相談室(ブログ)

心は どんな病も治す 神の力を持っている

2025.07.05

直径0.1㎜の受精卵に 今の私たちになる設計図が 組み込まれている

私たちの生命はどこから来たのか、とても大事なことですが、それは不可思議世界のことですから、ここでは横に置きます。射精時に父親の持つ約3億個の中の一つの精子が、母親の卵子に付着した時、私たちはこの世に誕生しました。その時の受精卵の大きさは直径0.1㎜ほどとされています。その中に既に、現在の私たちの身体になるプログラムが組み込まれていたのです。直径0.1㎜の微小なものの中に、今の私たちのかたちや心が既に設計されていたことになります。この不思議な力を神通の力と言います。私たちは誰びとも、この素晴らしい力を等しく潜在的に持っています。これが人間の尊厳性の根拠であり、人間の平等の真の意味です。そして人間の内在する可能性の無限性でもあります。

私たちは環境によって成長したり・成育不全を起こしたりしていく

環境因子を取り込みながら、もともと持っていた生来因が強化されたり、矮小化されたり歪められたりします。具体的には家庭養育環境が適切であれば、素質因は強化され良好な成長をとげてゆきますが、虐待、干渉などの環境のもとでは矮小化されたり歪められたりすることもあります。また学校環境、社会環境はそれらに拍車をかけていきます。つまり私たちの心は、変転する環境の中で生きるために一生懸命、適応・変化・反応し成長したり、発育不全を起こしたりしてゆきます。難信難解の生命の因果の世界のことですが、中心はもともと持っていた生来因によるものです。それが環境の選択(取り込み)まですると考えるほうが理にかなっているようです。ここには、私たちの生命誕生における、偶然か必然かという大問題が秘されていますが、その問いは別の機会に譲りたいと思います。

誰人も持つ 体の持つ不思議な働き

けがをして出血しても、多くの場合、血は自然に止まります。40度の熱を出しても安静していれば、特別の場合を除いて、熱は自然に下がります。体の働きに重要な役割を担っているものの一つに血液があります。血管の長さは、毛細血管までつなぎ合わせると約地球二周半になると言われています。血液は私たちの生命維持に欠かせない、酸素、栄養素、ホルモンなどを40数兆個の全細胞に運搬し、30秒ほどで心臓に還ります。また、免疫、体温の調整などの働きもしています。日常、意識することはありませんが、そうした働き(血液の働きは身体の働きのごく一部に過ぎない)のおかげで私たちは生を保つことができています。奇跡としかいいようがありませんが、それらの細胞の不思議な働きと力を意識する人はほとんどいません。

これらの働きは目には見ませんが、体が本来持っている不思議な力(神通力)です。身体学では自然治癒力とか、恒常性機能(ホメオスタシス)と表現します。しかし、その働きが何によるのかは分かっていませんが、不思議な働きであり薬の役割を果たしています。体を一大製薬会社にたとえる細胞学者もいます。こうした体の不思議な働きは、誰人も平等に持っています。

心が持つ不思議な働きと力

強い怒りを感じても一週間もすれば、怒りは半分以下になります。愛する家族を亡くし、悲しみにうちひしがれていても、半年もすれば悲しみは半減し、時間の流れとともに、やがて思い出として心に収まっていきます。どんなに嫌な辛かったことも時間が立てば、日常生活が普通にできるように回復していきます。これは誰人も、持っている心の不思議な力によるのです。心には、どんな苦しみも辛さも癒し、もとに戻す力が具わっているのです。これを「神通力」とも「妙なる働き」とも言います。名医はこのの一部を発見し、その働き(注1)を巧みに使って、病者を治します。

私たちの身体(細胞)は よりよく生きようと 常に闘っている

このに則れば、すべての心病をなくすことができると言われています。40数兆個の細胞(その統一体が私たちの生命)は、よりよく生きよう生きようと新陳代謝し、環境の変化に適用し、常に闘い成長しています(注2)。闘いをやめれば、死滅するしかないからです。体(細胞)に即して現れる心も同じです。

注1  妙なる法(古代サンスクリット語で、サ・ダルマと釈尊は名づけました。中国4世紀の天才名訳者、鳩摩羅什・くまらじゅうは、妙法と漢訳しました)…釈迦は2600年前頃に、心(生命)の妙なる不可思議世界の法(ダルマ)を修行と瞑想で悟り、ブッタ(覚者)になったと言われています。ブッタになった人間釈尊は、あらゆる現象を貫く(妙法)に精通した博学の人であり、万人の不幸や苦しみを抜き、健康、幸福にする道を説き実践し、医王と呼ばれました。竜樹菩薩(りゅうじゅぼさつ・ナーガールジュナ、インド200年ごろの天才・空観…認知できないが、確かに存在する法…などを説いた)は、その不思議なを「治し難きをよく治す、故に妙と為す」「大薬師の毒を変じて薬と為す」(大智度論による)と解釈しました。本来の心(生命)に具わる不可思議(妙)な働き・を悟ったと言われています。

(注2)細胞は生命である…細胞は、その内部構造がバランスの取れた状態を維持している。(ホメオスタシス)。細胞の構造は、高度に組織化されている。細胞は、破壊、必要に応じてエネルギーの放出、保存、栄養を構築する。細胞は成長しなければならない。それは構造の変化を意味する。細胞は環境に適応しようとする。細胞は、必要に応じて、環境刺激に反応することができなければならない。細胞は、自分自身を再生、生殖することができる。(最新細胞学の研究より)

名医と言われた方の一人に、森田療法の開祖、慈恵医科大学の精神科初代教授、森田正馬氏(1874-1938)がいます。彼は自らの神経症体験の内省から「あるがまま」という不思議な心の働きを発見し、薬を使わず、神経症(強迫観念、パニック障害、対人恐怖症、睡眠恐怖症、不安症など)で苦しむ90%以上の方を完治させました。彼の療法は自覚療法と呼ばれ、心の中の法・ダルマに焦点を当てたものでした。(「神経衰弱と強迫観念の根治法」森田正馬著による)。

またアメリカのジョン・カバットジン氏(現マサチューセッツ大学医学部名誉教授)もその一人です。日本で仏教の禅を修行し、それにヒントを得てマインドフルネス(生命力がよみがえる瞑想健康法ー心と体のリッフレッシュー著書「マインドフルネス・ストレス低減法」)という言葉で表現し独自の療法を開発しました。心の中に流れるダルマ(法)の悟りを基本にした、その療法はアメリカのみならず、日本や多くの国に広がり、病める多くの人を救い、高い治療実績を残しています。 

芝蘭の便り