相談室(ブログ)

母親との価値観の違いについて(20代女性)

2019.05.29

質問
私は22歳の成人で、最近オートバイの免許をとりました。

もともと乗り物が好きで、ツーリングで後ろに乗ったこともあり、どうしてもオートバイに乗りたいと思い、自分でアルバイトで稼いだお金で教習所に通い、無事免許を取得しました。
しかし自分が女性で小柄なこともあり、母親からは、「私(質問者)には似合わない」などといい、オートバイに乗ることに反対しています。
危険だとしても、それは自分次第ですし、自転車でも歩行でも事故にあうことはありますし、世の中に完全に安全なものはないと思っています。
母親は普通車オートマチック限定のみ免許を持っていますが、ペーパーで、乗り物自体好きではない人で、安全面などを伝えても好きだと言っても分からないと思います。
母親を何がなんでも説得するべきなのか、
自分の人生だと思って割りきる方がよいのか、迷っています。
いずれにせよ、オートバイは買うなら自分の貯めたお金です。

回答
臨床心理シランの室です。

親は大人の目では、普通なら若い女の子のバイクの危険性を心配して反対するでしょう。それに対して、あなたの言い分…バイク同様に車も歩行も事故に遭うときは遭うし危険性は同じだと…。

子の心と親の心がすれ違っています。少なくとも、あなたはそのように感じているということです。

親というより大人の目と、子どもの目の違い。大人が生きている現実社会と子どもが生きている世界は大きく異なります。人生の先輩であり、親ならば、子ども時代を生きてきたのであれば、子どもを理解して当たり前と思うでしょうが、現実は違います。

「子の心親知らず」であり、「親の心子知らず」が普通と言ってよいでしょう。当然価値観は異なってきます。

あなたは人生や社会に対して、生きたいように生きたいし、やりたいことはやりたい。夢もあり、好奇心も強い。何でもできることはやりたい。純粋であり、一途であり、理想的です。反面、単眼思考で一面的であり、現実社会を知らない危うさも持っています。それゆえ、失敗する可能性も大きいという欠点もあります。

しかし、親は大人社会で生きており、現実の中で生きているが故に、理想よりも事実を重視して生きています。反面、現実を知るがゆえに、純粋な心は失われがちになり、現実に妥協したり迎合したりして生きるという術を身に付けています。そうしなければ、社会で生きていけないからです。

「タレントになりたい」「漫画家になりたい」「医者になりたい」などといった夢や理想は、高校、大学、社会人になるにつれ、社会の現実を知るにつれ、夢は修正され、いつしか平凡な仕事に就くと言うのがほとんどの人の人生になっています。

現実社会で長く生きれば生きるほど、世間に染まり、夢は夢であり、現実は現実ということを、いや応なしに知らされます。いわゆる平凡になり、現実社会に妥協するようになり、あたり障りがなく生きるようになります。危険は避けるようになります。

冒険心もなくなり、好奇心も薄れ、無難を選ぶ生き方になります。しかし、現実を知り、社会で生きる術は、若者のあなたよりはるかに長けています。

親の意見を聞き、考えを尊重する姿勢は大事だと思います。しかし、相容れない時は、自らの道を自自己責任のもとで選び、貫くことも大事でしょう。自分の行為に責任を担うということが大人の証だからです。
自分で自分の人生の責任が持てるのなら、自分の選択した道を進むとよいと思います。悔いを残さないためにも…。

私も若い頃、自己責任で自分の道を進みました。結果、紆余曲折し苦難の道を歩みましたが、責任は自分で負いました。(HP記載「失敗もいいものだよ」ノンフイックション小説に詳細記載)

どうしたら自分の思ったことを喋れるようになりますか?

2019.05.28

質問「会社で声が小さいこと毎日怒られます。怒られると余計に怖くなって声が小さくなってしまいます。
自分でも治そうと思ってるのですがボソボソ喋ってしまいます。これを言ったら相手が気を悪くしないかばかり考えて喋ることに抵抗があります。会話も相槌しか打てません。どうしたらはっきりと自分の思ったことを喋れるようになりますか?」

回答
はじめまして、臨床心理シランの室です。

自己表現力(気持ちを伝える力)は、自然に身につくものではありません。家庭や学校の中で、両親や兄弟、友達、先生との会話や発表・発言の場で身についたものといってよいでしょう。

水泳や鉄棒の逆上がりが練習の結果、できるようになるのと同じで、自己表現力も練習することによって身についていくものです。よい表現の仕方には、考え方や物事のとらえ方(認知)、自己肯定感や自信の有無なども影響してきます。自らを理解し、表現の特徴を知り、訓練を重ねていけば、必ずよい表現力を身に付けることができるようになります。

表現力には三種に分けることができます。
一つ目は、攻撃的な表現と言われるものです。自分のことだけを考えて他者を省みないやり方。私はOKであるが、あなたはOKでないという考え方が背景にあります。

二つ目は 非主張的な表現です。自分よりも他者を優先し、自分のことを後回しにするやり方。私はOKでないがあなたはOKという考え方がベースにあります。

三つ目は、 自分も他人も尊重する表現で、アサーティブな表現と言われ、理想的な表現力です。自分のことも考えるが、他者も配慮するというやり方です。私もあなたもOKという考え方に基づく自他肯定の考え方に基づいています。

日本人に多いのは、非主張的な表現と言われています。それが「奥ゆかしさ」などの美徳になった時代もあります。しかし、欧米の考え方が入り、自分の権利を主張する傾向が見られるようになり、「攻撃的な表現」をする人も増えてきました。特に立場の弱い人に対する攻撃的表現…パワハラ、モラハラをはじめ、クレマーなどに見られます。

非主張的な人の特徴として、弁解がましい、黙る、服従的、承認を期待する、相手まかせ、他人本位、依存的、自己否定的、消極的、卑屈、引っ込み思案、自信のなさ、自己高手諦観の低さなどの傾向がみられます。

自己肯定感が低く、自信がないと、他者評価に左右されがちになります。また相手に対して、「よく見られたい」「悪く思われてはいけない」という気持ちが強くなると過度の緊張を招くことになります。結果、ぎこちない態度になったり、声が小さくなったりします。

自分の気持ちを相手に伝えることよりも、「よく見られたい」「悪く思われたくない」という他者の評価に重点がかかるため、自己を防衛し緊張感が高まります。

まずは、「緊張は誰でも当然するものだ」と事実をあきらかにみて、受け入れることです。
次に、相手に話す内容、自分の気持ちを伝えるということに集中する。そのためには、事前の準備が必要です。気持ちを伝える訓練や練習をすることです。

物事に取り組む万般にわたることですが、事前にどれだけの準備をするかで、成否が決まると言われています。事前に綿密な準備をしていれば、余裕ができるしリラックスして物事に向き合えます。

準備をしていても、その場になったら緊張は避けられません。そのときは、大きく息を吸って、少し止め、ゆっくり長く吐くなどを繰り返します。また、「筋弛緩法」(ネットで調べれば出てきます)などを行い、気持ち落ち着けるのも、使えるリラックス法です。

時間や経済的に余裕があるのであれば、認知行動療法・アサーショントレーニングのカウンセリングを受けることをお勧めします。それができないのであれば、関係書籍を読むことで身につくこともあると思いますので、
アサーションの第一人者である平木典子さんの本を紹介します。

「アサーショントレーニング…さわやかな自己表現のために」(金子書房・平木典子著)

死ぬ勇気はないけど死にたい気持ちで一杯です

2019.05.27

質問 「最近人生に絶望するようなことがあり、先日カウンセリングに行ってきました。しかし、カウンセリングの先生はあまり話を聞いてくれず、こちらの話をさえぎって否定するようなことを言われたりして、自分は生きていることが迷惑なのではないかと思いました。
これまでお世話になった親に迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちで一杯で潰れそうです。自分でも自分のことがよくわからなくなります…」(趣旨・20代女性)

回答   
臨床心理シランの室です。

絶望し死にたい気持ちになるどの失敗…あなたにとって致命的なものだったと推測します。失敗にともなう感情…周囲の無言の評価、また自分が自分を評価してしまい、自己否定感が強くなり、自分はだめな人間だと思いがちになります。結果、自責の念は強まり、悲しく、悔しく、辛く、苦しく、自分が愚かだという思いに苦しむことになります。消えてしまいたい、死にたい、そんな気持ちにもなるでしょう。

まして両親が経済的にも応援してくれていたのなら、その期待を裏切ったような感じにもなるでしょう。受けた恩に報いることができなかった…。

あなたの失敗は、「恩を仇で返す」ということではありません。仇で返すというのは、受けた恩を忘れ、報いることもせず、逆に両親に対して、非人間的な行動をしたり、敵対したり、攻撃したり、お金や財産を盗んだりするような行為に及んだときのことです。あなたは、単に恩に報いていないだけのことです。失敗と報恩は無関係です。

あなたが生きている限り、恩に報いるチャンスはいくらでも巡ってきます。親も「これから頑張れば大丈夫」と言ってくれているように、今後のあなたを信じ期待しています。

人間はだれでも失敗するものです。失敗の大小はあると思いますが、どんな失敗も必ず、取り返すことができます。人間は、いくつになっても可塑性(粘土のように練って形を作り直すこと)に富んだ存在だからです。

本当の失敗は、失敗から立ち直らないことだと言われています。
もし、恩を仇で返すとすれば、それは、あなたが、今回の失敗から立ち直らないことでしょう。立ち直ることが償いにつながると思います。

「時間がそれを軽減し、和らげてくれないような悲しみは一つもない(キケロ)
「私にとって失敗こそ最良の教師である」(フォークナー・フランスの作家)

両親が支え、応援してくれたから期待に応えなければいけない、受けた恩に応えなければ、人間としてはだめなのだという。あなたは、生真面目すぎるほど責任感のある人のように思えます。

周囲の人はあなたが思っているほど、あなたの失敗に対して、あなたの評価や価値を変えたり、下げたりはしていなし、期待を裏切ったなどとも思っていません。それはあなたの全体を客観的に捉えているからです。

私的なことで恐縮ですが、私は大学受験では3年間浪人し11連続不合格。まだ若かったので、悲哀や自責の念が強く、長い間、憂鬱感情に沈んだりしていました。大学卒業後は教師となり、生徒や保護者の役に立ち、支えてくれた人に恩返しができたと思っています。

「成功=人間として価値があり、認められる」「失敗=人間として価値がない、自分が否定された」というように価値は二極しかないのでしょうか…。その思考は、二極思考になっており、「0か100か、オールかナッシングか」になっています。

0と100の間にはたくさんの数字があります。つまりたくさんの考え方があり、選択があり、判断があり、行動があり、可能性があります。白と黒の間にもたくさんの色があります。

人生、柔軟な思考になれば、いろいろな考えができ、人生の幅も広がり面白くなります。がんじがらめに、一つの価値観にとらわれると窮屈になり、かえって息が詰まるでしょう。ちょと立ち止まって見方を変えてみませんか。違う生き方、人生が見えてくるはずです。

「人生塞翁(さいおう)が馬」です。失敗が次の成功につながる。失敗した時に、その苦さ辛さの中で自分を見つめ、いろんなことが学べるからです。

地球上の生命体の中で、人間生命だけが、自らの意志と決意で自分を高めて、自らを変えていけるという可能性を秘めた存在です。人間生命そのものに、私たちの考えが及ばない無限の可能性が内包されているからです。だからこそ生きるということに絶対的な至高の価値があると言われているのです

今は、失敗で傷ついた心を、疲れた心をゆっくり癒してください。

五感を使って心を癒してみるのもよいと思います。
目…心を癒すものを見る。朝焼け、夕焼け、海、空、花、自然、山、川、動物、植物、絵など…
耳…癒される音楽、鳥の鳴き声、せせらぎ、好きなラジオなど
舌…好きな食べ物、コーヒーや紅茶、ハーブティー、など
鼻…いい匂い、アロマ、香水、花の匂いなど
身体(触)…化粧、ネイル、ファッション、髪型、散歩、買い物、運動、複式呼吸、マッサージ、温泉、入浴など
意識…読書、友達との楽しい会話、日記を書くなど
思いついた癒しを列挙しました。あなたにあった「心休まる、癒し」を探し、試みるとよいでしょう。

癒しが終われば、新たな出発ができると思います。

生きる意味をみつけたい

2019.05.26

質問「家庭環境に恵まれず、両親に虐待されてきました。職場で出会った男性とつきあっていましたが、嘘をつかれていました。所帯持ちだったので、別れました。これから先、あと何十年の人生を生きていく自信がありません。どうしたら生きる意味を見つけられるのでしょうか。(趣旨・20代女性)

回答

臨床心理シランの室です。

あなたは本当に過酷な境遇の中で今日まで生き続けてきましたね。他の人より苦労した分だけ、同世代の人よりもあなたは忍耐力、粘り強さ優しい心を身につけているはずです。気づいていないかもしれませんが、それはあなたの心の宝になっています。

人は環境の中で作られるという一面があります。特に親に依存し養育されている子どもの時は、環境の影響が大きく、それは不可抗力な部分があります。しかし、自立した後は、環境の影響を受けながらも、逆に環境を支配して生きることができます。

同じ過酷な環境に育った兄弟が、みんな同じような生き方になるわけではありません。親の作った環境に染まったまま、傷を持ち、心が曲がり、不幸な人生を生きる人もいる一方で、悪い環境や親を反面教師のようにして、自らを高め人生を立派に生きる人もいます。悪環境さえ自分の成長の糧に変えたるという、たくましい心の持ち主といえるでしょう。

一面的に見れば、あなたが言うように「世界は不平等」と言えるかもしれません。人はどんな親のもとに生まれるかによって、生まれながら差別を伴っています。紛争の国に生まれ、食べるものもなく死んでいく子ども、生まれながらにして障害を持つ生命、虐待の親の元に生まれる人、不幸な環境のもとに生まれる人など様々です…。

人間は生まれながらにして差別をもって生まれているといえるでしょう。しかし生命のもつ可能性は平等であり、幸福になる可能性も平等であり、死にゆく必然性をもつ存在という意味でも平等です。

あなたは相対的な幸福に生きています。相対的とは他者との比較(環境)によってもたらさられる幸福です。お金があるかないかなどの物質的な豊かさ、あるいはよい親や環境、能力や健康、美醜など、これらの比較優劣によってもたらされ幸福であり、相対的なものです。

つまり環境によってもたらされる幸福といえるでしょう。環境が変れば一瞬にして不幸に転落してしまいます。いくら物質的に豊かであっても、美貌があっても、能力があっても、不治の病になれば一瞬にして不幸に転落してしまいます。

逆に健康であっても、貧乏であれば飢餓感を感じ不幸を感じるでしょう。相対的幸福は、環境の比較によってもたらされものであり、絶対的なものではありません。

絶対的幸福こそ、人生の意味の解答といえるでしょう。環境に左右されるものでも、物質的豊かさでもなく、健康・病気に左右されるものでもありません。

確かな目的感に立った生き方に伴う深い充実感です。何ものにも壊されない心の強さです。どんな悪環境も乗り越えて楽しめる心の強さです。

あなたには、ひとつも二つも良いことがありますよ。気づかないだけです。まず、職場の人間関係に恵まれていることです。世の中には、職場の人間関係に泣かされている人がどれだけ多くいることか…。

それと、高校時代の苦学です。猛勉強の末、目標の進学校に進んだという実績以上に貴重なのは、あなたが猛勉強を3年間し続けた精神力の強さです。努力の心です。さらに、親の虐待の辛さはあなたに人間の優しさを教えたはずです。あなたは心の優しさを身につけている人です。

少し視点を変え、単眼思考から複眼思考に変えて柔軟に人生を見るとよいでしょう。見えない部分が見えてきます。

感謝する心を持てば人生が豊かになります。今生きていることが、どれほど多くの人に支えられているのかに思いをはせる時、感謝の心が湧き、自分も他者の命に貢献しようという心が起きてくるはずです。

今は過去の原因の結果です。とすれば未来という結果は、今生きて、何をしているのかが原因になります。つまり、未来の幸不幸は今をどう生きるか、今この瞬間に、どのような原因をつくるかによって決まります。

人と比較し嘆くことも羨むこともありません。それらは仮初のものであり、やがて通り過ぎ、風化してしまうものだからです。今は、しっかりとした自分を作ることです。強い自分を作ることです。大いに学ぶことです。女性の本当の幸福は40代からと言われています。

あなたは20代前半、青年期真っ只中です。人生これからです。
学び続け、心を耕し、自分の可能性を開くためにあらゆるものから学び自分を賢くすることです。あなたが自分を作った分、希望の未来が開けてきます。これから先の人生が明るく楽しくなってくるでしょう。そのとき、生きる意味は自然とわかってくるでしょう。

職場の人間関係に悩んでいる…辞めるか、それとも続けるか日々葛藤しています

2019.05.24

「入社4年目です。先輩上司に人格を否定するような批判や悪口を言われ、社内にもうわさを流されています。そのため会社内の人から嫌われていると思います。辞めるか、それともこのまま、どんな心持で社内で過ごしたらいいのでしょうか。日々葛藤しています…」(20代女性の質問)

回答

臨床心理シランの室です。

人生は、どんな人と出会い、どのような関係をもつかで大きく変わっていきます。
出会いの中でも避けがたい出会いの第一は、親であり兄弟です。次に学校時代の先生や級友、会社に入っては、上司、先輩同僚などです。また出会いを深め、関係を深めていくものとして、友達関係や恋愛・結婚などがあります。

人は出会いで人生が変わり、良い方向にも進むし、反面悪い方向にも進みます。いわゆる、良縁、悪縁と言われるものです。

仏教に誰人も避けることができない四苦八苦というものがあると説かれています。その中に「怨憎(おんぞう)会苦(えく)」というものがあります。これは、嫌な人、嫌いな人、憎い人と会わなければいけない苦しみという意味です。二千年以上前に説かれた仏教の教えの中に既に「人間関係」の苦しみが説かれています。

現在、人間関係で悩む人は多く、最大のストレス因は人間関係にあるとも言われています。
退職、転職、虐待、DV、いじめ、不登校、ひきこもり、離婚、パワハラ、モラハラなど…人間関係に関する社会問題は増加の傾向にあります。それが因となり心の病になる人も少なくありません。

100年前のゆっくりした社会の中で生きるのと異なり、高度な近代化や科学の進歩が利便性、スピード、グローバル化、自然破壊をもたらし、人間は物質的な豊かさを享受しています。反面失われたものも多くあります。

その第一は、人間の心です。物質的な豊かさと反比例するかのように人間は心がまずしくなっていると言われています。経済優先社会のあおりを受け、会社は利潤追求に奔走し、利益のために自己中心的な人間を増加させています。思いやりが不足しがちになり、余裕のない人間が増えています。結果、早期離職や転職、そして引きこもりを増加させています。

あなたを指導した上司も、そのような社会の中で生み出された一人といえるかもしれません。
あなたに必要な対応はまず事実の正確な把握です。その先輩女性の会社内での行動の事実を正確に把握する必要があります。またあなたの仕事の能力や遂行力の現実把握です。仕事に対しての正当な評価だったのか、感情的な評価であったのか。

配置換えをしてもらったことは、人事部の有りがたい配慮だと思います。ただ、過去のうわさが会社内に広まり、嫌われているのではないかとあなたが思っていること…ここが大事です。事実なのか、あなたの感情的判断なのかです。その見極めをすることが肝心です。
嫌われているという、あなたの主観的判断からものを見れば、すべてがそのように映ってしまいます。まるで色眼鏡でものを見るようなものです。なんとも思っていない人の態度も、冷たく感じたり、よそよそしく見えたりしてしまいます。
あなたが事実本位でものを見ているのか、感情本位でものを見ているのか、自分自身を知ることです。そのためには、自分の客観視が必要です。

会社内に話せる友人がいれば一番いいサポートになると思います。今のあなたには、サポータが必要です。多ければ多いほどよいと思います。会社にカウンセラーがいるのなら、その方に相談されるのもよいでしょう。あるいは民間のカウンセリングルームで相談されるのもよいと思います。
孤立してはいけせん。人間、孤立すると行き詰まってしまいますから。

最後に、何があっても自己評価…自分に生きることです。換言すれば自己肯定感を強めることです。
自己肯定感を高めるには…どんな自分も「自分は自分なのだ」と認め受け入れる自分になることです。他者と比較し劣った部分を自覚したとき、自分を卑下したり、駄目な人間と思ったりしてしまいがちです。また、失敗したとき、自分はダメな無能な人間と責めてしまう傾向があります。
他者に攻撃されたり、批判されたり、嫌われたり、悪口や陰口を言われたりするとき、自分をだめな自分だと思ってしまいます。
こうしたときも、「どんな自分も自分なのだ」と自分を受け入れることができるかどうかです。

「どんな自分も自分である」と受容するためには、自己存在に対する人間観が必要です。「人間はどんな人も平等であり、可能性を秘めた存在であり、かけがえのない個性の持ち主であり成長し行く存在」という信念です。
仮に、今は劣悪な自分であったとしても、それは未成熟な発達途中な自分であり、磨けば輝く存在になると信じて努力できる信念である。

ダイヤは、もともとは黒い石に過ぎませんが、磨きをかけていけば高価な宝石となります。黒の原石を否定すれば輝くダイヤの存在はありません。どちらもダイヤです。ですから、黒い石の自分も「そのまま受け入れる」ことが自己肯定なのです。自己肯定には、「黒石もダイヤも同一の存在であり、黒石も磨けばダイヤになる」という思考の転換と信念に裏打ちされた努力が必要です。その努力の積み重ねが個性を開花させダイヤと自己を高めていくのです。

次に他者を尊敬するかかわりが求められます。
人間はどんな人も平等であり、可能性を秘めた存在であり、かけがえのない個性の持ち主である」という人間観を他者との関りの中で試みることです。
先ほどのダイヤの例に倣って、苦手な人や自分より劣ると思う人に対して、今見えている姿に左右されず、見えない心の部分…「人間はどんな人も平等であり、可能性を秘めた存在であり、かけがえのない個性の持ち主である」という信念で尊重して関わっていくのです。

他者に対しても、自分と同じように人間として尊重していく、差別したりしないでかかわっていくという実践が、他者尊重の心を強めていきます。
つまり自己尊重と他者尊重は同時並行です。鏡に向かって微笑めば微笑みが返ってきます。同様に、相手に優しくすれば、相手から優しくされるようになります。相手を尊重すればやがて相手から尊重されるようになります。

心理学の目指す自己実現の一つの姿は、自分もOKも他者もOKという自他尊重ができるようになることです。つまり自己肯定の確立です。

〇自己肯定感を高める具体的に日々の実行項目。
① 毎朝、鏡に向かって、自分に向かい、微笑みながら、「今日も一日がんばろう」と微笑みかける。
② 一日を終え、鏡に向かって「今日一日、いろいろあったけど、大変だったね。一日、よくがんばったね。今日は、それでいいんだよ。明日頑張ればいい」と今日一日生きてきたことを、労い、そのままの自分を受け入れ、認めてあげる。
※たとえ、嫌なことがあったとしても、失敗があったとしても「今日のことを生かして、明日頑張ろうね」と励ましていく。
 ③ありのままの自分、ありのままの他者を認めるために…価値評価しない。
 決めつけない。「〇〇すべき」「〇〇であるべき」という考え方をしない。
それは、価値観に自他を押し込むことになり、自己肯定感から遠ざかってしまうからです。

嫌われることが怖い、自分の評価が気になる…社交不安(高1女)

2019.05.23

無料メール相談…回答

はじめまして。臨床心理シランの室です。

「自分の評価を気にして愛想を振りまく」「人に嫌われたくなく、明るく優しく努めている」といったあなたの考え方や行動の仕方に無理が生じ、ストレス過重となり、あなた自身を追い込んでいるようです。

他者評価を気にし過ぎると、自分の自然な感情を押し殺したり、不自然な自分を演じたりするようになってしまいます。嫌われたくない…よく見られたいという思いで行動すると、鎧をつけ仮面をかぶり虚飾に生きるようになり、結果として自分がなくなってしまいます。

今のあなたは、そのような不自然な生き方、無理な生き方をしているのかもしれませんね。今の生き方を続けていけば、再び、社交不安障害の再発を招き不登校になるおそれがあります。

あなたの現在は、これまでの人生経歴で、身につけた習慣(家庭環境…両親の養育環境など)の結果ですから、学習(心理学の学習理論の意味)をやり直し認知の仕方、物事のとらえ方や行動の修正を図る必要があるでしょう。つまり、認知―行動―感情―生理のからくりを学び、見直す必要がありそうです。

あなたがいうように、思春期・青年期特有の自意識過剰、自己と他者を比較する心情、不安定さ、自分探しなどの課題のため、自我が混乱している可能性もあります。

では、どうすればよいのでしょうか…。
まず自分を知ることです。自分を知るためには、人と対話することです。他人という自分を映す鏡の存在があってこそ自分を知ることができるからです。人生の先輩や心理カウンセラーに相談するとよいでしょう。スクールカウンセラーに相談されたり、心療内科でカウンセリングを受けたりするのもよいと思います。

次に、他者評価重視から自己評価重視の生き方に転換することです。つまり、ありのままの自分に生きることです。仮面や虚飾で外見を飾るのではなく、素朴なありのままの自分をさらして生きるのです。そのためには自己肯定感を高めなくてはいけません。

相手に対していい顔をせず、相手の意に反する行動をとれば、嫌われこともあるかもしれません。時には嫌われる勇気も必要になります。

大事なことは、自分も尊重するし、同じように相手も尊重するという生き方を身に付けることです。今の生き方は、他人はOKで自分はOKでないという生き方になっています。それを自分もOK、相手もOKという生き方に転換することです。

自分に生きる…自分対自分という、絶対に欺けない自分に生ききることです。昨日の自分と今日の自分を比較し、成長できたかどうかを評価していくという生き方です。そうした生き方をしていけば自己肯定感が育ってきます。
人は見える世界を追い求め、物事の本質を見失いがちです。それが自己肯定感を低くする一因にもなっています。

ダイヤは、もともとは黒い石に過ぎませんが、磨きをかけていけば高価な宝石となります。黒の原石を否定すれば輝くダイヤの存在はありません。黒い石も輝くダイヤも同じ自分です。どちらの自分も「そのまま受け入れる」ことが自己肯定なのです。人は輝くダイヤは受け入れることは容易ですが、黒い原石は受け入れがたいものです。

「黒石もダイヤも同一の存在であり、どちらも自分であると、ありのままに受け入れる。」「黒石も磨けばダイヤになる」という信念に裏打ちされた努力が必要です。その努力の積み重ねが個性を開花させ、ダイヤへと自己を高めていきます。その過程の中で自己肯定感は高まっていきます。一朝一夕にできるものではありません。

人間観や人間の心理、自我の同一性の獲得、自分を知るなど、自分探しについての知識も必要です。心理の専門家に相談されるのが、今は一番の早道だと思います。

上司のパワハラ、仕事量の多さ…ストレスに耐えられず涙が止まらず、苦しく死にたいです…メール相談(20代女性)

2019.05.17

はじめまして。臨床心理シランの室です。

今の苦しみ、辛さの直接的な原因は会社(上司との関係や仕事量)にあると思われます。
あなたが感じているように、職場や仕事のストレスに対してうまく対処できていないか、あるいはあなたの許容量を超えているのかもしれません。結果、不適応症状を呈しています。

ストレスにうまく対処していくためには、物事のとらえ方や考え方、行動の仕方、感情のコントロールの仕方、ストレス対処の仕方ソーシャルサポートなどが必要になります。

現状を改善させる対処法としては、心療内科に行くか、心理カウンセリングを受けるか、自力で心理療法をするかの三つが考えられます。

一つ目の方法は心療内科を受診することです。掲示板の内容を医師に話せば、おそらく適応障害か抑うつという診断が下され、3カ月程度の休職の診断が出そうな気がします。

休職されながら、薬物治療だけでなく、心理療法(認知行動療法)を受けるのが一番よいと思います。
休職の場合は、傷病手当(給与の約70%の手当)の手続きも出来ますし、経済的な心配もしなくてよいと思います。病気であるなら休職は当然の権利ですので、後ろめたい気持ちになる必要もないでしょう。医師の診断、判断に任せるしかありません。

自分の健康は、会社は守ってくれません。自分で守るしかありません。心が壊れてしまうと、修復するのに身体以上に時間がかかるようになります。賢明にならなければいけません。

二つ目は専門のカウンセリングルーム(できれば専門性の高い臨床心理士や公認心理師がいるところ)で心理療法を受けることです。あなたの症状からすると認知行動療法が適切と思われます。物事のとらえ方-行動―生理―感情という心と体のからくりを理解し修正する方法です。あなたの本質的な心理傾向をよい方向に向かわせるためにも心理カウンセリングを受けるとよいでしょう。この方法は仕事をしながら可能です。

三つ目は自力で、本などを読んで認知行動療法やストレス対処などを実行する方法です。認知行動療法の中に、ホームワークやモニタリング(自己観察)などがありますので、できないことはないと思いますが、自制心や向学心、そして症状が軽いことが条件になると思います。

あなたの症状からすれば、一つ目か二つ目を選択され心理療法を受けることが現状の改善にはベストでしょう。

「有給も休職も無理だと」決めつけている、あなたの物事の受け止め方を、視点を変えれば、違った見方が出来るようになります。人に話す、他者に語ることによって自らの客観視が出来るようになり、気づきが生まれ、違った見方が出来るようになるでしょう。
まず、信頼できる誰かに相談されてみられるとよいでしょう。

あなたと似たような状況にある方を最近カウンセリング(認知行動療法)しました。30代の方です。二度、適応障害を繰り返していました。一度目は、出張が多く、適応障害となり心療内科受診。会社が配置換えという環境調整をしてくれたため改善できたそうです。(適応障害は環境調整が、一番効果があると言われています。配置換え、休職、転職など)
二度目は最近のことで、上司のパワハラと離婚騒動が重なり心療内科受診。3か月の休職。傷病手当受給。心療内科では薬物療法のみだったので、休職期間中に根本的に治療したいと当室に来所されました。

心理検査で心理的、生物的、社会的要因をアセスメントし、ソウシャルサポートの確認、ストレスコーピング、認知の再構成、行動の活性化、ホームワークなどを実行しながら5回程度の面接で改善し職場復帰を果たしました。

根本的な改善のためには、心理カウンセリングは必要だと思います。

夢が果たせず、情熱がなくなり、無気力になりました。何から始めればよいのでしょうか…メール相談

2019.05.17

回答

はじめまして、臨床心理シランの室です。

イスタンブールの海峡…
表面の潮流の下に、別の流れがある。表面の海流は、時速3~4㌔の速さで、黒海から南へ、マルマラ海に流れ込む。しかし、その下40メートルには逆方向に流れる、もっとゆるやかな流れが…

人間の心を表す一つの比喩のようであり興味深い現象です。
芸術家になりたいと努力し留学までしましたが、うまくいかず、現在は全く畑違いの仕事に就いているという事実。あなたの表面の心と深層の心(本当の心)が逆方向に流れていたのかもしれません…。

理想自己と現実自己の一致という自己実現が幸福の一つの姿とも言われています。青年期は特にそのずれに苦しむときでもあります。
本当の自分とは…アイデンティティーの確立を求めて…自分探しの旅がまだ続いているのかもしれません。

「人生塞翁が馬」という故事があります。人生の幸不幸は予測しがたい…不幸な現象が幸福の原因になったり、幸福な出来事が不幸の原因になったりということです。

今は不幸に見える事実も、過ぎ去って後から見れば、意味のあるできごとであったということはよくあります。むしろ、意味のあるできごとにするには、今を誠実に真心こめて生きることだと思います。

私的なことで恐縮ですが、私は高校を中退し、働きながら定時制高校を卒業。配達業務をしながら、3年間大学受験浪人。無医村の医者になりたいという理想を抱き、医学部を目指しましたが、夢果たせず、妥協するように他学部に入学しました。

志望学部に入れなかったということで、無気力になり、心は果てしなくさまよい、授業には全く出ず、深夜のバイトづけ、小説家を目指した時期もありました。不如意な生活がたたり、ついに神経症になりました。その回復の過程で、自分にできる道として教師を選択しました。大学を29歳で卒業後、中学教師になりました(この道が自分にとって本当の自分を生きる道だったと今は思います)。

過去をふりかえってみたとき、神経症になったことも、浪人したことも、医師を目指したことも、小説家をめざしたことも、不思議とすべて生かされていることに知りました。(HPに記載)

私は臨床心理士資格を、教師をしながら佛教大学大学院の通信で学び取得しましたが、同期はみな40歳代以上の仕事を持った人たちでした。その中に40歳の現役の客室乗務員(既婚者)の方がいました。彼女は臨床心理士資格を生かして心病む人たちに貢献するという強い目標をもち、臨床心理士となり、現在スクールカウンセラーで頑張っています。

先輩や友人に相談することもよいと思います。相談する…他者に自分の一部を開示することによって、自分では気づかない自分の一面に気づいたり、多くの新しい情報を得たりするなど、視野が開けると思うからです。

読書…心を耕す心の栄養源です。すぐにできるものはメッキであり本物ではありません。「ローマは一日にしてならず」です。偉大なものは時間がかかります。まして、自分の本当の人生とはという問いかけ…心という難解な世界への旅、すぐには解答がでないと思います。

目に見えない世界を養う読書…人生観を培い、思想を固め、人生を問う…古今東西の名作や偉人の伝記などに学ぶのは、遠回りのようですが、あなたの精神世界を拡大し、養い高めてくれるでしょう。

今は友人と語り、読書で心を養い、現実の仕事を真心でやっていくということで、きっと何かがうまれてくると思います。焦らず「よいことはカタツムリの速度で進む」の精神で着実に進まれてください。

自分の人生っていったい何なんだろう…生きる意味を見つけたい

2019.05.01

メール相談 20代女性 

回答  臨床心理シランの室です。

あなたは幾度かの苦境の中で、それに負けず生き続けてきました。立派なことだと思います。他の人より苦労した分、あなたは忍耐力、粘り強さを身につけているはずです。気づいていないかもしれませんが、それはあなたの心の宝になっていることでしょう。

しかし、心配な面があります。
今のあなたは、過労働に心身が疲憊(ひはい)しているような気がします。仕事の負荷があなたの許容量を超えてしまうと、あなたは不適応症状(適応障害)を引き起こすかもしれません。
今のあなたの悲観的なものごとの捉え方…他者と比べ自分の不遇を嘆いたり悲観したりする、環境に不遇の原因を求めようとしたりすることなど…心の疲労があなたの考え方に影を落し、あなたの心を弱くしているように思えます。健全な体にこそ、健全な心が宿るからです。

まず、会社のしかるべき機関(労務管理するところ)や上司に仕事のことについて相談し、適切な仕事量にしてもらうことが、自分の健康を守るためにも必要なことだと思います。労働者としての当然の権利の主張ですから。

もう一つは、あなたの物事の捉え方を変えてみることです。それには他者と対話したり、先人の書物に触れたり、いずれにしても自分以外の他者の心に触れることです。

以下考え方の一例です。
人は苦境(恵まれない環境や出来事、状況)に遭遇した時、それをどのように意味づけるかが大事です。その意味づけによっては、困難な出来事がそのまま不幸の原因になったりすることもあれば、逆に自らの心の鍛えの場になり、未来の幸福の原因になったりするからです。

人は環境の中で作られるという一面があります。しかし同じ環境に育った兄弟が、みな同じような生き方になるわけではありません。親の作った環境に染まったまま、傷を持ち、心が曲がり、不幸な人生を送る人もいれば、悪い環境をバネにして、自らを高め人生を立派に生きる人もいます。

一面的に見れば、あなたが言うように「世界は不平等」と言えるかもしれません。人はどんな親のもとに生まれるかによって、生まれながら差別を伴っています。紛争の国に生まれ、食べるものもなく死んでいく子ども、生まれながらにして障害を持つ生命、虐待の親の元に生まれる人、不幸な環境のもとに生まれる人など様々です…。

人間は生まれながらにして差別をもって生まれているといえるでしょう。しかし生命のもつ可能性は平等であり、幸福になる可能性も平等であり、死にゆく必然性をもつ存在という意味でも平等です。

あなたは相対的な幸福観に生きています。相対的とは他者との比較(環境)によってもたらさられる幸福です。お金があるかないかなどの物質的な豊かさ、あるいはよい親や環境、能力や健康、美醜など、これらの比較優劣によってもたらされる幸福なので、相対的と言えます。

つまり環境に左右される幸福観です。環境が変れば一瞬にして不幸に転落してしまいます。いくら物質的に豊かであっても、能力があったとしても、例えば、不治の病になれば一瞬にして不幸に転落してしまいます。

相対的幸福観は、環境との比較によってもたらされものであり、絶対的なものではなく不安定であり、ある意味、砂上の楼閣のようなものです。

一方、絶対的幸福観とは、環境、物質的豊かさ、健康・病気などに左右されるものではありません。確かな目的感に立った生き方に伴う深い充実感です。何ものにも壊されない心の強さです。どんな悪環境も乗り越えていく心のたくましさです。

感謝する心を持てば人生が豊かになります。今生きていることが、どれほど多くの人に支えられているのかに思いをはせる時、感謝の心が湧き、自分も他者の命に貢献しようという心が起きてくるでしょう。

人と比較し嘆くことも羨むこともありません。それらは仮初(かりそめ)のものであり、やがて通り過ぎ、風化してしまうものだからです。今は、しっかりとした自分を作ることです。強い自分を作ることです。大いに学ぶことです。女性の本当の幸福は40代からとも言われています。

あなたは20代後半、人生これからです。
自分の可能性を開くためにあらゆるものから学び自分を賢くすることです。あなたが自分を作った分、希望の未来が開けてきます。これから先の人生が明るく楽しくなってくるでしょう。そのとき、人生の意味は実感できると思います。

人とかかわるのが怖い(対人恐怖)どうすればいいのでしょうか? …メール相談・10代後半女性

2019.04.30

回答
はじめまして、臨床心理シランの室です。
人と関わることが怖くて辛い、しかし学校にはいかなくてはいけないという二つの心のぶつかり合い(葛藤)に押しつぶされそうな毎日。本当に辛いと思います。

10代後半の人生を生きている人は、大なり小なり人間関係や人との関わりや自分の在り方に悩んでいるものです。人間の心がわからず、自分もわからないから当然の悩みです。人は悩み、それを解決していく度に確かな成長を遂げていくものです。あなたの今の苦悩は、あなたを大きく成長させる貴重な糧になるでしょう。

あなたの心が勝手に作り上げたイメージが対人恐怖を呼び起こしていますので、それを修正すれば恐怖はなくなります。自分でもできると思いますが、スクールカウンセラー(大学生なら、学生相談)に相談されれば、気持ちも早く楽になると思います。

以下に述べることは、少し難しい話になるかもしれません。
不安や恐怖という感情には本来、イメージも言葉もありません。純粋な感情体験だからです。その心境が「言語道断(ごんごどうだん)」(言葉を離れた純粋な心の働き、言葉で説明できない心の状態)という意味です。

純粋な感情(怖いという感情)に、言葉を当てはめてしまうところから苦しみが生まれます。人が怖いという頭に浮かぶイメージを言葉で解決しようとやりくりするところに苦しみが生まれます。

人と関わる場合に、「どう思われているのか」「悪く思われないだろうか」…つまり「よく思われたい」と人の評価を意識し気にしすぎると、本来の会話に集中できなくなります。結果、会話はぎこちなくなり、自然さを失ってしまいます。他人の評価、他者に対する意識過剰が苦しみをもたらしています。つまり、今の苦しみはあなたの独り相撲とも言えます。

不安や恐怖という感情を言葉でやり繰りせず、「あるがまま」に受け入れ、緊張したまま、恐怖したまま、ただただ目前の会話や人との関わりだけに集中すればいつの間にか、恐怖は気にならなくなります。頭の中に浮かんでくる言葉でやりくりし、不安や恐怖を言葉で追い払おうとすればするほど、「とらわれ」から抜け出せなくなり深みにはまります。

まるで杭に繋(つな)がれたロバが、動けば動くほどヒモが絡まり動けなくなる状態に似ています。
恐怖や不安という感情は頭の中の言葉ではどうすることもできないのです。あるがままに受け入れるしかないのです。

人と関わる場合、「話をしなければとか」「うまく話しをしなければ」と他者の評価を意識するのではなく、そばにいて黙って話を聞く人になれば気も楽に人と関われると思いますよ。無理に話す必要はありませんよ。聞き上手になれば人から多くを学ぶこともできます。あなたは、よりよく生きたいという欲や気持ちが強く、理想が高い人のような気がします。

思春期・青年期は現実と理想のギャップの大きい時でもあり、そのギャップを埋めようと焦ったり、うまくいかず自信を失ったり、自己嫌悪になったりする時でもあります。現実と理想のギャップが一層あなたを焦らせ苦しめているようですね。この時期の友達は一生の宝にもなるほど大事なものです。親友と呼べる存在が一人できれば十分だと思いますよ。

あなたの現状は、これまでの人生の中で学習(心理学でいう学習)し、身につけた心的な習慣ですから、学習をやり直し認知の仕方、物事のとらえ方や行動の修正を図る必要があるでしょう。加えて思春期・青年期特有の自意識過剰、自己と他者を比較する心情、精神的不安定さ、自分探しなどの課題のため、自我が混乱し不安定状態になっている可能性もあります。

自分を知ることが大事ですね。他人という自分を映す鏡の存在があれば、自分を知ることができると思います。是非カウンセラーに相談されてみてください。
また事実と感情の記録…日記をつけることも自分を見つめる貴重な手段になるでしょう。あなたは、若いので心の可塑性に富み可能性も秘めているので、いくらでも修正できますし成長できると思います。自ら学び自分で解決できるかもしれません。