質問
鬱病10年、統合失調症3年。
最近、何をするにも無気力で生きていくのが辛いです。目標、希望、未来が見えません。
今はほとんど家で引きこもり、家事も疎か生きていく意味が分かりません。
回答
はじめまして。臨床心理シランの室です。
統合失調症、鬱を患い10年近く、辛く苦しい日々送られてきたのですね。
心の苦しみは見えないだけに、なかなか人にも理解されません。一人で耐え続けるしかなかったようですね。こうした生活の結果として、
生きる意欲がなくなり、目標も持てず、希望もなくなりがちです。こうした苦しさのなかで、生きる意味とは何なのだろうと問うのは当然のことのように思われます。
人間の幸福、生き方や人生の意味は古来、思想・宗教・哲学のテーマとなり、偉人はそれを追求してきました。イエス、釈迦、マホメット、ソクラテスなど歴史上数多くの偉人がその道を探究したようです。
人間の生きる意味…私も大学時代に自分がわからなくなり、「人は何のために生きるのか…」と悩み、哲学、思想宗教、人生論の本を読みあさったことがあります。その一つに仏教思想がありましたので、少し紹介します。
仏教の開祖、釈迦(ブッタ)は何不自由のない王子として生まれ育ちましたが、人生に悩んでいたと言われています。
有名な四門遊観…王宮の東門で老人を見て、人は老いる苦しみを免れないと知ります。西門に病人を見ては、人は病気の苦しみを避けられないと知ります。南門に死人を見ては、人は死ぬ存在という苦しみを持っていることを知ります。そして北門で高徳の人を見て、19歳で、全てを捨てて出家したと言われています。
人生の意味を探究し修行を続けた結果、釈迦は生命の真実、宇宙の実相を悟ったと言われています。
釈迦の悟り…生老病死という四苦は無常ですが、その背後に常住不変の生命を悟ったといわれています。
釈迦の生命観…誰人の中にも等しく内在する可能性の生命…創造的で幸福になっていける生命と智慧が具わっている。自らも幸福になるとともに、周囲の人(自然も含めて)も幸福にしていくという共生、連帯の生命観と言われています。いかなる運命や宿命をも転換できる生命の働きをもつという生命観です。
一日の人の命は、宇宙の宝すべてよりも尊いとも説いています。なぜなら、人間だけが、自らを変えていける尊い存在とも言われています。確かに動物や植物は、自らを変えることもできず、本能のまま、生態系に従って生きています。
その尊い人間の生命として誕生してくる可能性をガンジス川の無数の砂の一粒という譬えで説いています。つまり人間生命はかけがえのない尊さをもった存在ということです。しかも、どんな境遇、運命も宿命も、自らの生命に具わる可能性を信じていけば、転換できるとも説かれています。
自らに内在する尊い生命を信じられるかどうか。釈迦は自己を信じるという信を強調されたと言われています。簡単に言えば、自分の生命の可能性を信じて行動し生き抜きなさいと教えたのです。
充実した生き方は環境から与えられるものでもなく、目標に向かって主体的に生きる生き方の中に生まれると言われています。その生き方も他者貢献につながる生き方とされています。
具体的には、今の引きこもり状態から一日も早く脱出することです。
今は人の助けを借りることが必要です。ヘレンもサリバン先生に出会ったからこそ、自分の尊さ(使命)に気付いたのです。あなたも、善き人との出会いがあなたを高めてくれるでしょう。外に出て、能動的に動けば、そのような人に出会えるかもしれません。
具体的には、『就労移行施設』や「若者サポートステイション」「生活困窮者自立支援相談室」(経済的困窮者だけが対象ではない、生活困窮する精神疾患者も対象)をネットで調べ、連絡を取り、まずは相談に訪れるとよいと思います。あなたの場合、就労もありますので、『就労移行施設』
がよいかもしれません。
まず、一歩踏み出すところから、希望が生まれてくるでしょう。よい出会いがあることを祈っています。