相談室(ブログ)

私は生きていて いいのでしょうか?

2019.11.18

質問

都内に住む30代です。
内臓に障害があり、子どもが産めません。
またむかし摂食障害やリスカをして、心療内科に通っていました。
そこでの診断は、鬱、ボーダー、sad、軽度のAdhdです。
人の顔など覚えられません。常連さまの顔も覚えられません。
仕事はクビになるか、体調を崩して終わる、ばかりでちゃんと働くこともできません。
例えば工場勤務のようなひとと顔を合わせない仕事では内臓障害のせいでできません。
子どもも産めず、仕事も満足にできない自分がイヤでイヤで仕方ありません。

回答 

はじめまして、臨床心理シランの室です。
子どもが産めない内臓の障害、過去の摂食障害という病歴。かつての鬱、ボーダー、社会不安、軽度の発達障害…生き辛さの中で、希望もなかなか見いだせず、なんとか今日まで生きてきたのですね…。
こうした状態の中で、いかにして希望と勇気をもって人生を生き抜くのか…。

生き抜くということは大変なことのようです。寝たきりになっても、なお周囲の方が必死に介護をしながら生きようとしています。また身体にひどい障害を持ったり、半身不随になったり、認知症になったりしても、なおかつ生き抜こうとしています。そんな人たちの人生を見るとき、「生きる」ということは何なんだろう‥と自問自答してしまいます。

人生の意味、幸福を追求し、あらゆる宗教・哲学・思想が生まれまたと言われています。では、幸福な人生(本当に楽しい人生)はどうすれば、もたらされるのでしょうか。それが最大の課題です。その具体的実践を説いたものが思想・宗教だと言われています。

 ここではブッタの思想を少し紹介します。彼は何不自由のない王子として生まれ育ちましたが、人生に悩み(本当の幸福とは何か、心から楽しみを感じることができる人生とは何か)‥悶々として解答を求め、すべてを捨てて出家したと言われています。悩み続け、修行を貫き、人生の意義を探究し続けた結果、悟りを開き、それを当時の民衆に教えるという一生を送ったとされています。

ブッタの思想…誰人の中にも等しく内在する不可思議な妙なる生命がある…創造的で幸福になっていける生命と知恵が具わっている。自らも幸福になるとともに、周囲の人(自然も含めて)も幸福にしていくという共生の生命思想と言われています。いかなる運命や宿命をも転換できる生命の働きをもつという思想です。

一日の人の命は、宇宙の宝すべてよりも尊いとも説いています。この世界で、人間だけが、自らの可能性を信じて自らを変えていける「聖道正器」の存在とも言われています。確かに動物や植物は、自らを変えることもできず、本能のまま、生態系に従って生きています。

その尊い人間の生命として誕生してくる可能性をガンジス川の無数の砂の一粒という譬えで説いています。つまり人間生命はかけがえのない尊さをもった存在ということです。しかも、どんな境遇、運命も宿命も、自らの生命に具わる可能性を信じていけば、転換できるとも説かれています。

自らに内在する尊極の生命を信じられるかどうか。ブッタは信を強調されたと言われています。なぜなら、生命の働きは、誰人も創造(幸福)と破壊(不幸)という二面があるというのがブッタの思想です。生きるというのは、自分との戦いでもあります。善(創造、幸福の働き)が勝つか、それとも悪(破壊・不幸の働き)が勝つか…。自分の可能性を信じ、自分に勝たなくては、幸福は得られないと言われています。

自分による自分の変革を説いたのです。かけがえのない生命です。大事にされてください。
今の苦しみは、あなたがそれを乗り越えた時、同じような苦しみを持つ人を支援することにつながります。ハンディーが最大の長所や持ち味に替わるのです。それが生命の妙(2不思議さ)だと言っています。それには発想の転換が必要です

マズローという心理学者は欲求の5段階説を唱えています。1,生理的欲求 2,安全欲求3,社会的欲求4,尊厳の欲求5,自己実現の欲求という5つです。

最初から三つまでは環境から与えられます。4つ目からは、自らの努力の結果得られる内的な充実感になります。尊厳の欲求、自己実現の欲求が満たされれば、心が満たされ心の充実がもたらされます。

生きる確かな目標をもち、その達成のため努力していく日々の中に充実がもたらされます。多くの心理学者、宗教家は自らを高めながらも、他者貢献の生き方を目指すところに深い充実感がもたらされると説いています。
 
 充実した生き方は豊かな環境から与えられるものでも親の愛情から得られるものでもなく、自らの目標に向かって生きる生き方の中に生まれると言われています。

他者と比較する生き方(他人を意識する他者評価)から、自己評価…自分と自分を比較して生きる生き方(例えば、昨日の自分と今日の自分というように)に転換することです。
それは、他者評価という不安定な生き方から、自分対自分という絶対的評価に生きることです。

そうした生き方を重ねる中で、あらゆる自分(病気や障害の自分など)を受け入れ、認め、やがて自分が好きになっていくでしょう。

目に見える結果や成果を大事にするのではなく、見えない努力の過程を大事にする生き方でもあります。その生き方も他者貢献につながる生き方がよいとされています。
 
あなたを支援してくれるところはたくさんありますよ。例えば以下のようなところが、どの地域にもあると思います。
若者サポートステイション、ハローワーク、就労移行施設、生活困窮者自立支援室などに相談され、あなたの今の状態でできる仕事を相談員と一緒に探されるとよいと思います。

あなたの生きる価値は絶対なのです。さあ顔を上げ、前を向いて、今日を出発点に勇気と希望をもって、未来の素晴らしい自分を心に描きながら生き抜きましょう。