相談室(ブログ)

不登校児童は、なぜ増加するのか…科学や人間の生活は進歩し豊かになっているにもかかわらず…

2023.04.29

 60年前、昭和35年ごろ、どの学校にも不登校者はほとんどいませんでした。いたとしても、家が貧しくて家の仕事や子守のためか、病気のために学校を休んでいるのが理由でした。子どもの数は団塊世代と言われたように、中学校では、1クラス50名、一学年500名ぐらいは平均的に在籍していました。そんなに多くいたのに、今のようないじめも不登校もほとんどありませんでした。なぜ現在のようになったのでしょうか。

 昭和55年ころになると、小中高で非行が増加し、社会や親に反抗する形で子どもたちは、不満を発散していきました。当時の不登校者は、外を徘徊したり、遊び回ったりている子どもが圧倒的でした。
 平成になり、非行は徐々に減少し、外への反抗のエネルギーは個人の内面に向かっていきました。
 
 その間、世界・社会は科学の進歩の恩恵を受け、便利社会が出現し、人間は快楽志向となり、快適さ便利さ、スピード化が進みました。それにつれ、人間は不快や不満、遅さに耐えられなくなり、人間の大事な要素である忍耐力は減少していきました。
 
 科学の進歩、物質的豊かさと心の進歩は比例せず、むしろ反比例しています。精神不調者は増え、鬱、不安障害、適応障害、発達障害などバブルのように爆発的に増加し、精神科医療と製薬会社が大繁盛するようになり、心を病む人が増えていきます。ここにも情報化社会、コマーシャリズムの陰の部分があります。
 
 情報は個人で正邪が判断できないほど溢れ、テレビ、ゲーム、スマホに人間の頭はハッキングされているような観さえあります。人々は、自分で考えることをせず、受け身に情報にさらされ、判断は快不快が基準になっていっています。結果人間の大事な部分である自立心が弱くなり、依存性を強め、メンタルを限りなく弱めています。あたかも情報や快楽やお金やスマモにマインドコントロールされているようにも見えます。
 
 不登校は大人社会が作り出した産物なのです。子どもは未成熟であり、親や大人社会の中で模倣としての学びを続け、成熟していくからです。不登校を減少させるためには、迂遠に映るかもしれませんが、大人が生き方を変え、社会の在り方変えることが抜本的な解決になると思います。