相談室(ブログ)

なぜ心療内科の医者は薬に頼るのか

2020.01.26

なぜ精神科医は薬に頼るのか…「こころの科学・2011,9 精神科臨床はどこへいく」(精神科医、井原裕氏)の論文より抜粋し、まとめています。

薬はどんな場合も、すべていけないというわけではありません。薬が絶対に必要な人もいます。
てんかんや統合失調症の方です。てんかんは、脳の過剰なニューロン発射に由来する慢性脳疾患です。精神・心理療法では発作をとめることはできません。
また統合失調症も抗精神病薬が発明され、劇的に症状が緩和されました。この方たちは必要です。

抗うつ薬はうつ病に効くのか。
うつ、不安障害、不眠に薬が効くのかということです。2008年イギリスの研究者たちが衝撃的な論文を発表しました。
重症ごとにプラセボ(偽薬)との比較優位性を検証しました。結果は、抗うつ薬(SSRI…デフルロメール、ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど)はプラセボと比べて効能にほとんど差はなく、差があるとすれば、それは最重症例だけでした。結局のところ、英米では、SSRIについては冷めた見方が浸透しています。メディアがこれほど厳しく批判していますから、患者さんも警戒しています。こんな時代だから、製薬会社がまだ事情を分かっていない日本人を狙って、熱心にプロモーションを行うとしても当然なことです。日本人は明らかに狙われています。

精神科外来診療報酬の問題
日本の精神科医療は、患者さんの話をろくに聴かずに、薬だけ出せば儲かる仕組みになっています。精神科の外来の経営という点では、ベンジアゼピン系薬剤(抗不安薬、睡眠薬)と、抗うつ薬を使うのが一番いいのです。ベンジアゼピン系には、大量依存があり、抗うつ薬には、中止後発現症状(離脱症状)があります。どちらも、一度の飲み始めたら、容易にやめられません。だから、一度出してしまえば、患者さんは、定期的に通ってくれます。薬物療法に頼りがちな医者ほど、あっという間に患者さんが増えます。治せる医者ではなく、薬を使い、治せないけど、薬から離れられなくなった患者さんを大量に抱える。まさに「生かさず、殺さず」のままになるからです。こうして患者としては、病気が治るわけでもなく、しかし、通院をやめるわけにもいかないということになります。

精神科医の薬物療法依存
今日の一部の精神科医のSSRIへの依存の忠誠心は、大変なものがあります。この人たちは、ほとんど宗教的確信を抱いています。反論に耳を傾けようとしません。なぜ、ある信条に固執するのかといえば、それによって見たくない現実から目を背けることができるからです。それは、この人たちが精神科医として薬物療法以外にできることが少ないという事実でしょう。残念ながら精神科医としてのトレーニングの問題だと思います。