相談室(ブログ)

自己肯定意識を高める生き方③ ―自分らしさを輝かせ周囲を照らす生き方―

2023.12.22

自分らしさを発揮するためにはどうすればよいのでしょうか。それは最も高い価値に生きることです。価値には、美の価値、利の価値、善の価値の三つの価値があるとした教育者がいます。カントの価値哲学(真・善・美)を実用化させました。

美の価値は、美醜という感覚・感情に訴えるものです。人は美しいもの、心地よいもの、快適なもの、きれいなものを求めます。また社会的名声が高ければ、承認欲求も満足でき心地よくなります。名誉・名声も人を心地よくさせます。人は好きなもの好み、嫌いなものを感覚的に遠ざけます。人の評価の一番はこの美醜の価値になりがちです。
今の情報社会は、この美の価値が人間の最高のものであるかのように人々を錯覚させています。コマシャールは人間のこの性分に上手に入り込んでいるといえるでしょう。

次は利の価値です。自分にとって何が得なのか、損なのかについての価値です。例えば働く場合、何を目的にしているかです。高い給与を得ることが目的で働いているのか、あるいは仕事を通して自分の能力を発揮することが目的なのか、もしくは職種のもつ社会的評価や名声を目的にしているのかです。

例えば、職場に嫌な人がいても、給料がよいので我慢するとします。これは嫌いという感覚的な美の価値より、利の価値を優先した結果と言えます。好き嫌いという感覚的価値で、生活全般を支える給料という利益を無視することはしません。美的価値より、利の価値のほうを人は優先します。そちらのほうが価値があると思うからです。

今、人々が自分の命の次に大事にしているのがお金です。社会的事件の多くは、お金が絡んでいます。お金があれば何でも手に入るからです。人はお金のためなら、人をだますし、人さえ殺します。今の地球上では、軍人はお金で雇われ、敵国の人々を殺しています。自分の利益を邪魔されれば人は怒り、邪魔する人を抹消したりします。

学校の勉強も利の価値追求指向になっています。いい高校、いい大学、給料が高く社会的評価のある会社に就くための勉強になっているような気がします。現代社会の経済優先社会がもたらしものは、利の追求こそ最大の価値だということです。しかし、美の価値、利の価値の達成は、あくまで自分のためであり、利己の範囲になります。

利己を通すことは、人を押しのけることにつながります。周囲との摩擦は避けられません。美・利の価値追求は比較相対に生きることになり、心の安定はありませんし、深い充実感はありません。では、それ以上の価値的なものはあるのでしょうか。あります。人の心を豊かにし、人の心を清らかにし、輝かせる価値ある生き方があります
それは自らの努力と向学心で自らを高める中で得られるものです。つまり美の価値を追求し、また利の価値も広げます。同時にそれらを周囲の人たちにも与えていく生き方です。

自然がそれを比喩的に教えてくれています。地球は多くの地上の生物に潤いや恩恵をもたらしています。同じように太陽もそうです。地上の花、木々、草木もすべてそうです。一生懸命自分を生きています。そして他の生命に恵みをもたらしています。

人間にもそれを見ることが出来ます。インドのガンジーは自らの人格を最高に発揮し、多くのインド民衆の人間性向上のために生きました。ヘレンケラーもしかりです。千円札の野口英世もそうです。歴史上の偉人は、みな自分らしさを最高に発揮し、その輝きで多くの人々を照らす行動をした人たちです。

こうした価値こそ善の価値です。善の中で、もっとも高いものが、人の生き方を高めるものです。例えば、飢えている人に食べ物を与えるのは、美利の価値を相手にもたらしますが、一時的です。最善は、食べ物を常に得る方法を教えることです。つまり生き方を高めることを教えることだと思います。
  文責  松岡敏勝