相談室(ブログ)

話したいことが話せない自分を変えたい(20代女性)

2020.02.25

(質問)
人と話すことは好きなんですが、自分から話題を振ることが苦手で話したいことがなかなか話せません。
話したいことがあっても相手はこう思うかなとか答えづらいかなって考えると言葉にすることができなくなります。

彼氏や仲のいい先輩にもうまく話せないので一緒にいてほんとに楽しいのかなって不安になって余計話せなくなることが多いです。
話せない自分が嫌いです。もっとうまく話せたらもっと楽しいのにって思います。

今までもそうですが、彼氏に対して本当の自分を出せていません。
本当の自分でいたいと思うのに出したら嫌われるかもしれないっていう気持ちがあってうまい付き合いができません。
こう思うのには多分過去のトラウマがあって私のことなんて好きになってくれる人いないってどっかで思ってる気持ちが強いんだと思います。
昔から人と目を合わせるのが苦手だったり食べているところを見られるのが苦手だったりします。

色んな人とうまく話せるようになりたいし彼氏にも本当の自分を出したいと思っていますがどうやったら克服できるのか分からなくて
相談させてもらいました。変われるなら本気で変わりたいです。

(回答)
はじめまして 臨床心理シランの室です。

青春の一番よい時代に、本当の自分を表現できず、ある意味、窮屈に生きているあなたの心中、わかるような気がします。かつて青春時代に同じ思いをしたことがあるからです。これまでの各カウンセラーの方々の助言を実行されれば、あなたの成長に役に立つと思います。その上で、少し補足をさせていただきます。

自分の本当の気持ちを伝えるということは、必ずできます。それには「今の自分でよい」という自分の受け入れ、自己の信頼が必要です。つまり、何があっても「自分は自分でいいんだ」という信頼感です。

それは、人に否定されても、人から受け入れてもらえなくても、落ち込むこともない自分です。なぜなら、自分が自分を認めているからです。それが自己信頼の意味です。自分という存在を自分で認めて、わかってあげられるようにすることです。

自己肯定を高めるためには人間信頼が必要です。「人間は、誰人もかけがえのない個性をもった素晴らしい存在である」という思想です。金子みすずさんが詠った「みんなちがってみんないい」という詩の心に生きることです。バラは美しい。しかし、タンポポも可愛い。野菊も素敵です。菫もよい。それぞれかわいらしさや美しさ、それなりの個性があります。大事なのは、自分というかけがえのない個性に生きることなのです。

現実世界は差異と差別に満ちています。美醜、財産や地位や能力の有無など…他者との比較相対で価値が位置づけられています。人は、それらで人の価値を評価する傾向があります。そこからは、条件付きの評価が生まれがちです。「○○だから好き」などという条件付です。こうした○○だからという条件付き承認、つまり比較相対という価値で人間評価をしている間は、自己肯定は高まりません。砂上の楼閣のようなもので、比較の基準が変れば、価値が低下したりし、いつ壊れるか分からない、評価なのです。とても不安定な生き方になります。

他人の思惑や評価を気にして人に振り回されて生きるのか、それとも、自分対自自分という絶対的な自分評価に生きるのか…どちらの方向で生きるのかで結果は天地雲泥の差になるでしょう。他者の目を気にして生きる生き方は、虚飾になることがあり、窮屈であり、心が定まらず、不安定です。反面、自己評価に生きる生き方は、絶対的であり、虚飾もなく、偽りもなく、いつも本当の自分を生きています。たとえ、どんな姿をしていても…。

そこには人間としての確実な成長と本当の自立があり、その生き方は安定しています。「あのようになろう」「このようになろう」と人の振る舞いに左右されるのではなく、「自分は自分の表現しかない、自分はありのままの自分でよいのだ」と受け入れ、認めて生きるのです。例え、人に非難されたり、馬鹿にされたり、見下されたりしても、自分さえ、「これでいいのだ」と自分を認めていけば迷いはなくなります。やがて、あなたは時間と共に輝きを増していくでしょう。

ダイヤは、もともとは黒い石に過ぎませんが、磨きをかけていけば高価な宝石となります。黒の原石を否定すれば輝くダイヤの存在はありません。黒い石も輝くダイヤも同じ自分です。どちらの自分も「そのまま受け入れる」ことが自己肯定なのです。人は輝くダイヤは受け入れることは簡単ですが、黒い原石は受け入れがたいものです。「黒石もダイヤも同一の存在であり、どちらも自分であると、ありのままに受け入れる。」「黒石も磨けばダイヤになる」という信念に裏打ちされた努力が必要です。

目標を持ちその達成に向かって努力していく。結果がどうであれ、努力した自分を認めていくとき、自己肯定感は高まります。結果という表面化されたものより、見えないプロセスを大事にし、努力した自分を認めていくのです。
つくろわず、ありのままの今のあなたでよいのです。そうした素朴な、飾らない、あなたはきっと、見る人が見れば素敵な存在になっていくでしょう。

つまり、変るとは、自覚するかどうかの問題なのです。