相談室(ブログ)

心の病になったとき…心療内科、それともカウンセリング

2019.04.13

当室には、かつて心療内科(精神科)を受診されていた方がよく来談されます。

「心療内科では薬治療のみで改善しなかった」「薬に頼らずカウンセリングで根本的に治したい」

「治療者が話を聞いてくれず一方的に治療をすすめる」「治療者が上から目線で嫌だった」など…。

薬治療に対する拒否や治療者に対する不信感などがあり、心療内科に見切りをつけてしまったようです。うまくいかない治療は、治療者への不信を強め、結果的には本人の心の病の悪化につながっています。

心の病は、人間関係のストレスが心因になっている場合が多く、初診での治療者との関係性がうまくいかなければ、それがトラウマになることも少なくありません。心の病になったとき、最初にどこへいけばよいのか… 心療内科か、それとも心理療法 (カウンセリング)か…

心療内科(精神科)は、患者の話を聞き、患者の話をもとに診断を下します。(簡易的な問診としての心理検査を実施しすることもある)。診断後は、症状を緩和させるために薬を処方します。初診に充てる時間は、15分間から長くて30分以内です。二回目からは、薬の加減が中心の診察で10分前後と言われています。カウセリングはほとんどしません。患者が多く、時間を割くことができないからのようです。

保険が適用されるため、料金も低めです。初診でも3000円を超えることは少ないでしょう。2回目以降は2000円以下です。それに比べ、カウンセリングは、保険が適用されないため、通常5000円以上になります。

薬物治療は一時的に症状を抑える効果はありますが、本質的な改善は見込めないと言われています。症状緩和に働きかけることと並行して、他の影響(副作用といわれている)があります。依存性がある薬が多いため、薬依存になり、病気が遷延化しがちになります。

自らの自然治癒力が発動するかどうかが根本的治癒のカギになります。自然治癒力の発動を阻害している心理・社会・生物的要因を取り除くことが大事になります。

それを可能にするのが、心理療法(カウンセリング)になると思います。一口に心理療法といっても100種以上はありますので、何を選ぶかが大事です。

精神疾患に応じた効果のある心理療法というものがあります。例えば「うつ」であれば、適切な心理療法は、アメリカ精神心理学会が効果のある療法としてあげている「認知行動療法」「認知療法」になります

それ以上に大事なことは患者(クライエント)のアセスメント(診断・見立て)力です。名医(名心理療法家)とやぶの差は、見立て力の差です。正確な見立てがあって初めて、改善へのプラン(処方)ができるからです。

見立ては、人間を総合的にみなければできません。外科や内科では、レントゲンやMRI、CT、血液検査などをし、正確な分析をし、症状を正確に見立て診断しようとします。

まして分析不能な見えない人間の心を診るわけですから、いくつかの心理検査は最低限、必要なものです。問診だけで、その人の人生経験全体を背負っている心の病を診るのは無理なことでしょう…。

心理療法(カウンセラー)を選ぶ一つの基準は、見立て力(アセスメント力)がどのくらいあるのかです。心理検査の併用は必須でしょう。その意味では、大学院で研修を重ね、実務経験を積んだ臨床心理士資格保持者が安全でしょう。(間違いのないカウンセラー選びを参照にされるとよいでしょう)

心の病がひどく、会社を休職したり、障害手帳を申請したりする場合は、医師の診断書が必要になります。診断も薬の処方もは医師しか認められていない業務独占行為だからです。心理療法家にできるのは、見立て(アセスメント)と心理療法です。休職したりする場合は、まず医師の診察を受けるほうがよいと思います。

根本的に心の病を改善したい場合は、専門的な心理療法(認知行動療法や森田療法など)を受けられるとよいでしょう。