相談室(ブログ)

自分の人生っていったい何なんだろう…生きる意味を見つけたい

2019.05.01

メール相談 20代女性 

回答  臨床心理シランの室です。

あなたは幾度かの苦境の中で、それに負けず生き続けてきました。立派なことだと思います。他の人より苦労した分、あなたは忍耐力、粘り強さを身につけているはずです。気づいていないかもしれませんが、それはあなたの心の宝になっていることでしょう。

しかし、心配な面があります。
今のあなたは、過労働に心身が疲憊(ひはい)しているような気がします。仕事の負荷があなたの許容量を超えてしまうと、あなたは不適応症状(適応障害)を引き起こすかもしれません。
今のあなたの悲観的なものごとの捉え方…他者と比べ自分の不遇を嘆いたり悲観したりする、環境に不遇の原因を求めようとしたりすることなど…心の疲労があなたの考え方に影を落し、あなたの心を弱くしているように思えます。健全な体にこそ、健全な心が宿るからです。

まず、会社のしかるべき機関(労務管理するところ)や上司に仕事のことについて相談し、適切な仕事量にしてもらうことが、自分の健康を守るためにも必要なことだと思います。労働者としての当然の権利の主張ですから。

もう一つは、あなたの物事の捉え方を変えてみることです。それには他者と対話したり、先人の書物に触れたり、いずれにしても自分以外の他者の心に触れることです。

以下考え方の一例です。
人は苦境(恵まれない環境や出来事、状況)に遭遇した時、それをどのように意味づけるかが大事です。その意味づけによっては、困難な出来事がそのまま不幸の原因になったりすることもあれば、逆に自らの心の鍛えの場になり、未来の幸福の原因になったりするからです。

人は環境の中で作られるという一面があります。しかし同じ環境に育った兄弟が、みな同じような生き方になるわけではありません。親の作った環境に染まったまま、傷を持ち、心が曲がり、不幸な人生を送る人もいれば、悪い環境をバネにして、自らを高め人生を立派に生きる人もいます。

一面的に見れば、あなたが言うように「世界は不平等」と言えるかもしれません。人はどんな親のもとに生まれるかによって、生まれながら差別を伴っています。紛争の国に生まれ、食べるものもなく死んでいく子ども、生まれながらにして障害を持つ生命、虐待の親の元に生まれる人、不幸な環境のもとに生まれる人など様々です…。

人間は生まれながらにして差別をもって生まれているといえるでしょう。しかし生命のもつ可能性は平等であり、幸福になる可能性も平等であり、死にゆく必然性をもつ存在という意味でも平等です。

あなたは相対的な幸福観に生きています。相対的とは他者との比較(環境)によってもたらさられる幸福です。お金があるかないかなどの物質的な豊かさ、あるいはよい親や環境、能力や健康、美醜など、これらの比較優劣によってもたらされる幸福なので、相対的と言えます。

つまり環境に左右される幸福観です。環境が変れば一瞬にして不幸に転落してしまいます。いくら物質的に豊かであっても、能力があったとしても、例えば、不治の病になれば一瞬にして不幸に転落してしまいます。

相対的幸福観は、環境との比較によってもたらされものであり、絶対的なものではなく不安定であり、ある意味、砂上の楼閣のようなものです。

一方、絶対的幸福観とは、環境、物質的豊かさ、健康・病気などに左右されるものではありません。確かな目的感に立った生き方に伴う深い充実感です。何ものにも壊されない心の強さです。どんな悪環境も乗り越えていく心のたくましさです。

感謝する心を持てば人生が豊かになります。今生きていることが、どれほど多くの人に支えられているのかに思いをはせる時、感謝の心が湧き、自分も他者の命に貢献しようという心が起きてくるでしょう。

人と比較し嘆くことも羨むこともありません。それらは仮初(かりそめ)のものであり、やがて通り過ぎ、風化してしまうものだからです。今は、しっかりとした自分を作ることです。強い自分を作ることです。大いに学ぶことです。女性の本当の幸福は40代からとも言われています。

あなたは20代後半、人生これからです。
自分の可能性を開くためにあらゆるものから学び自分を賢くすることです。あなたが自分を作った分、希望の未来が開けてきます。これから先の人生が明るく楽しくなってくるでしょう。そのとき、人生の意味は実感できると思います。