書籍… 不登校・ひきこもり・心の不調から蘇る 芝蘭の便り
第一章 不登校・ひきこもりの心理
1・なぜひきこもるのでしょうか 2・不登校、ひきこもりに不足している心の安心領域とは何ですか 3・現代社会はひきこもり・不登校にどんな影響を与えているのでしょうか 4・なぜ不登校・引きこもり・心の不調者が増加するのでしょうか 5・不登校・引きこもりになったとき親が考えなければいけないことはどんなことでしょうか 6・ひきこもり・不登校の心理的要因と再生の道 7・心の安心領域はどうすれば育ちますか コラム1 不登校を産み出す学校教育環境 コラム2 偏差値教育の落とし穴 コラム3 不登校・ひきこもり面接事例 コラム4 偉人が遺した名言
第二章 生きることは闘い 闘わないと滅びる
1 人間の基本は自分の身を守る本能的行動 2 人間は思考する感情の動物 3 強い刺激は頭の中を巡り 心を乱す 4 生きることは空模様に似ている 雨の日もあれば晴れの日もある 5 生きることは闘い 闘わないと滅びるのが動物種としての人間 6 人間は何のために生きるのか…青年釈迦の苦悩
第三章 不登校・ひきこもり・心の不調を解決する心の調整法
1,見えないストレスを軽減する方法 2,反応から対処という生き方 3,見えない心の傷つきを癒す方法 4,対人不安を解決する方法 5,嫌な気分を受け入れて生きる方法 6,感情は言葉や思考では制御できないことを知る 7,最も制御が難しい感情は怒りと悲しみ 8,怒りや悲しみを受け入れる方法 9,執着やとらわれを明らかに見る生き方 10,人の心が分かるようになるための心の在り方 11,本来、心に壁は存在しない 12,私たちの心と体は常に変化し動いている…素粒子理論からの考察 13,心が持つ不思議な力と働き…量子力学的視点と心の関連性 14,自立を育む安心環境 15,子どもとの豊かな関わり方 16,発達障害の活かし方
第四章 本来の自己に出遭うとき、自分らしく生きることができる
1,自分らしく生きることが幸福 2,自分らしさの探求は社会常識との戦い 3,自分らしさの獲得は自分独自の規範を作ることにある 4,社会常識を昇華することが心の独立 5,自らの光で周囲を照らす生き方 6,自分というかけがえのない個性を自覚する 7,何に価値を置いて生きるかが大事 8,他人の評価に振り回されない自分を築く 9,健康的な習慣が自分らしさを発揮させる 10,自分を自分らしく表現する方法 11,自他尊重のさわやかな自己表現法
第五章 本来の自己のリズムに今の自分のリズムを一致させ幸福に生きるための内省法
1, 自分の身体を内省する 2,自分を取り巻く環境、自然、宇宙を内省する 3,自分の生命を支えてくれている存在を内省する 4,本来の自己のリズム(周波数・波動)を内省する
第六章 中高生の質問に回答する
1,自分が嫌いです。自分を好きになるにはどうすればよいですか?(高校生・女性)
2,人は死んだらどうなりますか?(中学生・女性)
3,生まれながらに差別があるのはなぜですか?(高校生男性)
※この書は、知識を集大成させた机上の学問の本ではなく、思想、哲学、文学、宗教学、心理学、身体学、諸科学の筆者の遍歴と50年間の教育実践、思春期の青年との関わりから試行錯誤し、研究したものから生まれた経験・実践をまとめた筆者独自の芝蘭の便り・本です。
以下に、第一章の5 第二章の6 を紹介します。
第一章 5 親が 考えなければならないことは、どんなことでしょうかが
子どもが不登校・ひきこもり状態になったとき、親が考えないといけないことは、原点に戻ることです。この場合の原点とは、苦しんでいる子どもの心です。子どもの心と向き合い、子どもの心を知ろうと努めることが最初にやるべきことなのです。なぜ、このような状態になったのか。その要因はどこにあるのか。何が過剰であり、何が不足していたのか、どこの部分を支援すれば、子どもが人間的な健全成長を遂げることができるのかを考えることです。子ども自身も、なぜ今の状態に陥ったのかがわからないこともよくあります。
不登校・ひきこもりという出来事は、一面から見れば苦という状態ですが、視点を変えれば、親も子どもも一緒に、人間的に成長する、またとない機会を与えてくれたかけがえのない出来事と見ることができます。そのようにひきこもり・不登校という心のありさまを前向きにとらえることができれば、本質的解決の道に入ることができます。
子どもが、どんな状態になっても、子どもをそのまま受け入れ、大事に守っていくという無条件の愛情(注3)を親が持つことができれば、子どもは必ず良い方向に向かっていきます。また、親自らが誠実に子どもの成長を願い行動している姿は、必ず子どもの心に届き、やがて心を開いてゆくようになります。苦悩する子どもにとって、親の真心の愛情に勝る良薬は、この世界にはありません。ユダヤのことわざに「母親は百人の教師に勝る」とあるのはこの意味です。
芝蘭の室を訪れる長期不登校・ひきこもり者は心療内科にかかったものや公的な福祉機関に通所した経歴を持っています。数カ所を巡った人も少なくありません。そのほとんどの人が、改善せず芝蘭の室に来所しています。なぜ、そのようなことになるのでしょうか。
脳の神経伝達物質(セロトニン、ドーパーミン、アドレナリンなど)を標的にする薬では、心の問題を解決することは困難であり、本質的な対処にはなりません。解熱剤ぐらいの一時的効能はあるかもしれませんが、あくまでも一時的な症状緩和であり、本質的解決をもたらしてくれるものではありません。なぜなら、心とは何か、意識とは何かが現在の最先端の脳科学でも解明できていないからです。ただ分かっていることは、心は脳をはじめとした身体を通して、「苦しい、痛い」「気分が悪い、何もする気がしない」などの苦しみの言葉や気分や症状として表現されるということです。その身体の主要な一部の働きを担っているが脳ですが、すべての細胞に心の働き(注4)がみられるのも事実です。だから難解なのです。
心の不調の場合、多くの場合、苦しみは心の炎症から生じています。身体のそれと違って心の傷は見えません。服薬は、依存性を高めたり、副作用による身体の不調を招いたりすることがあります。不登校状態を長引かる結果にもなりかねません。複雑な心を診ることは大変難しいことなのです。心の病は見立てと対処を間違うと悪化するのは、身体の病気の誤診と同じです。ただ心の場合、誤診(注5)していても、曖昧にすることができます。私たちが、慎重に賢明にならないと、心の健康を守ることもできなくなります。
(注3) 無条件の愛情…ヘレンケラーを世界的偉人に育てた陰の支援者はサリバン先生です。目が見えなくなり、三重苦から自暴自棄に荒れ狂うヘレンに対して、彼女は忍耐強く無条件の愛情を持ち続け、終生ヘレンに尽くし、彼女の持つ可能性を開いたとされています。ヘレンの偉業はサリバン先生なくしては成し遂げられなかったと言われています。ヘレンは「私を作ったのはサリバン先生です」とサリバン先生の恩に報いる行動を生涯、貫いたと言われています。
(注4)細胞に心の働き…すべての細胞は振動し、微弱な光を出しています。それをバイオフォトンと学者は名付けています。人間を構成する細胞は約46兆個と言われていますが、その細胞一つ一つが生命現象を演じ、酸素と栄養を取り入れ、新陳代謝し、エネルギーを発し、環境変化に適応し生と死を演じています。奇跡的な働きです。分析できる見える物質を支えているのが見えない働きです。心は関係性で生起するので、とらえることができないと、最先端の量子力学が「量子のもつれ現象」などで、心の不可思議さの一面を分析しています。
(注5) ●「誤診」(心の科学、NO164…精神科臨床における誤診、薬物療法偏重と誤診、うつ状態の鑑別診断と誤診、大人の発達障害と誤診などが編集されている) ●「精神科臨床はどこへ行く」(心の科学・井原裕編)‥薬を巡る諸問題、治療現場で起きていること、PTSDの乱発―心のケアのいかがわしさなど●「ブラック精神医療」(米田倫康著)‥知ってほしい精神医療現場の驚愕の真実
第二章 6 人は何のために生きるのか…青年釈迦の苦悩
ここで一人の人間、釈迦(注3)の例をあげてみます。釈迦は王子として生れ、王宮の中で何不自由のない生活をしていましたが、19歳の頃、心に湧きおこる虚しさに苦しみます。「私は何のために生きるのか」「私の心はなぜ、こんなにも空しいのか」と生存の意味を問う苦しみに悶々としていました。
ある日、王宮の東門から出た時、老人を見、人は老いることを知ります。南門から出た時、病人に会い、生あれば病があることを知ります。西門から出た時、死人を見、人は死ぬことを知ります。最後に北門から出た時、端然威儀具足した修行者に会い、姿も心も清浄なものを見て、出家得道の望みを起こしたと言われています。有名な「四門遊観」(注4)の話であり、釈迦が「生老病死」という人間の四苦と真正面から向き合った瞬間でした。釈迦は、その解決のため、王宮での恵まれた生活を捨てて、人生の真理を求めて、苦悩充満する娑婆世界(娑婆とは堪忍の意味、実社会は思いどおりにいかない世界という意味)に生命探求の旅に出ます。
人生とは苦なのでしょうか。生きるとは苦しみの連続なのでしょうか。人生の大半が苦なら、生きる意味はあるのでしょうか。人間として存在する意義はどこにあるのでしょうか。人生とは、一面からすれば、生きる意味、存在の意義を、生涯をかけて探す道のりと言えます。苦悩の人生は人の心を耕し深くしてくれ、苦しみは心を浄化させてくれます。苦悩の中で自分の心を見つめ、人生の真実の一部を見つめることができるようになります。聖人や賢人はそのように人生を生き抜いた人たちだと思います。
生きている今の瞬間の生命は常に変化し、同じところにとどまっていません。瞬間の生命には苦もなく楽もないとは釈尊の悟りです。今の瞬間は純粋な経験であり、色付けできないものです。それを苦と感じるのは五感であり、それを鮮明にし、思考と言葉にした意識の働きです。過去の記憶化された潜在意識の染色の結果なのです。本来の瞬間は、新しい純粋な経験です。古来より生命錬磨の修行をした先人たちは、生きる意味を模索し、幸福な生き方を探究しました。そして人間の欲望こそが苦の原因だと究明し、心を浄化させれば、幸福になれると考え、苦行に徹しました。何日も断食したり、不眠の修行をしたり、異性を遠ざけたりなどして苦の原因を断じようとしました。釈迦在世のインドは、そのような修行して悟りを得たいう六人の指導者が支配していたと言われてます。
すべて苦からの解放の道を求めてのことであり、苦をもたらす煩悩(欲望)(注5)を克服した後に、真の楽があると信じた修行でした。釈迦もその修行を一時期されましたが、苦行に徹しても幸福は得られないと悟り、独自の道を歩まれたと言われています。人間が生きていることは、煩悩に従って生きていることと言えます。その欲望が苦にもなり、楽にもなります。つまり、苦楽は心の裏と表の関係であり、どちらが出ているかで、その人の人生の存在の色が変わります。楽しい世界を心に描き、意識して強く心を定めて生きれば、心は楽に満ちてきます。そのように心を描くのは、今の意識です。意識を磨けば、どの瞬間も楽しんでいけるようになります(注6)。これが真の楽観主義であり、自己肯定であり釈迦(釈尊)の悟りと言われています。
釈尊は語ります。心を研ぎ澄まし、心が清らかになれば、その純粋な心に宇宙の慈悲の振動が共鳴し、私たちの心に慈悲が脈打ち、生きていることが楽しくなると。自己が宇宙の慈悲と一体になり、喜びに包まれます。それが最高の楽であり、聖人・賢人が求めた世界とされています。そのためは、行動を正しくし、正しい思想を作りあげることが必要になります。釈尊は、悟りは知識では得られない、実践の中での生命の体得だと、ことあるごとに弟子たちに諭したと言われています。
(注3) 釈迦…悟りを開いた後、尊敬を込めて、釈尊とか、ブッタ、ゴータマシッダルタなどと呼ばれました。成道後(仏を悟った後)の40年間の教えは、八万宝蔵と言われ、インド、中国、韓国、東南アジア諸国などに広がる中で釈尊の教えは伝承者により変化してゆきます。日本では、最澄・日蓮の法華経や法然・親鸞の浄土教・阿弥陀経やマインドフルネスに影響を与えた禅、般若心経、観音経などが知られています。
(注4)「四門遊観」の話…宮沢賢治の詩「雨にも負けず 風にも負けず…東に病気の子どもあれば 行って看病してやり 西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負ひ 南に死にそうな人あれば 行って怖がらなくてもいいといい 北 に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい…」 一部の抜粋ですが、ここには釈迦の「四門遊観」の話になぞらえたものが書かれていると言われています。宮沢賢治は、法華経の信奉者であり、彼の文学の根底には法華経があったと言われています。詩のメモの最後の部分には、法華経に出てくる菩薩や如来が書かれていたそうです。
(注5)煩悩…仏教用語。人間の心身を煩わせ悩ませる種々の精神作用の総称。根本煩悩として、貪(むさぼり),瞋(瞋り・いかり)、癡(おろか)、慢(おごり)、疑(疑い・迷い)の五つを挙げています。その他、隋煩悩などがあり総勢108個とする説もあります。除夜の鐘の108回撞く習わしは、一年間の煩悩を消滅し、新しい年を幸せに迎えたいと言う願いが込められていると言われています。
(注6)「どの瞬間も楽しんでいけるようになる」…釈尊は「衆生所遊楽」と説きました。衆生とは、細胞の集まりのあらゆる生命体という意味であり、人間と訳すこともあります。人間は、この世に、自在に自分を発揮し、楽しむために生まれて来たという意味です。
※本に関する問い合わせは、芝蘭之室ホームページ予約画面のメッセージらんのメールでお願いします。価格は税込み2000円(通信購入の方は、送料・振りこみ料込み)の予定です。本屋での流通予定はありませんので、本屋での購入はできません。購買は芝蘭の室経由になります。
書籍「心を健康にする本」…改善率96%のマインドフルネス・認知行動療法・自然療法の3種の哲学・科学を調和させた芝蘭独自の療法 来春3月 出版予定
主な内容…心がわからないと心の病は治せない / 心の病の原因 / 心も体も物質もすべて振動している/ 脳と心と薬の関係 / 五感覚と意識の関係 / 潜在意識が意識に与える影響 / 心の安定に関係する自己愛と母性愛(慈愛) / ストレスと適応/ 生き抜くとは闘いである
自分を好きになる方法 /心の傷をもって生きる方法/ よい人間関係の作り方/ コミュニケーションの上手なとり方/ 発達障害の活かし方 / 不安症の改善法/ パニック障害の改善法 / 強迫観念の改善法 / 反芻(はんすう)思考の改善法/ 抑うつの改善法/ 依存症の改善法 / ひきこもり・不登校の改善法 / 夫婦不和の改善法
怒り・悲しみ・感情の整え方/ 執着を解き放つ方法/先端科学の量子力学と心の世界の関係性/ ブッダの哲学と量子力学の共通点 / マインドフルネス、森田療法の基礎になっている仏法哲学
自然・生体リズムに則って生きると健康になれる/ 崩れる幸福と崩れない幸福 /心身を健康にする瞑想法 自分らしく輝いて生きるための哲学
※改善率について。3回以上の継続来談者は100%改善していますが、1~2回で来談が途切れた方の改善は把握できていません。ですから改善率は96%になっています。