相談室(ブログ)

私は心療内科、精神科、神経内科、街のカウンセリングのどれに行けばいいですか?

2019.06.08

質問
私は心療内科、精神科、神経内科、街のカウンセリングのどれに行けばいいですか?

PTSDかもしれません。
子供の頃家庭環境が悪く、その頃のことが忘れられません。今でも調子が悪いです。

自律神経失調症ですが症状は軽いです。
一時期偏頭痛、吐き気、不眠症で悩んでいましたが自己流で治しました。
この場合「内科」と付くものは違うと考えて問題ありませんか?

以前一度個人経営のカウンセリングに行ったことがあります。
新しいことを始めようとした時に昔のことを思い出してしまうのを治したくて通いました。
しかし問診がきつくてかえって悪化してしまいました。

カウンセリングにも相性があるのでしょうか。
臨床心理士の方にカウンセリングをお願いすれば間違いないと考えて問題ありませんか?

自分の症状を見て適切な診療所を提案してくれる機関はありませんか。

皆お金を取るだけとって症状が悪化したり治らなくてもそ知らぬそぶりで信用できません。

街の診療所が紹介状を書いて大学病院に案内するようなことを精神科はしていないのですか?

回答
はしめまして、臨床心理シランの室です。

当室には過去に心療内科(精神科)を受診された方がよく来所されます。

「心療内科では薬治療のみで改善しなかった」
「薬に頼らずカウンセリングで根本的に治したい」
「治療者が話を聞いてくれず一方的に治療をすすめる」
「治療者が上から目線で嫌だ」など…

薬治療に対する拒否や治療者に対する不信感などがあり、心療内科(精神科)に見切りをつけてしまったようです。

うまくいかない治療は、本人の心の病の悪化につながります。
心の病は、人間関係のストレスが心因になる場合が多く、治療者との関係性がうまくいかなければ、不信感を強め、トラウマになることも少なくありません。

心の病になったとき、どこへいけばよいのか…
心療内科か、それとも心理療法 (カウンセリングルーム)か…

心療内科(精神科)は、患者の話をもとに診断を下します。診断後は、症状を緩和させるために薬を処方します。初診に充てる時間は、15分間から長くて30分以内です。二回目からは、薬の加減が中心の診察で10分以内です。カウセリングはほとんどありません。患者が多く、時間を割くことができないからです。(大学病院は「研修」という視点から対応することがあり、当室に来るクライエントの話からすると、残念ながら勧める気持ちになれません。)

心療内科・精神科は保険が適用されるため、料金も低めです。初診でも3000円を超えることは少ないでしょう。2回目以降は2000円以下です。それに比べ、民間のカウンセリングルームは、保険が適用されないため、通常5000円以上になります。(東京は1万円ぐらいと聞いています)

薬物治療は一時的に症状を抑える効果はありますが、本質的な改善は見込めないと言われています。症状緩和に働きかけることと並行して、他の影響(副作用といわれている)があります。さらに薬の依存性もあります。

本質的な改善は、自らの自然治癒力の発動で治すしかありません。それを阻害している心理・社会・生物的要因を取り除くことで可能になります。自然治癒力の発動を可能にするのが、心理療法(カウンセリング)になると思います。一口に心理療法といっても100種以上はありますので、何を選ぶかが大事です。

精神疾患に応じた効果のある心理療法というものがあります。例えば「うつ」であれば、適切な心理療法は、アメリカ精神心理学会が効果のある療法としてあげている「認知行動療法」「認知療法」になります。PTSDには「エクスポジャー」が有効とされています。

それ以上に大事なことは患者(クライエント)のアセスメント(診断・見立て)力です。名医(名心理療法家)とやぶの差は、見立て力の差です。正確な見立てがあって初めて、改善へのプラン(処方)ができるからです。見立ては、人間を総合的にみなければできません。外科や内科では、レントゲンやMRI、CT、血液検査などをし、正確な分析をし、診断しようとします。

まして分析不可能な見えない人間の心を診るわけですから、いくつかの心理検査は最低限、必要なものです。問診だけで、その人の人生経験全体を背負っている心の病を診るのは、とても困難なことです。

心理療法(カウンセラー)を選ぶ一つの基準は、見立て力(アセスメント力)がどのくらいあるのかです。心理検査の併用は必須でしょう。そう考えると、大学院で研修を重ね、実務経験を積んだ臨床心理士が安心できると思われます。(当室のブログ「間違いのないカウンセラー選び」を参照にされるとよいでしょう)しかし、臨床心理士であればよいかというと、そうともいえません。キャリアと専門性が必要です。

ある県の臨床心理士会の規定では、開業カウンセラーは、臨床経験7年以上とあります。やはり、公的機関と違って、倫理性やカウンセリングの責任を考えるとそのくらいの資格取得後のキャリアは必要だと思います。

カウンセリングが人と人の関係の営みである以上、カウンセラーとクライエントの関係は症状の改善に大きく影響します。かつて、抗うつ薬のプラセボ実験がありました。偽薬と本物の薬の治療効果を実験したところ、思ったほどの差がなかったと報告されています。処方する医師を信じれば治療効果が高くなり、疑えば効果が低くなります。

クライエント(来談者)がカウンセラーを信じられるかどうか、その要素の一つがカウンセラーの人間性です。

人間性…まず誠実な人。次に奉仕の心…悩める人の苦しみに共感し、改善のための努力を惜しまない人。人によって差別しない公平さのある人。改善のために、来談者に学び、先人の知恵に学ぶなどの向上心が必要です。謙虚に学びのあるカウンセラーは、良いカウンセラーの条件です。

結論からしますと、民間のカウンセリングルームか心療内科で経験があり、PTSDの専門性のある臨床心理士による認知行動療法が適切と思います。さらに、人間性のあるカウンセラーであなたと相性がよさそうなカウンセラーが最適でしょう。

一度面接をすれば、相性を含め、人間性も少しわかり、自分に合っているかどうかの見分けはつくと思います。また、ネット上で、プロフィールや考え方などの欄を参考にするのもよいと思います。