相談室(ブログ)

人生に意味はありますか。生きることに耐えられません(20歳男性)

2023.01.31

 回答
 人を見れば、悩みもなく苦しみもなく、幸せそうに生きているように見えます。なぜ、自分だけが苦しみの人生を送らなければならないのかと、自分が嫌になるかもしれません。周囲の人を責め、環境を責め、最後は自分の無力さを責めてしまう。自分や他者を責めれば責めるほど生きる気力はなくなっていくようです。
 
 太陽は今日も地球上のすべての生き物を育むかのように平等に光を注ぎます。自然の山川や草木も本来、太陽と同じく他の生き物を育むように生きているように見えます。他の生命を育む…慈悲の働きと言われています。人間も本来、慈悲に包まれた存在と聴きました。母親は無償で子の命を守ることがあります。私たちも大事な人を大切にし守ろうとします。それは私たちにも慈悲の心があるからです。

 私たちは生命の大地の源に潜む慈悲の働きに支えられているからこそ生きていると言われています。ただ環境の中で、それが発現されず眠ったままなのかもしれません。
 
 三重苦の中でヘレンケラーは、サリバン先生と出会うことで、自らの心の中に眠っていた慈悲に気づき、将来、自分と同じような障害者のために命を注いだと言われています。ヘレンケラーは、障害を否定せず、障害を受け入れ、障害と共に生き、障害を持つ身でできることの可能性を見出し、自分を生きたのでした。その生きざまは、彼女の人生の意味でもあり、人間のもつ力のすばらしさを私たちに示してくれたようです。彼女は慈悲の体現者であり、慈悲に生き、それを多くの人々に気付かせ、私たち人間に限りない勇気と希望を与えてくれています。私も小学生の頃、彼女の自伝を涙ながら読んだことを昨日のように思い出します。
 
 あなたの生きる意味は深いものがあります。かけがえのない意味があると思います。今の苦しみにも意味があります。あなたがあなたにとって大事な人のため、愛する人の役に立つために、今苦しんでいるともいえます。今のあなたは仮の姿ともいえます。本当の自分を生きる日が必ず来ます。そのとき、あなたはあなたの人生の意味を悟るでしょう。それは幾多の苦しみを乗り越えた先に見えるあなたの人生の意味なのかもしれませんね。あなたの人生の意味はあなたにしか解けない問題といえます。

 世界の偉人もみな苦悩の連続の中で、その苦しみの辛さに耐え続け活路を見出し生き抜き、彼らなりに人生の意味を悟ったと思います。そうした苦悩を乗り越えたから、人の苦しみに涙することができ、他者の苦しみに共感できる人間になったと思います。

 この世の全ては不確実で、安定したものは何一つありません。すべては移ろいゆき、変化していきます。いくら執着しても、すべては流れゆき、やがてなくなっていきます。それが人生の覚者が教えてくれた「諸行無常」の意味です。

 しかし、確実なことが一つあります。それは、生まれたものは必ず死ぬということです。みんな、いつかは死にます。人間も地球も太陽も…。この世のものはすべてに差異や差別がありますが、死は誰人にとっても平等に訪れるものです。また今、生きているという生命のかけがえのない不思議さも平等です。私たちが持つ可能性も平等です。つまり生命のもつ内在的な力や働きはすべての人に平等に与えられているのです。それを知ることが生命の悟りなのです。多くの人は自分の心の中に内在する力を信じられず、見えるものや他者と比較し苦しんでいるとも言えます。それらは移ろいゆく、はかないものに過ぎないのですが、目先の欲が生命を曇らせるのか、執着が心をゆがませるのか…いずれにしても正見になっていないことが苦しみを招いているようです。

 あなたは、あなたの過去が、心の苦しみとなり蓄積され、今のあなたを苦しめ、未来を閉ざしているかのようです。それらが、あなたの考えや気持ちに影響を与え、否定的な思いや感情をもたらしているように見えます。あなたの生きる力を奪い、可能性の芽を摘むかのような、自己不信に陥っているように思われます。

 あなたの最大の敵は、あなたのあなたに対する不信ともいえます。安定できるはずはありませんね。安心もないでしょう。あなたの心の大地であり、心の拠り所であるあなた自身という自己を信じていないのですから、揺らぐのは当然です。

「明日は明日の風が吹く」という開き直り、なんとなく未来を信じるという楽観的な生き方こそ、今は大事かもしれませんね。そう、なんとかなるさという思いでいいのです。明日を信じて生き続けているうちに、自己に対する信がやがて培われていくでしょう。
 今の自分をありのままに見つめ、受け入れ、時の流れに身を任せて、水が流れるように自然にまかせて生きていけばよいと思います。

あなたには、今、癒しが必要のようです。自然の慈悲の波長に心を合わせるとよいと思います。五感を使って心を癒すのもよいと思います。
目…心を癒すものを見る。朝焼け、夕焼け、海、空、花、自然、山、川、絵など…
耳…癒される音楽、鳥の鳴き声、せせらぎ、、好きな人の声など
舌…自然食、コーヒーや紅茶、ハーブティー、など
鼻…いい匂い、自然の草や木や花の匂いなど
身体(触)…自然のなかの散歩、複式呼吸、温泉、入浴、陶板浴など
意識…読書、友達との楽しい会話、日記を書くなど
あなたを理解してくれる人に、自分を語ることもよいでしょう。日記をつけ自分を見つめることも一つの方法です。良書・名作(自分を高めてくれる書)にふれるのもよいと思います。

一日も早く苦悩の闇から解放され心が晴れ、明るく前を向いて歩ける日を祈っています。