相談室(ブログ)

心の病は心療内科の薬で治るものなのでしょうか? 10年以上薬を服用していますが、全く改善していません。

2022.12.28

質問
19歳で心療内科にかかり「よくうつ」と診断されました。そのとき薬を三種類処方されました。数年たっても改善しないので、大きな附属病院の精神科に行き診察してもらいました。そこではADHD、適応障害と言われ、新たに薬が処方され、合計6種類になりました。一年たっても改善しないので、他の心療内科に行くと「軽度知的障害」「うつ」と診断され、さらに薬が増え、現在8種類の薬になりました。初診から、12年、病院は三カ所になります。全然改善していません。そちらの「自然療法」「認知行動療法」で改善は可能ですか。

回答
 よくある疑問です。臨床心理シランの室の来談者はそのような方が半数近くを占めています。薬が増えることはよくある話ですが、診断がころころ変わるというのは酷い話ですね。正確な診断ができないと暴露しているようなものですね。
当室では、五度以上来談面接された方は、ほぼ全員改善し自立しています。

 心の病を治すには、その原因を正確に把握しないと改善することはできません。これは外科や内科のことを考えれば一目瞭然です。例えば骨折した場合、どこが骨折してるのか、レントゲン撮り問診をすれば正確な診断ができます。また骨折と捻挫や脱臼(だっきゅう)の違いもほぼレントゲンなどで判明しますから、それに応じた治療が可能になります。腹痛の場合、原因は何なのか、ウィルスなのか、食中毒なのか、それ以外なのか、それらは医師の経験知、問診や検査をすればわかります。ですからそれに応じた治療ができます。

 ところが心に関してはその原因を見立てるのは困難です。「死にたい」「心が苦しい」「人が怖い」「同じ観念が心を苦しめる」などなど。原因、つまり、その病の起こりは何なのか。それも表層的な原因と根本的な原因があるのですが、それがわからないんです。なぜなら、心に対する深い理解と洞察がないからです。

 この不可思議な心は、未だに正確なところはわかっていません。現代科学(医学)では脳の働きの一部はわかっていると言われていますが、あくまで一部であり、心との関係性は分かっていないのです。ですから、心の病に処方する薬、これは脳に働きかけて一時的な症状を緩和することが仮にできたとしても、根本的な治癒にはならないのは当然と言えるでしょう。むしろ、わかっていない部分が多いなかで服薬すれば、作用・副作用を含め危険性が高いと言うことが常識的にわかるはずです。
 
アメリカで大規模な精神病薬の実験が行われたことがあります。鬱に処方されていたSSRIの有名なプラセボ効果の実験がありました。重症を除いた鬱患者への実験では、ほんものの薬と偽薬では、効果はほぼ一緒の結果が出たというのは有名な話です。つまり、本物もにせものも一緒、信じれば効果があるということです。「イワシの頭も信心から」ということです。日本は薬大国であり、薬大好きな民族と欧米の専門家から言われているそうです。日本人は昔から、お上に服従的な民族であり、自分で考えることを放棄することが多いと言われています。結果、権威(医者や医療)を盲目的に信じる愚かさや依存心の強さが問題になっています。薬大国を支えているのは、そうした国民なのです。

 心の不思議さはわかっていないし、加えて医師の見立てが不正確だったら怖い話です。心を把握していくためには、やはり患者さんと面接し話を聞かないとできません。何度か面接を重ね、言葉以外の、その人の人生の物語、生き方、考え方、その人の持つ全体像、見えない波動を見抜きながら、どこが病の起こりなのかを見立てていきます。

 これは最低でも五度ぐらい面接しないと見立てはできないでしょう。これを一度で見立て症状からマニュアル的に診断するのは、あまりにも非科学的であり、心の不可思議さがわかっていない暴挙と言われても仕方ないでしょう。
 名治療者とは正確な見立てができる人であり、心の不思議さに精通した人のことなのです。