相談室(ブログ)

ちょっとしたことで落ち込んでしまいます(30代前半女性)

2019.06.27

相談内容

20代前半のころはとてもポジティブで、ネガティブの人の気持ちなんて理解できませんでした。例えば、とても仕事ができる人と一緒のプロジェクトに参加すると、その人の技を盗むことができるとワクワクしてました。他のネガティブな人は仕事ができる人と一緒だと自分の出来なさが身にしみて落ち込むと言ってたことが理解できませんでした。

しかし、その後、移動して昇進してから仕事が思うようにいかず、またそのことで同僚や上司に人格否定されたり、聞こえるように陰口を言われたりしました。そのことがきっかけで、自信を失い、人が怖くなってしまいました。いつも自分の悪口を言われてるんじゃないかと気にするようになりました。その異動先の職場の雰囲気は最悪で、いろんな人の怒りの矛先が私に向き、体調に影響が出るほどきつかった時もありました。

そこで四年ほど耐え、また異動して今に至るのですが、環境が変わっても悪口を言われるんじゃないかと気にしてしまいます。また、ちょっとした失敗をしても、すごく落ち込み、だめな人間だとレッテルを貼られるのが怖くてなりません。むしろ、他の人が失敗しているのをみて安心することもあります。人と比べてはいけないし、小さいことをいちいち気にしてはダメだと頭では分かっています。落ち込んだところで何もいいことはないのもわかってはいるのですがなかなか行動にうつせません。どうしたら、前のようなポジティブな自分に戻ることができるでしょうか?

回答

臨床心理シランの室です。

固定されたポジティブな自分や ネガティブな自分があるわけではありません。たとえですが、「水を得た魚」という言葉がありますが、水を得た魚は、とてもポジティブで、活動的ですが、水がなくなれば、元気がなくなりネガタィブを通り越し、やがて死んでしまいます。

人の心は、時と場所によって変わります。特に、職場という環境、仕事上の立場の変化は、適応に大きなエネルギーを使うため、不適応症状を表す(ひどくなると適応障害と診断される)ことがよくあると言われています。

今のあなたの辛さは前職場で受けたストレス過多にあると思われます。
そのストレスにうまく対処できず(あなたのストレス対処能力を超えていた)、自律神経も乱れた状態になり、周囲の人間から発せられる言動に柔軟に対応する余裕もなくなり、エネルギーも低下、いつしか心の中に傷(トラウマ)となり、未消化のまま、今日に至っているような気がします。

ストレスにうまく対処していくためには、物事のとらえ方や考え方、行動の仕方、感情のコントロールの仕方、ストレス対処の仕方やソーシャルサポートなどが必要になります。

あなたに合った正しい対処法を身につければ、昔のポジティブなあなたに戻ることができます。
現状を改善させる対処法としては、心療内科に行くか、心理カウンセリングを受けるか、自力で認知行動カウンセリングをするかの三つが考えられます。

一つ目の方法は心療内科を受診することです。掲示板の内容を医師に話せば、おそらく適応障害か抑うつという診断が下されそうな気がします。心療内科の医師は薬物治療が中心になると思います。今のあなたの現状は、心療内科というレベルではないような気がします。

二つ目は専門のカウンセリングルーム(できれば専門性の高い臨床心理士や公認心理師がいるところ)で心理療法を受けることです。あなたの症状からすると認知行動療法が適切と思われます。物事のとらえ方-行動―生理―感情という心と体のからくりを理解し修正する方法です。あなたの本質的な心理傾向をよい方向に向かわせるためにも認知行動カウンセリングを受けるとよいでしょう。この方法は仕事をしながら可能です。

三つ目は自力で、本などを読んで認知行動療法やストレス対処などを実行する方法です。認知行動療法の中に、ホームワークやモニタリング(自己観察)などがありますので、できないことはないと思いますが、自制心や向学心、そして症状が軽いことが条件になると思います。

あなたの症状からすれば、二つ目を選択され心理療法を受けることが現状の改善にはベストでしょう。

あなたと似たような状況にある方を最近カウンセリング(認知行動療法)しました。30代の方です。二度、適応障害を繰り返していました。一度目は、出張が多く、適応障害となり心療内科受診。会社が配置換えという環境調整をしてくれたため改善できたそうです。(適応障害は環境調整が、一番効果があると言われていますが根本的な治療にはなっていません。配置換え、休職、転職など)

二度目は最近のことで、上司のパワハラと離婚騒動が重なり心療内科受診。3か月の休職。傷病手当受給。心療内科では薬物療法のみだったので、休職期間中に根本的に治療したいと当シランの室に来所されました。

心理検査で心理、生物、社会的要因をアセスメントし、ソウシャルサポートの確認、ストレスコーピング、認知の在り方、ホームワークなどを実行しながら5回程度の面接で改善し職場復帰を果たしました。

あなたの現状からすると、前のようなポジティブな自分に戻るためにも、認知行動心理カウンセリングを受けることが一番ふさわしい道だと思われます。