公立の小中学校の通常学級に、注意欠如多動性障がいなど発達障がいのある児童生徒が8,8%在籍していると推定されることが、文部科学省調査(令和4年12月)でわかったとマスコミで報道されました。2002年に実施された「全国実態調査」で、6%近くがLD、ADHD、高機能自閉症(今の自閉症スペクトラム)により、学習や生活に特別な支援が必要とされるという報告がなされことに端を発しています。それを受けて、2004年に「発達障害者支援法」が成立し、現在のような特別支援教育が始まりました。
この調査に科学的な根拠がない理由はいくつかあります。まず、この調査を実施しているのが、学校の担任教師です。専門家チームが作成した75項目を担任の主観で調査し報告するという方法をとっています。質問紙調査ですから、客観性より主観に依存します。
二つ目は、75項目のチェックリスト項目自体が、とてもあいまいであり、調査する人の解釈によって変わるということです。担任は心理の専門ではないので仕方のないことですが、この結果がマスコミを通して世間に拡散されるのですから、怖いことです。
三つは、「発達障害」自体の科学的根拠です。「脳の中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定される」と報告書に記載されていますが、「推定」は仮説であり、実験証明されたものではなく科学的根拠になりません。研究を重ねていますが、まだ真実はわからず、やはり「推測」「仮説」の域にとどまっていて、ただ似たような状態像、症状を呈しているという現象があるだけなのです。いくつかの症状が該当するかどうかの聞取りで多くの精神科医は「発達障害」を診断(診断マニュアル、DSM5…診断のための教科書のようなもの)していると言われています。
そもそも「発達障害」という言葉、カテゴリーのとらえ方が問題です。日本語では「障害」と翻訳していますが、アメリカ精神医学会の用語は「disorder」で翻訳すると、「変調や秩序の乱れ、正常な状態から外れていること」と言う意味になります。これを「身体障害」と同じ障害のように理解すると、いかにも重たいものに感じてしまいます。
また脳機能と発達障害の関係は科学的には解明されていないと言われています。それにも関わらず、医療業界、製薬会社、行政機関が一丸となって「患者を掘り起こす」「啓発」活動に力をいれていくという結果となり、発達障害は空前の流行となり、うつ病バブルに続き「発達障害バブル」期に入っています。つまり、科学的根拠がない、推定・仮説の領域で作られたものなのです。マスコミが拡散したといってよいでしょう。
恐ろしいのは、発達障害バブルによる早期予防教育が未熟で不完全な子どもたちの個性や可能性を伸ばす方向ではなく、こどもの異常をいかに見つけるかに重点が置かれている点です。私が最も恐ろしいと思うことは、脳の発達成長期にある子どもに対する精神病薬の服薬とその副作用です。副作用の影響性も実証結果はありません。精神科医や専門家を安易に信じる前に、親は真実を確かめる賢さが大事てす。それが子どもを守り育てる本当の愛情だと私は思います。
「何も考えず 権威を敬うことは 真実に対する 最大の敵である」 アインシュタイン