相談室(ブログ)

嫌われることが怖い、自分の評価が気になる…社交不安(高1女)

2019.05.23

無料メール相談…回答

はじめまして。臨床心理シランの室です。

「自分の評価を気にして愛想を振りまく」「人に嫌われたくなく、明るく優しく努めている」といったあなたの考え方や行動の仕方に無理が生じ、ストレス過重となり、あなた自身を追い込んでいるようです。

他者評価を気にし過ぎると、自分の自然な感情を押し殺したり、不自然な自分を演じたりするようになってしまいます。嫌われたくない…よく見られたいという思いで行動すると、鎧をつけ仮面をかぶり虚飾に生きるようになり、結果として自分がなくなってしまいます。

今のあなたは、そのような不自然な生き方、無理な生き方をしているのかもしれませんね。今の生き方を続けていけば、再び、社交不安障害の再発を招き不登校になるおそれがあります。

あなたの現在は、これまでの人生経歴で、身につけた習慣(家庭環境…両親の養育環境など)の結果ですから、学習(心理学の学習理論の意味)をやり直し認知の仕方、物事のとらえ方や行動の修正を図る必要があるでしょう。つまり、認知―行動―感情―生理のからくりを学び、見直す必要がありそうです。

あなたがいうように、思春期・青年期特有の自意識過剰、自己と他者を比較する心情、不安定さ、自分探しなどの課題のため、自我が混乱している可能性もあります。

では、どうすればよいのでしょうか…。
まず自分を知ることです。自分を知るためには、人と対話することです。他人という自分を映す鏡の存在があってこそ自分を知ることができるからです。人生の先輩や心理カウンセラーに相談するとよいでしょう。スクールカウンセラーに相談されたり、心療内科でカウンセリングを受けたりするのもよいと思います。

次に、他者評価重視から自己評価重視の生き方に転換することです。つまり、ありのままの自分に生きることです。仮面や虚飾で外見を飾るのではなく、素朴なありのままの自分をさらして生きるのです。そのためには自己肯定感を高めなくてはいけません。

相手に対していい顔をせず、相手の意に反する行動をとれば、嫌われこともあるかもしれません。時には嫌われる勇気も必要になります。

大事なことは、自分も尊重するし、同じように相手も尊重するという生き方を身に付けることです。今の生き方は、他人はOKで自分はOKでないという生き方になっています。それを自分もOK、相手もOKという生き方に転換することです。

自分に生きる…自分対自分という、絶対に欺けない自分に生ききることです。昨日の自分と今日の自分を比較し、成長できたかどうかを評価していくという生き方です。そうした生き方をしていけば自己肯定感が育ってきます。
人は見える世界を追い求め、物事の本質を見失いがちです。それが自己肯定感を低くする一因にもなっています。

ダイヤは、もともとは黒い石に過ぎませんが、磨きをかけていけば高価な宝石となります。黒の原石を否定すれば輝くダイヤの存在はありません。黒い石も輝くダイヤも同じ自分です。どちらの自分も「そのまま受け入れる」ことが自己肯定なのです。人は輝くダイヤは受け入れることは容易ですが、黒い原石は受け入れがたいものです。

「黒石もダイヤも同一の存在であり、どちらも自分であると、ありのままに受け入れる。」「黒石も磨けばダイヤになる」という信念に裏打ちされた努力が必要です。その努力の積み重ねが個性を開花させ、ダイヤへと自己を高めていきます。その過程の中で自己肯定感は高まっていきます。一朝一夕にできるものではありません。

人間観や人間の心理、自我の同一性の獲得、自分を知るなど、自分探しについての知識も必要です。心理の専門家に相談されるのが、今は一番の早道だと思います。

上司のパワハラ、仕事量の多さ…ストレスに耐えられず涙が止まらず、苦しく死にたいです…メール相談(20代女性)

2019.05.17

はじめまして。臨床心理シランの室です。

今の苦しみ、辛さの直接的な原因は会社(上司との関係や仕事量)にあると思われます。
あなたが感じているように、職場や仕事のストレスに対してうまく対処できていないか、あるいはあなたの許容量を超えているのかもしれません。結果、不適応症状を呈しています。

ストレスにうまく対処していくためには、物事のとらえ方や考え方、行動の仕方、感情のコントロールの仕方、ストレス対処の仕方ソーシャルサポートなどが必要になります。

現状を改善させる対処法としては、心療内科に行くか、心理カウンセリングを受けるか、自力で心理療法をするかの三つが考えられます。

一つ目の方法は心療内科を受診することです。掲示板の内容を医師に話せば、おそらく適応障害か抑うつという診断が下され、3カ月程度の休職の診断が出そうな気がします。

休職されながら、薬物治療だけでなく、心理療法(認知行動療法)を受けるのが一番よいと思います。
休職の場合は、傷病手当(給与の約70%の手当)の手続きも出来ますし、経済的な心配もしなくてよいと思います。病気であるなら休職は当然の権利ですので、後ろめたい気持ちになる必要もないでしょう。医師の診断、判断に任せるしかありません。

自分の健康は、会社は守ってくれません。自分で守るしかありません。心が壊れてしまうと、修復するのに身体以上に時間がかかるようになります。賢明にならなければいけません。

二つ目は専門のカウンセリングルーム(できれば専門性の高い臨床心理士や公認心理師がいるところ)で心理療法を受けることです。あなたの症状からすると認知行動療法が適切と思われます。物事のとらえ方-行動―生理―感情という心と体のからくりを理解し修正する方法です。あなたの本質的な心理傾向をよい方向に向かわせるためにも心理カウンセリングを受けるとよいでしょう。この方法は仕事をしながら可能です。

三つ目は自力で、本などを読んで認知行動療法やストレス対処などを実行する方法です。認知行動療法の中に、ホームワークやモニタリング(自己観察)などがありますので、できないことはないと思いますが、自制心や向学心、そして症状が軽いことが条件になると思います。

あなたの症状からすれば、一つ目か二つ目を選択され心理療法を受けることが現状の改善にはベストでしょう。

「有給も休職も無理だと」決めつけている、あなたの物事の受け止め方を、視点を変えれば、違った見方が出来るようになります。人に話す、他者に語ることによって自らの客観視が出来るようになり、気づきが生まれ、違った見方が出来るようになるでしょう。
まず、信頼できる誰かに相談されてみられるとよいでしょう。

あなたと似たような状況にある方を最近カウンセリング(認知行動療法)しました。30代の方です。二度、適応障害を繰り返していました。一度目は、出張が多く、適応障害となり心療内科受診。会社が配置換えという環境調整をしてくれたため改善できたそうです。(適応障害は環境調整が、一番効果があると言われています。配置換え、休職、転職など)
二度目は最近のことで、上司のパワハラと離婚騒動が重なり心療内科受診。3か月の休職。傷病手当受給。心療内科では薬物療法のみだったので、休職期間中に根本的に治療したいと当室に来所されました。

心理検査で心理的、生物的、社会的要因をアセスメントし、ソウシャルサポートの確認、ストレスコーピング、認知の再構成、行動の活性化、ホームワークなどを実行しながら5回程度の面接で改善し職場復帰を果たしました。

根本的な改善のためには、心理カウンセリングは必要だと思います。

夢が果たせず、情熱がなくなり、無気力になりました。何から始めればよいのでしょうか…メール相談

2019.05.17

回答

はじめまして、臨床心理シランの室です。

イスタンブールの海峡…
表面の潮流の下に、別の流れがある。表面の海流は、時速3~4㌔の速さで、黒海から南へ、マルマラ海に流れ込む。しかし、その下40メートルには逆方向に流れる、もっとゆるやかな流れが…

人間の心を表す一つの比喩のようであり興味深い現象です。
芸術家になりたいと努力し留学までしましたが、うまくいかず、現在は全く畑違いの仕事に就いているという事実。あなたの表面の心と深層の心(本当の心)が逆方向に流れていたのかもしれません…。

理想自己と現実自己の一致という自己実現が幸福の一つの姿とも言われています。青年期は特にそのずれに苦しむときでもあります。
本当の自分とは…アイデンティティーの確立を求めて…自分探しの旅がまだ続いているのかもしれません。

「人生塞翁が馬」という故事があります。人生の幸不幸は予測しがたい…不幸な現象が幸福の原因になったり、幸福な出来事が不幸の原因になったりということです。

今は不幸に見える事実も、過ぎ去って後から見れば、意味のあるできごとであったということはよくあります。むしろ、意味のあるできごとにするには、今を誠実に真心こめて生きることだと思います。

私的なことで恐縮ですが、私は高校を中退し、働きながら定時制高校を卒業。配達業務をしながら、3年間大学受験浪人。無医村の医者になりたいという理想を抱き、医学部を目指しましたが、夢果たせず、妥協するように他学部に入学しました。

志望学部に入れなかったということで、無気力になり、心は果てしなくさまよい、授業には全く出ず、深夜のバイトづけ、小説家を目指した時期もありました。不如意な生活がたたり、ついに神経症になりました。その回復の過程で、自分にできる道として教師を選択しました。大学を29歳で卒業後、中学教師になりました(この道が自分にとって本当の自分を生きる道だったと今は思います)。

過去をふりかえってみたとき、神経症になったことも、浪人したことも、医師を目指したことも、小説家をめざしたことも、不思議とすべて生かされていることに知りました。(HPに記載)

私は臨床心理士資格を、教師をしながら佛教大学大学院の通信で学び取得しましたが、同期はみな40歳代以上の仕事を持った人たちでした。その中に40歳の現役の客室乗務員(既婚者)の方がいました。彼女は臨床心理士資格を生かして心病む人たちに貢献するという強い目標をもち、臨床心理士となり、現在スクールカウンセラーで頑張っています。

先輩や友人に相談することもよいと思います。相談する…他者に自分の一部を開示することによって、自分では気づかない自分の一面に気づいたり、多くの新しい情報を得たりするなど、視野が開けると思うからです。

読書…心を耕す心の栄養源です。すぐにできるものはメッキであり本物ではありません。「ローマは一日にしてならず」です。偉大なものは時間がかかります。まして、自分の本当の人生とはという問いかけ…心という難解な世界への旅、すぐには解答がでないと思います。

目に見えない世界を養う読書…人生観を培い、思想を固め、人生を問う…古今東西の名作や偉人の伝記などに学ぶのは、遠回りのようですが、あなたの精神世界を拡大し、養い高めてくれるでしょう。

今は友人と語り、読書で心を養い、現実の仕事を真心でやっていくということで、きっと何かがうまれてくると思います。焦らず「よいことはカタツムリの速度で進む」の精神で着実に進まれてください。

自分の人生っていったい何なんだろう…生きる意味を見つけたい

2019.05.01

メール相談 20代女性 

回答  臨床心理シランの室です。

あなたは幾度かの苦境の中で、それに負けず生き続けてきました。立派なことだと思います。他の人より苦労した分、あなたは忍耐力、粘り強さを身につけているはずです。気づいていないかもしれませんが、それはあなたの心の宝になっていることでしょう。

しかし、心配な面があります。
今のあなたは、過労働に心身が疲憊(ひはい)しているような気がします。仕事の負荷があなたの許容量を超えてしまうと、あなたは不適応症状(適応障害)を引き起こすかもしれません。
今のあなたの悲観的なものごとの捉え方…他者と比べ自分の不遇を嘆いたり悲観したりする、環境に不遇の原因を求めようとしたりすることなど…心の疲労があなたの考え方に影を落し、あなたの心を弱くしているように思えます。健全な体にこそ、健全な心が宿るからです。

まず、会社のしかるべき機関(労務管理するところ)や上司に仕事のことについて相談し、適切な仕事量にしてもらうことが、自分の健康を守るためにも必要なことだと思います。労働者としての当然の権利の主張ですから。

もう一つは、あなたの物事の捉え方を変えてみることです。それには他者と対話したり、先人の書物に触れたり、いずれにしても自分以外の他者の心に触れることです。

以下考え方の一例です。
人は苦境(恵まれない環境や出来事、状況)に遭遇した時、それをどのように意味づけるかが大事です。その意味づけによっては、困難な出来事がそのまま不幸の原因になったりすることもあれば、逆に自らの心の鍛えの場になり、未来の幸福の原因になったりするからです。

人は環境の中で作られるという一面があります。しかし同じ環境に育った兄弟が、みな同じような生き方になるわけではありません。親の作った環境に染まったまま、傷を持ち、心が曲がり、不幸な人生を送る人もいれば、悪い環境をバネにして、自らを高め人生を立派に生きる人もいます。

一面的に見れば、あなたが言うように「世界は不平等」と言えるかもしれません。人はどんな親のもとに生まれるかによって、生まれながら差別を伴っています。紛争の国に生まれ、食べるものもなく死んでいく子ども、生まれながらにして障害を持つ生命、虐待の親の元に生まれる人、不幸な環境のもとに生まれる人など様々です…。

人間は生まれながらにして差別をもって生まれているといえるでしょう。しかし生命のもつ可能性は平等であり、幸福になる可能性も平等であり、死にゆく必然性をもつ存在という意味でも平等です。

あなたは相対的な幸福観に生きています。相対的とは他者との比較(環境)によってもたらさられる幸福です。お金があるかないかなどの物質的な豊かさ、あるいはよい親や環境、能力や健康、美醜など、これらの比較優劣によってもたらされる幸福なので、相対的と言えます。

つまり環境に左右される幸福観です。環境が変れば一瞬にして不幸に転落してしまいます。いくら物質的に豊かであっても、能力があったとしても、例えば、不治の病になれば一瞬にして不幸に転落してしまいます。

相対的幸福観は、環境との比較によってもたらされものであり、絶対的なものではなく不安定であり、ある意味、砂上の楼閣のようなものです。

一方、絶対的幸福観とは、環境、物質的豊かさ、健康・病気などに左右されるものではありません。確かな目的感に立った生き方に伴う深い充実感です。何ものにも壊されない心の強さです。どんな悪環境も乗り越えていく心のたくましさです。

感謝する心を持てば人生が豊かになります。今生きていることが、どれほど多くの人に支えられているのかに思いをはせる時、感謝の心が湧き、自分も他者の命に貢献しようという心が起きてくるでしょう。

人と比較し嘆くことも羨むこともありません。それらは仮初(かりそめ)のものであり、やがて通り過ぎ、風化してしまうものだからです。今は、しっかりとした自分を作ることです。強い自分を作ることです。大いに学ぶことです。女性の本当の幸福は40代からとも言われています。

あなたは20代後半、人生これからです。
自分の可能性を開くためにあらゆるものから学び自分を賢くすることです。あなたが自分を作った分、希望の未来が開けてきます。これから先の人生が明るく楽しくなってくるでしょう。そのとき、人生の意味は実感できると思います。

人とかかわるのが怖い(対人恐怖)どうすればいいのでしょうか? …メール相談・10代後半女性

2019.04.30

回答
はじめまして、臨床心理シランの室です。
人と関わることが怖くて辛い、しかし学校にはいかなくてはいけないという二つの心のぶつかり合い(葛藤)に押しつぶされそうな毎日。本当に辛いと思います。

10代後半の人生を生きている人は、大なり小なり人間関係や人との関わりや自分の在り方に悩んでいるものです。人間の心がわからず、自分もわからないから当然の悩みです。人は悩み、それを解決していく度に確かな成長を遂げていくものです。あなたの今の苦悩は、あなたを大きく成長させる貴重な糧になるでしょう。

あなたの心が勝手に作り上げたイメージが対人恐怖を呼び起こしていますので、それを修正すれば恐怖はなくなります。自分でもできると思いますが、スクールカウンセラー(大学生なら、学生相談)に相談されれば、気持ちも早く楽になると思います。

以下に述べることは、少し難しい話になるかもしれません。
不安や恐怖という感情には本来、イメージも言葉もありません。純粋な感情体験だからです。その心境が「言語道断(ごんごどうだん)」(言葉を離れた純粋な心の働き、言葉で説明できない心の状態)という意味です。

純粋な感情(怖いという感情)に、言葉を当てはめてしまうところから苦しみが生まれます。人が怖いという頭に浮かぶイメージを言葉で解決しようとやりくりするところに苦しみが生まれます。

人と関わる場合に、「どう思われているのか」「悪く思われないだろうか」…つまり「よく思われたい」と人の評価を意識し気にしすぎると、本来の会話に集中できなくなります。結果、会話はぎこちなくなり、自然さを失ってしまいます。他人の評価、他者に対する意識過剰が苦しみをもたらしています。つまり、今の苦しみはあなたの独り相撲とも言えます。

不安や恐怖という感情を言葉でやり繰りせず、「あるがまま」に受け入れ、緊張したまま、恐怖したまま、ただただ目前の会話や人との関わりだけに集中すればいつの間にか、恐怖は気にならなくなります。頭の中に浮かんでくる言葉でやりくりし、不安や恐怖を言葉で追い払おうとすればするほど、「とらわれ」から抜け出せなくなり深みにはまります。

まるで杭に繋(つな)がれたロバが、動けば動くほどヒモが絡まり動けなくなる状態に似ています。
恐怖や不安という感情は頭の中の言葉ではどうすることもできないのです。あるがままに受け入れるしかないのです。

人と関わる場合、「話をしなければとか」「うまく話しをしなければ」と他者の評価を意識するのではなく、そばにいて黙って話を聞く人になれば気も楽に人と関われると思いますよ。無理に話す必要はありませんよ。聞き上手になれば人から多くを学ぶこともできます。あなたは、よりよく生きたいという欲や気持ちが強く、理想が高い人のような気がします。

思春期・青年期は現実と理想のギャップの大きい時でもあり、そのギャップを埋めようと焦ったり、うまくいかず自信を失ったり、自己嫌悪になったりする時でもあります。現実と理想のギャップが一層あなたを焦らせ苦しめているようですね。この時期の友達は一生の宝にもなるほど大事なものです。親友と呼べる存在が一人できれば十分だと思いますよ。

あなたの現状は、これまでの人生の中で学習(心理学でいう学習)し、身につけた心的な習慣ですから、学習をやり直し認知の仕方、物事のとらえ方や行動の修正を図る必要があるでしょう。加えて思春期・青年期特有の自意識過剰、自己と他者を比較する心情、精神的不安定さ、自分探しなどの課題のため、自我が混乱し不安定状態になっている可能性もあります。

自分を知ることが大事ですね。他人という自分を映す鏡の存在があれば、自分を知ることができると思います。是非カウンセラーに相談されてみてください。
また事実と感情の記録…日記をつけることも自分を見つめる貴重な手段になるでしょう。あなたは、若いので心の可塑性に富み可能性も秘めているので、いくらでも修正できますし成長できると思います。自ら学び自分で解決できるかもしれません。

ひきこもりの息子にカウンセリングを受けさせたいのですが、どのように話せばいいかわかりません。

2019.04.29

メール相談後、母親が来所。息子さんの様子を聞取り後、息子さんの来所の方法について助言する。

まず、今日の話をありのまま伝えてみてください。真心は必ず伝わります。当室のホームページをみてもらうとよいと思います。支援者がどんな人物か、わかってもらえると思います。また、「失敗はいいものだよ」(室長の著作を贈呈)を、まず母親が読まれ、それを読んでもらうと、よりいっそう支援者の人となりがわかるでしょう。

ご両親がどっしりと構えられ、息子さんの善性(よくなっていこうという心)を信じ抜き、粘り強くかかわっていくことが大事だと思います。腫物にさわるような関わりは、かえって事態を悪化させかねません。

息子さんを一個の人間として尊重し、対等にかかわることです。誠実な対話をこころがけてください。対話はお互い一個の人格として尊重する姿勢から生まれます。説得ではなく、相互尊重の対話であり、本人の納得を得ることが大事です。一度アプローチしてだめでも、あきらめたり、臆したりせず、何度でもアプローチすることです。人の心は変わります。まして不安定な中にいる息子さんの心は折に触れ、ころころ変わっていくでしょう。こちらが変らず、息子さんの善性を信じ抜いてかかわっていけば、必ずよい方向に向かいます。

息子さんの暴言や暴力行為の裏にある心理についての見解です。
自分の苦しいという気持ちのやむにやまれぬ表現であり、
そのような行動でしか自分の気持ちを表出できない状態にあると思われます。自分の苦しさを受け入れることができない状態です。
今、息子さんは、自己に対しての信頼を失っているようです。

息子さんにとって、今は安心でき、信頼できる居場所が必要です。母親が安全基地(絶対的信頼の存在)の役割を果たすことが求められます。一個の人間存在に対する無条件の肯定であり、無条件の愛情です。人は条件付けをしがちであり、評価しがちですから…。この無条件の肯定の姿勢は、父親にも必要なものです。息子さんに対する「改善への可能性」を信じて粘り強く関わり続けることが大事です。どうか、ご夫婦で息子さん理解を共有され、対応されるようお願いします。息子さんは、必ず改善し、本来の自分に戻る日が来ます。

後日、本人自ら予約し来所しました。約2年半の引きこもりで、精神状態はかなり悪い状態でした。
仕事での失敗、人間関係の問題、家族問題、トラウマ、大人の発達障害の可能性などもあり、
性格検査、簡易抑うつ検査、ストレス検査、知能適性検査(WAIS)、アペルガー検査などを織り交ぜ、本人の心理状態をアセスメント(査定)しました。

トラウマカウンセリング、認知行動療法を中心に週一回、合計20回程度の心理カウンセリングで、6か月後に就職(社会復帰)しました。

29歳の息子が1年近く引きこもっています、どうしたらいいのでしょうか?

2019.04.28

無料メール相談

質問文「長男は大学を卒業して、就職をしましたが、長く続かず、これまで3度転職しています。職場で人間関係がうまくいかなかったなどと言っています。発達障害があるかもしれません。最後の職場をやめて1年が経過しようとしています。最近は部屋に引きこもり外に出ようとせず、昼夜逆転の生活になっています。本人を説得し精神科に一度連れていきましたが、睡眠薬を処方されただけで、これといった診断名もなく、改善の方途もしめされなかったのか、二度と行かないといっています。最近、私や夫に対して暴言を吐いたりや暴力を振るったりすることもあり、この先不安です。「死にたい」とときどき口にします。先生にカウンセリングをしていただきたいのですが、本人を説得させる自信がありません。どうすればよいのでしょうか?」(50代女性)

回答。

質問文、拝見いたしました。ご両親の辛い日々お察しいたします。無職になっての1年近くのひきこもりということですから、息子さんも精神的に大きなストレスがたまったままの毎日だと思われます。そばにおられるご両親も辛い思いをされていると思われますが、自分で自分が思うようにならない息子さんが一番辛い思いをされているのではないかと推測します。

精神科は薬物療法という対症療法が一般的です。服薬だけで、改善策もないのであれば、息子さんが診察拒否をされるのも理解できます。多くのひきこもり者には診断名がありません。診断名をつけるのが難しいようです。発達障害の可能性については、生育歴や心理検査をすればかなりはっきりします。当室でも可能です。息子さんは治療者に対して不信感を持たれているようですので、そのような感じを与える支援者には心を開かないと思われます。治療者と患者という上下関係を感じれば、なおさらのことでしょう。

当室のカウンセリングは人間対人間の対等な関わり合いを基本にしています。そこに上下関係はありません。一緒に解決という方向を目指す友として社会復帰を目指していきます。

今日まで、ひきこもりの相談(10代から50代)を20名近く受けてきましたが、決まった方法はなく、一人ひとりに応じた関わりをしてきました。もちろん社会復帰できたケースもありますが、すべて順調に進んでいるわけではありません。

初回から息子さんが来所してくれれば、解決は早いと思いますが、これまでの経験ですぐに、来所に至るケースは少ないです。まず、最初は親御さんとの面接から始まり、息子さんの背景や様子や症状の聞取りや息子さんへの関わりの助言などをします。カウンセラーと親御さんが協働して、息子さんのひきこもりに対応していきます。今までの経験では2,3回目ぐらいから、お子さんが来所してくれています。

家庭訪問面接という方法もありますし、本人と手紙やメールのやりとりという方法をとったケースもあります。いずれにしても、まず親御さんとの面接から始まると思いますので、一度来所されてみてはどうでしょうか。

 

 

 

 

 

 

学校へ行けません…回答

2019.04.18

質問「登校日の前日の夕方の頃から胸の痛みがあり、登校日の朝になると頭の中では起きようとするのですが身体が思うように動かずさぼってしまうことが多いです。学校に行かないといけないことは自分自身が一番よくわかっているのはずなのに、なかなか起き上がることができません。…このまま生きることに不安があるのです。どうしたらいいかわかりません」(高校2年・無料メール相談)

はじめまして。臨床心理シランの室です。

あなたの悩み…登校しなければいけないと思っているが、前日の夕方から身体が拒絶反応を起こしてしまう。緊張から中途覚醒したり、朝なかなか起き上がれなかったりして休むことが多い。

いじめ、人間関係、学習の遅れなど目に見える客観的不登校の原因はなく、成績もよく、友達もいるし、見た目は明るく振舞っている。なぜこんな自分になっているかわからない。

自分で自分が分らないし、コントロールできなくなりつつある。このままでは生きることが不安である。

思春期に伴う自我の目覚めと、自我の確立に向かって、今までの自分をいったん壊し、本当の自分を築いていくという自立に伴う痛みの作業に入っているような気がします。

今まで、あなたは親を中心とした環境に合わせて生きてきたのかもしれません。親や周囲の期待に応えるため、自分を抑え、本当の自分を生きてこなかったのかもしれません。

成し遂げなくてはいけない発達の課題の達成が不完全なまま、今日に至っているのかもしれません。この時期をうまく乗り越えていけない原因は、今日までの生き方にありそうです。

今のあなたの身体に現れた登校に対する拒否症状は、乗り越えられていない課題という心の問題の表出であり、心の叫びであるかもしれません。このままでは自分が壊れると言う自己防衛反応の一種のようにみえます。

あなたが意識出来ない部分からの訴えであり、叫びが起こっているようにみえます。本当の自分を作り、本当の自分を生きるための心の再構築が求められているようです。

では、どうすればよいのか。自分がこうなってしまった心のからくりを知ることです。これは一人では難しいと思われます。表層の心理だけではなく、見えない部分の心理まで見る必要がありますし、今日までの生き方(考え方、行動の仕方など)をたどる必要もあるからです。

専門のカウンセリングか相談支援を受け、自分を知ることをお勧めます。自分がある程度わかれば、今後の生き方も見えてくると思いますし、不安も減少し、楽に生きていけるようになると思います

自分がわからない…今高2で、また学校に行けません…回答

2019.04.18

 

質問「中学1年の秋から不登校になりました。今、高2で、また学校へ行けません。勉強が嫌いでもなく、成績もよいです。友達とも仲がよく、みんな優しくて面白いです… ですが学校に行けません」(女性)…無料メール相談

はじめまして。臨床心理シランの室です。

高校2年生、悩み多き青春真っ只中です。あなたの悩みも深刻ですね。

あなたの悩み…登校するのも苦痛、登校していないのも不安。どちらも、不安であり不快感情を伴う。自分が自分に判断を迫ると緊張・興奮から過呼吸まで起こしてしまう。このような自分がわからないし嫌。出口の見えない迷いのトンネルの中に入っているような感じ。

不登校は、今の嫌な気持ちから一時的に回避することができますが、こうした回避行動は、ますます登校を困難にし、あなたの人生の可能性を狭くしています。なぜなら狭い視野と感情(主観・自己中心)にとらわれ、行動が矮小化されているからです。人間は目標をもち行動することで、自らの力を初めて知ることができます。行動しないと何も生まれません。今、悩みを投稿したことも一つの行動です。うまくいけば回答の中から何かが生まれる可能性があるように。

私の昔の失敗体験です。高2になり、学校がつまらなくなり、電車通学が苦痛になり、午前中は寝てしまい、欠席が続きました。どうしていいかわからなくなり、自暴自棄的になり、遊びでごまかし、結果的に2年生の欠席は70日。高校中退に追い込まれました。

仲のいい友達もいたし、成績もよかったし、いじめもなく、嫌な先生もいなかった…、それなのに学校に行くのが嫌でした。自分で自分がわからず、どんどん落ちていきました。

なぜ学校から足が遠のいたのか…自分の行きたい学校ではなかったということと、目標を喪失していたこと。怠けが許される家庭環境であったこと(父子家庭で父は子どもを放任していた)などが原因だということが、後年の自己分析の結果わかりましたが当時は迷いの海を漂っていました。

行動すれば気持ちが変っていきます。人間は自分を映す対象がないと自分がわかりません。その対象は、行動です。行動して自分を観察すれば自分が見えてきます。もう一つは人と対話をすることです。対話によって自分の姿が客観視できるからです。自分がわからないのは主観にとらわれすぎているからです。自分を客観視すれば自分が見えてきます。

行動して自分を観察する(日記に書くなど)、あるいは人生の先輩などに相談する(スクールカウンセラーや専門のカウンセリングを受けるのもよいと思います。)

今は自分を見つめ直し、自分探しの時のようです。悩みは産みの苦しみを伴います。人生の先輩に学び(書物を読む)、アドバイスをもらったり(相談する)しながら、新しい自分に生まれ変わる時かもしれません。

 

心の病になったとき…心療内科、それともカウンセリング

2019.04.13

当室には、かつて心療内科(精神科)を受診されていた方がよく来談されます。

「心療内科では薬治療のみで改善しなかった」「薬に頼らずカウンセリングで根本的に治したい」

「治療者が話を聞いてくれず一方的に治療をすすめる」「治療者が上から目線で嫌だった」など…。

薬治療に対する拒否や治療者に対する不信感などがあり、心療内科に見切りをつけてしまったようです。うまくいかない治療は、治療者への不信を強め、結果的には本人の心の病の悪化につながっています。

心の病は、人間関係のストレスが心因になっている場合が多く、初診での治療者との関係性がうまくいかなければ、それがトラウマになることも少なくありません。心の病になったとき、最初にどこへいけばよいのか… 心療内科か、それとも心理療法 (カウンセリング)か…

心療内科(精神科)は、患者の話を聞き、患者の話をもとに診断を下します。(簡易的な問診としての心理検査を実施しすることもある)。診断後は、症状を緩和させるために薬を処方します。初診に充てる時間は、15分間から長くて30分以内です。二回目からは、薬の加減が中心の診察で10分前後と言われています。カウセリングはほとんどしません。患者が多く、時間を割くことができないからのようです。

保険が適用されるため、料金も低めです。初診でも3000円を超えることは少ないでしょう。2回目以降は2000円以下です。それに比べ、カウンセリングは、保険が適用されないため、通常5000円以上になります。

薬物治療は一時的に症状を抑える効果はありますが、本質的な改善は見込めないと言われています。症状緩和に働きかけることと並行して、他の影響(副作用といわれている)があります。依存性がある薬が多いため、薬依存になり、病気が遷延化しがちになります。

自らの自然治癒力が発動するかどうかが根本的治癒のカギになります。自然治癒力の発動を阻害している心理・社会・生物的要因を取り除くことが大事になります。

それを可能にするのが、心理療法(カウンセリング)になると思います。一口に心理療法といっても100種以上はありますので、何を選ぶかが大事です。

精神疾患に応じた効果のある心理療法というものがあります。例えば「うつ」であれば、適切な心理療法は、アメリカ精神心理学会が効果のある療法としてあげている「認知行動療法」「認知療法」になります

それ以上に大事なことは患者(クライエント)のアセスメント(診断・見立て)力です。名医(名心理療法家)とやぶの差は、見立て力の差です。正確な見立てがあって初めて、改善へのプラン(処方)ができるからです。

見立ては、人間を総合的にみなければできません。外科や内科では、レントゲンやMRI、CT、血液検査などをし、正確な分析をし、症状を正確に見立て診断しようとします。

まして分析不能な見えない人間の心を診るわけですから、いくつかの心理検査は最低限、必要なものです。問診だけで、その人の人生経験全体を背負っている心の病を診るのは無理なことでしょう…。

心理療法(カウンセラー)を選ぶ一つの基準は、見立て力(アセスメント力)がどのくらいあるのかです。心理検査の併用は必須でしょう。その意味では、大学院で研修を重ね、実務経験を積んだ臨床心理士資格保持者が安全でしょう。(間違いのないカウンセラー選びを参照にされるとよいでしょう)

心の病がひどく、会社を休職したり、障害手帳を申請したりする場合は、医師の診断書が必要になります。診断も薬の処方もは医師しか認められていない業務独占行為だからです。心理療法家にできるのは、見立て(アセスメント)と心理療法です。休職したりする場合は、まず医師の診察を受けるほうがよいと思います。

根本的に心の病を改善したい場合は、専門的な心理療法(認知行動療法や森田療法など)を受けられるとよいでしょう。