を知り、世の中の動きを知り、人を知り、自分を知ると言うことに関して、若いがゆえに、やや不足していたのかもしれませんね…。

人生は海の潮の流れに似ています。上げ潮の時は、全てが順調に進み、ものごとがうまくいくものです。上げ潮に乗っているとき、人は幸運な波に乗っている自分を忘れ、自分を過信し、失敗の原因を作ることがよくあります。

一方、引き潮のときは、何をやってもうまくいかないし、努力しても努力しても波に乗れない感じをもちます。しかし、そのときこそ、人は一番成長する時なのです。

「勝って兜(かぶと)の緒を締めよ」…人は成功した時、うまくいっているとき、失敗の原因を作りがちです。人はそのとき油断すると言われますが、その油断の中身は自己過信であり、慢ずる心が生ずるからです。つまり、傲慢になりやすいのです。それが、失敗の原因なのです。

あなたは、自分の波を読み誤ったのかもしれません。
しかし、「人生、塞翁(さいおう)が馬」です。今回の銀行辞職が、あなたに幸いをもたらしています。病気も見つかり、早期治療もできたし、子どもも授かり、勉強もでき、キャリアカウンセラーもものにすることができました。さらに、自分が今後、本当にしたいこと、「人の相談に乗り、寄り添い、ともにより良い方向を探す」という対人支援・サポートの仕事の方向が固まり、その方向に進みたいと思っていることです。あなたの素晴らしいところは、仕事を通して、支援した人の喜ぶ顔に接すると、自分も幸せな気分になれるという思いです。

その他者貢献の心と自らを高めようとする向上の心を保ち続ける限り、どんな分野に進むにせよ、あなたは、必ず自分にふさわしい道に進むことができると思います。何よりも、あなたは若さという最高の宝を持っています。

私は29歳で大学を卒業し、中学教師になりました。また、55歳で教員をしながら通信の大学院に通い、60歳で臨床心理士資格を取得し、今は大学や小中学校で非常勤の心理カウンセラーをしています。目標を持ち、あきらめず学び努力し続けた結果と思っています。

あなたも努力し向上する自分を信じて目標に向かって進めばよいと思います。そうすれば、あなたは銀行員時代以上の人生を必ず歩むことができるようになります。