〇面接の概要
初回は親子で来談されました。初回面接は同席で、問題や課題の聞取りをしました。
〇面接から見えた本人の課題、カウンセリングの方向
「私が思い出すのは、冷たい人の顔だ」「私が残念なのは、人は簡単に裏切るという点だ」
私が忘れられないのは、みんなが私を疑うあの顔だ」⇒人間不信の体験・傷つき体験の積み重ね
「私のできないことは人を信用することだ」⇒他者不信
「私の失敗は、なんかもうすべて。」「どうしても私は、自分のことが好きになれない」「私の不平は、なぜ自分はこうも弱いのかということだ」「私を不安にするのは、言いようのない劣等感のようなものだ「私の気持ちは不安定だ」「私はよく不安になる」➡トラウマ体験がもたらす自己不信・否定的な認知や感情・不安
他者がよく見える・願望⇒「私が羨ましいことは、自分の好きなことをして輝いている人だ」「私が心惹かれる人は、自分を貫ける人だ」
傷ついた心身を消去し、きれいな心身に戻りたいという願望➡「ときどき私はきえてしまいたくなる」「もう一度やりなおせるなら、あかちゃんからやり直したい」
本質的な問いとして生きる意味を問う⇒「私が知りたいことは、私がなぜ生きているのかだ」
〇本人の病状の見立て
激しい症状としては、吐き気、嘔吐、不眠、過呼吸、意味もなく涙が出る、不安、怒り、いらいら感、自己信頼の低下などです。学校生活に適応するのに、かなりの困難な状態にあります。とくに侵入体験(フラッシュバック)による不眠が強くなっていました。複雑性PTSD傾向(心的外傷体験)からくる強いストレス反応と思われます
面接が進む中で、中学時代のかなりひどいいじめが明らかになり、そこから対人不安や恐怖、そして「ものごとのとらえ方の偏り」が生じていることが判明しました。いじめによるトラウマは解決していない限り、ずっと本人を苦しめるということです。
〇用いた心理療法
本人を苦しめている主症状の改善と心的外傷(トラウマ)の緩和をはかるため、心理教育(心的外傷体験の構図、無意識世界など)、認知行動療法・自覚対話療法、アサーショントレーニングを中心としたカウンセリングを行いました。
〇本人の症状形成の原因を知るために心理検査を実施
・東大エゴグラム、簡易ストレスチェック、バウムテスト、文章完成法
〇男女のカウンセラーで対応し、母親面接2回、本人面接6回で改善し終結しました。
〇本人は、現在、将来の目標に向かって大学受験に取り組んでいます。